Sasayama’s Weblog


2006/08/08 Tuesday

橋本龍太郎さんと、「異国の丘」

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 17:18:18

2006/08/08(Tue)
 
null今日は、橋本竜太郎さんのご葬儀。

葬儀委員長なり、弔詞のほとんどは、儀礼的なものであるので、あんまり、正直言って、心を打つものはない。

その中で、おやっと思ったのが、音楽隊が「異国の丘」を演奏したことであった。

その謎は、ご子息の橋本岳さんのサイトで、わかった。

以下引用

「劇団四季の演目に『ミュージカル 異国の丘』という作品がある。

終戦後のシベリア抑留をテーマとした作品で、『李香蘭』『南十字星』と並ぶ昭和の歴史三部作のひとつとして好評を博している。

これが結果として、私と父が共通して見た数少ないミュージカル作品となった。

父は観劇中ひたすら涙を流し続けていたという。

祖父龍伍は、この作品の劇中歌でもある「異国の丘」がラジオから流れてきたとき、電気が走ったように直立不動となり、じっと聞き込んでいたそうだ。

父はそんな話を後で私に語ってくれた。この曲には思い入れが深かった。」

とある。

なるほど、橋本龍太郎さんのお父さんの橋本龍伍さんが、「異国の丘」の歌に、思い入れがあったということなのだろう。

ちなみに、昭和23年(1948年)8月1日(8月8日という記録もあり、このほうが本当だとすると、まさに58年前の今日ということになる。)に「異国の丘」が、NHKラジオの「のど自慢」(当時は「のど自慢素人演芸会」)で、復員兵の中村耕造さんによって歌われ、一躍有名となった。

そして、佐伯孝夫の加筆、清水保男の編曲がほどこされ、中村耕造さんと、当時のヒット歌手、竹山逸郎さんの吹き込みによってレコード化され、昭和24年4月1日に、ビクターと専属契約、同年9月にビクターから発売された。

この曲は、長いこと、『作者不明』のままであったが、後に、作詞者は、増田幸治さん、そして、吉田正さんが中国の興安嶺に駐屯中のときに作曲されたということが、ご両人の復員後(吉田正さんは、昭和23年8月に、舞鶴帰還、増田幸治さんは、昭和25年(1950年)4月27日に舞鶴帰還)に分かったのである。
(注−このサイトによれば、吉田正が戦時中、「大興安嶺突破演習の歌」として作ったものに、増田幸治が「俘虜の 歌える」という歌詞を作り、副題として「異国の丘」とつけたもので、昭和23年(1948年)8月8日のラジオ「 素人のど自慢」で一人の復員軍人が歌って流行のきっかけとなったという。
また、吉田正さんご自身の回想録によれば、中村耕造さんが、よみ人知らず「俘虜の歌える」と題し、のど自慢でうたったもので、この曲は、吉田正さんが、原題「昨日も今日も」として、作曲したものと、されている。この作詞家増田幸治と作曲家吉田正の二人は、シベリアのウラジオストク郊外アルチョム収容所で、一緒に収容されていたという。)

そのご両人が復員されたときには、当の作詞・作曲家のご両人が知らぬ間に、いつの間にか、日本列島に、この歌が、有名になっていたというわけである。

作詞者の増田幸治さんは、そのときの状況について、このサイト『禁じられた「望郷歌」』で、次のように語っている。

「初めて異国の丘を発表したのは収容所の演芸会だった。合唱していると胸が詰まり、歌いながらみんな泣いた。これ以降作業の行き帰りや夕方の人員点呼時に、皆が口ずさんだ。お互いをいたわり、励まし合うようになり、自分さえよければといった殺伐とした雰囲気は次第に薄れていった。シベリア最初の冬がようやく終わる46年3月ごろだった」

そういえば、このころののど自慢には、シベリア抑留所で歌われた歌も、多く、登場したように、私自身も記憶している。

忘れられないのは、「エラブカ(Yelabuga)の歌」という、シベリアのエラブカの収用所で作られたであろう、なんとも哀愁のある歌だ。

このエラブカ収容所には、相沢英之さんや板垣正さんも、おられたはずだ。

で、何で、橋本龍伍さんが、この異国の丘を聞いて直立されたのかなのだが、大蔵省の大臣官房戦時課長などをされた経歴などがそうさせたのであろうか。

その辺は、よく分からない。

あるいは、ハンディをもつ兵役不可能なご自分が、戦時中も、国内にとどまっていなければならなかった、残躯の身としてのお立場から、異国の丘を聞かれて、抑留中の同志に対して、橋本龍伍さんをして、畏敬の念を抱かせ、「電気が走ったように直立不動」の姿勢をとらしめたのかも知れない。

くしくも、異国の丘が、一復員兵によって、NHKのど自慢で放送されてから、58年目の同じ8月8日に、一政治家の葬儀の中で、音楽隊の演奏によって、しみじみと、流れ出ることを、誰が想像しえたであろうか。

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