Sasayama’s Weblog


2006/09/29 Friday

安倍晋三総理が、施政方針演説で引用したアインシュタインの言葉には、裏があったようで。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 22:18:54

2006/09/29(Fri)
 
null安倍晋三総理が、今日の施政方針演説で、『かつて、アインシュタインは、訪日した際、「日本人が本来もっていた、個人に必要な謙虚さと質素さ、日本人の純粋で静かな心、それらのすべてを純粋に保って、忘れずにいてほしい」と述べています。」といったというのだが、これは、アインシュタインの講演旅行を主催した改造社の雑誌『改造』(大正10年9月号)に「アインシュタインの日本印象記」というタイトルで掲載されたもの(注-この雑誌『改造」へは、「文明の再建」というシリーズで、外国の著名思想家の寄稿が、大正10年1月号のバートランド・ラッセルを皮切りとして始まっていた。)からの引用のようである。

参照「アインシュタインの日本印象記」より
 「政治的そして社会的観察はさておき、私が数週間に受けた多くの印象の幾つかについて述べたに過ぎません。
そして花のような日本婦人の特別な本質について沈黙しました–私には困難なので普通の人には詩人にその表現を託すべきである。
しかし私の心に残っているものがあります。
日本人は公平に西洋の知的業績を賞賛し、成功と偉大な理想主義を持って科学に飛び込んでいる。
けれども西洋よりも優れた–すなわち生活の芸術的姿、個人に必要な純真さと謙虚さ、そして日本人精神の純粋さと穏やかさ–これらの偉大な価値を保持することを日本人が忘れないで欲しい。 」
1922年、東京から名古屋に向かう列車の中で筆記する。)
アインシュタインの日本印象記雑誌『改造』(大正10年9月号)
「「アインシュタインの世界旅行 ― Albert Einstein in Japan in 1922 ―」 杉元秀樹 & 杉元 賢治
「慶應義塾を訪れた著名人  」
「山本実彦『改造」の十五年』」

たしかに、アインシュタイン(Albert Einstein)のことを書いた Banesh HoffmannとHelen Dukasとの共著の「Albert Einstein: Creator and Rebel(N.Y.: Viking Press, 1972)」の150ページにも、こう書いてあるようだ。

「アインシュタインは、日本ならびに日本人のピクチャレスクな魅力にとりこになってしまった。

数年後、アインシュタインは、この日本への訪問のことを生き生きと、このように回想している。

『私は、日本の人と国を余りに好きになったので、日本から離れるときには、涙を禁じえなかった。』

「He was captivated by the picturesque charm of the Japanese. Years later he vividly recalled this visit to Japan, saying ‘I loved the people and the country so much that I could not restrain my tears when I had to depart from them.」

しかし、一方、Ronald Clarkの「Einstein : The Life and Times(London: Hodder & Stoughton, 1973)」の288ページと289ページでは、Ronald Clarkによれば、「出ないミルクをしぼりだすような過酷なマラソン講演旅行」を、こと無げにこなしたアインシュタインだったが、たとえ、日本や日本人の簡明さとやさしさを好きになったとしても、彼の日記においても、そして、いくつかの新聞のインタビューでの遠まわしの言及においても、実際には、幻滅した経験であったように、それとなく言っているのだという。

「”Both his brief diary notes and the oblique references in several newspaper interviews suggest that in practice it turned out to be a disillusioning experience, even though he liked what he considered to be the simple, gentle Japanese.”」

なるほど、物事は、両面から見ないと、なかなか、真実は分からないものですね。

日本でのアインシュタインの言動を書いたものには、「杉元賢治編訳『アインシュタイン日本で相対論を語る』(講談社、2001年)」「金子務著『アインシュタイン・ショック』(1)(2)(河出書房新社、1981年)」「清水 馨八郎著『日本人が忘れてしまった「日本文明」の真価 』」などがあるが、上記のアインシュタインの本心を伝えたものは、ないようだ。

参照「Bertrand Russell at Keio University, July 1921(2)」


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