Sasayama’s Weblog


2006/04/29 Saturday

家庭用及びこれに類する電気機器の試験について

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 09:14:02

2006/04/28(Fri)
 
nullある政治家ブログに「絶縁耐力試験を、メーカーが1000V/1分で試験しているのものもあり、1200V/1秒で試験しているものもあるのは、どうしてなのか?」という議論が延々と続いていたようなので、余計なこととは知りながら、これについてのコメントを書き込んでしまった。

ご同業の政治家ブログにコメントするのは、潔しとしないのだが、どうも、ブログ内の論議で、試験の概念に混乱が見られているようなので、やむにやまれず書き込んだ、といったところだ。

その後、いろいろ、問い合わせがきているので、以下に、まとめの意味で、この点についての集約をしておきたい。

もっとも、私は専門家ではないので、これ以上のことは、経済産業省か、専門家に聞いていただきたい。

IEEEの規定では、試験のカテゴリー(Test categories)として、

Type test (TT)(型式試験、IEC60950第三版では、1.2.13.1規定).

Production sample test(PST)(抜取試験、同上1.2.13.2規定、第三版からの新規用語定義で、製品ロットから無作為に抽出した一定数の試験品に対して行う試験).

Routine test (RT)(ルーチン試験、同上1.2.13.3規定).

の三つがあるとしている。

(IEC60950(IT機器)、IEC60065(家電機器規格)で規定されており、このうち、IEC60950では、「1.2.13.10爆発限界点」の中に規定されている。

このほか紛らわしい概念として、Verification Testsというのがあるが、これは、上記のProduction sample testと同じ概念と見られる。
このように、Production testには、Routine Tests と Verification Tests(Production sample test)とがあり、この両者の違いについてみれば、前者は、line tests でのbatch毎の全品検査であり、後者は、サンプル検査であり、常時のものではなく、検査の必要性に基づいて行われる検査であるといえる。

この両者の違いについては、このサイト「Requirements of the testing for factory producing control」の下部に詳しく書かれている。

このほかにも、Development Tests Prequalification Tests(事前資格審査試験) 、Electrical Tests after Installation (設置後試験)Acceptance tests 、Conformance tests、Factory Acceptance Test (FAT) 、 Site Acceptance Test(SAT)などがある。)

まづ、、「JISC9335-1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性―第1部:一般要求事項 」のなかの13.3ならびに、「付属書A製品検査の試験」を見ていただきたい。

(JISのサイトhttp://www.jisc.go.jp/から入り、右端の「JIS検索」に入り、「JIS規格番号からJISを検索」にJIS番号「C9335-1 」を入力してください。)

Type Testについては、
「13.動作温度での漏えい電流および耐電圧」(25ページ)の中の「13.3.絶縁部には、50Hzまたは、60Hzの正弦波形電圧を1分間加える。」(26ページ)とあり、その下の「表4.耐電圧試験電圧」の規定がある。

Routine Production Testについては、
「付属書A(参考)製品検査の試験」(83ページ)に「A2.電気耐電圧試験 約50Hzおよび60Hzの周波数の実質的に正弦波形の電圧を、機器の絶縁に1秒間加える。」とあり、以下に「付属書A.1.試験電圧」が掲載されている。

JISの電気分野は、IEC規格と整合がとられており、このJISC9335-1に対応するIEC(国際電気標準会議規格)はIEC 60335-1 (「Safety of household and similar electrical appliances-Part 1: General requirements」)(日本での規格名は、J60335-1)である。

この「IEC 60335-1」の日本版である「J60335-1においても、23ページ「16. 漏洩電流及び耐電性」に「16.3 16.2 の試験を行った直後に、絶縁部分に周波数が50Hz又は60Hz の正弦波形の電圧を1分間加える」とあり、「表5 − 加える試験電圧」に、加える電圧が記載されている。

さらに、冒頭において、「この電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準は、IEC 60335−1(1991),Amd.No.1(1994),Amd.No.2(1999)に対応している基準である。」(2ページ)とし、「4. 試験に関する共通条件」(5ページ)において、「 4.1 当規格に基づく試験は、型式試験である。」としている。

この「IEC 60335−1」の第4版(2001-05)の付属書A(Annex A (informative) Routine tests )において、「1200V1秒」の「hot hipot test 」が規定されており、また、アメリカのUL規格の「UL858」(ANSI/UL 858 -Household Electric Ranges)においても、同様の規定がされている。
参照「Testing & Standards

問題は、「1200V1秒で試験」の根拠となる、この「付属書A」の取り扱いであるが、日本においては、「IEC 60335−1」の日本版である「J60335-1」は「付属書A」が規定されている第4版対応でなくて、第3版対応となっている点であるが、これについては、「電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準について」(平成14・03・13 商第6号平成14年3月18日)があり、このなかで、「4 基準中で国際規格を引用する場合であって、表1、2及び3の中に当該国際規格に対応する基準がある場合にはこれを適用するものとする。」とされており、この表の中に、「IEC 60335-1 」がはいっている(この時点では、IEC 60335-1(1976),Amd.No.1(1977),Amd.No.2(1979),Amd.No.3(1982),Amd.No.4(1984),Amd.No.5(1986),Amd.No.6(1988)に対応)ところから、この「IEC 60335−1」の第4版(2001-05)の付属書A(AnnexA)は、規定とみなされうる。

また、このAnnex Aが「normative(規準)」でなく、「informative(参考)」である点についての見解は、下記の「IEC-J60065」の「附属書N(参考)ルーチン試験」の解釈(「J60065(オーディオ、ビデオ及び類似の電子機器−安全要求事項)の付属書N(参考)の取り扱いについて」平成16年11月27日)に準じるものとして解釈しうる。

(備考-基準適合確認(電気用品安全法第八条第1項 )

届出事業者は、届出に係る電気用品を製造、輸入する場合おいては、国が定める技術基準に適合させるようにしなければならない。

技術基準には、下記の二つの基準がある。

省令1項基準(我が国独自の基準)
(電気用品の技術上の基準を定める省令(昭和三十七年八月十四日通商産業省令第八十五号)「1  電気用品安全法 (昭和三十六年法律第二百三十四号。以下「法」という。)第八条第一項 の経済産業省令で定める技術上の基準は、次の表の上欄に掲げる電気用品の種類ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げる表に定めるとおりとする。 」
「附表第十 絶縁耐力試験 」)

省令2項基準(国際電気標準会議(IEC)が 定めた規格に整合化された基準)
「電気用品の技術上の基準を定める省令(昭和三十七年八月十四日通商産業省令第八十五号)」
「2  経済産業大臣が電気用品の構造、材質等から判断して保安上支障がないと認めた場合は、前項の規定にかかわらず、経済産業大臣が認めた基準を技術上の基準とする。」
電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準の制定について
「4 基準中で国際規格を引用する場合であって、表1、2及び3の中に当該国際規格に対応する基準がある場合にはこれを適用するものとする。」
表1.電気安全に関する基準」)

一方、オーディオ機器については、IEC 60065 「 Audio, video and similar electronic apparatus - Safety requirements 」(日本の規格名はJ60065)が対応しており、これについては、この「IEC-J60065」の「附属書N(参考)ルーチン試験」の中に、「N.2 生産工程の最後での試験」との記述があり、「N.2.1 絶縁耐圧試験」において、「表N.1−試験電圧」で、「定格主電源電圧≦150」のばあいは、「基礎絶縁」が試験電圧の適用個所のばあいには、「1130V」を、「二重絶縁又は強化絶縁」が試験電圧の適用個所のばあいには、「2120V」を、「初め、規定された試験電圧の半分以下を加え、それから1,560V/ms を超えない速さで規定値まで上げて1 秒から4 秒の間維持する。」とある。

この「附属書N(参考)ルーチン試験」の取り扱いについては、経済産業省からのJ60065(オーディオ、ビデオ及び類似の電子機器−安全要求事項)の付属書N(参考)の取り扱いについて」(平成16年11月27日)において、次のような見解が示されている。

すなわち、

「付属書N(ルーチン試験)は(参考)との位置付けであることから、電気用品安全法第8条第1項の技術基準としては適用されない。
しかしながら、同付属書N(参考)で定める「N.2.1 絶縁耐圧試験」を、電気用品安全法施行規則別表第3の「絶縁耐力について一品ごとに行う、技術基準において定める試験の方法と同等以上の方法」と解釈し、同試験に適用することは差し支えない。」

とし、さらに、

「1項基準の電気用品の完成品検査の絶縁耐力では、従前から「技術基準において定める試験方法と同等以上の方法」として「技術基準で定める試験電圧の1.2倍の試験電圧で1秒間耐えること」の耐電圧試験が行われてきた。しかし、J60065では付属書Nでルーチン試験の絶縁耐圧試験を規定していることから、それを採用することが望ましい。」

としている。

(備考 「電気用品安全法施行規則(昭和三十七年八月十四日通商産業省令第八十四号)」
(検査の方式等)
第十一条  法第八条第二項 の規定による検査における検査の方式は、別表第三のとおりとする。
「別表第三 検査の方式 (第11条関係) 」
 (2) 完成品について行う検査
その他の特定電気用品にあつては外観、絶縁耐力及び通電について一品ごとに技術基準において定める試験の方法又はこれと同等以上の方法により行うこと。)

これについては、次のサイトJIS C6065(オーディオ、ビデオおよび類似の電子機器−安全要求事項)改正原案について」(2005年5月)も、ご参照いただきたい。

ここでは、

「一般に電気製品の安全を確保するために生産出荷時には所定の絶縁耐力試験が課せられています。
一方、 IEC60065第7版においてはルーチン試験が付属書Nに「参考」という位置付けで記載されており、これをもって生産出荷時の絶縁耐圧試験を課しているとはいえないという指摘がありました。
一方、関係当局との打合せの結果、 電気用品安全法施行規則別表第三「検査の方式」のなかの「絶縁耐力については一品ごとに、 技術基準において定める試験の方法またはそれと同等以上の方法で行なう」の内容が、付属書Nの要求におきかえて適用することについて問題がないという見解が出されました。
以上を受けて、 付属書Nの絶縁耐力試験の項目を本規格の付属書JA(規定)として入れ込み、製造ラインにおけるルーチン試験の中の絶縁耐力試験は 「規定」となりました。」

とあり、この付属書Nを「同等以上の方法」とみなして、付属書Nの絶縁耐力試験の項目を本規格の付属書JA(規定)として入れ込んだとしている。

このIEC 60065 「 Audio, video and similar electronic apparatus - Safety requirements 」(日本の規格名はJ60065)についても、、「電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準について」(平成14・03・13 商第6号平成14年3月18日)の表の中にはいっており(「International Electrotechnical Commission規格 (以下「IEC」という。) 60065(1998)に対応」と書いてある。)、この中の AnnexNは、規定として準用されるものと思われる。

なお、この「IEC60065」に対応するJISであるJISC6065(「家庭用電子機器の安全性」Audio, video and similar electronicapparatus−Safety requirements)の修正は、まだのようだ。

「IEC 60335-1 」に対応するJISである「JISC9335-1 」についても、(参考)のままのようだが、上記サイト「JIS C6065(オーディオ、ビデオおよび類似の電子機器−安全要求事項)改正原案について」にも「今後、日本工業標準調査会の審議を経てJIS規格として制定され、 その後、電気用品安全法の省令第2項の基準として引用される予定です。」とあるので、JISの整合化も、すでに視野に入っていると見て、いいのではないのだろうか。

以上のことから、電気用品安全法施行規則別表第三「検査の方式」のなかの「絶縁耐力については一品ごとに、 技術基準において定める試験の方法またはそれと同等以上の方法で行なう」の内容を、、「IEC 60335-1 」や「IEC60065」における付属書の要求におきかえて適用することについては、問題がないものと思われる。

(このIEC規格とEUの1973年の低電圧司令(the European Low VoltageDirective (LVD)73/23EEC)との対比表は、こちらのサイト「Official Journal C102 (2005/4/27) に追加された整合規格」ご参照)

以上、「絶縁耐力試験を、メーカーが1000V/1分で試験しているのものもあり、1200V/1秒で試験しているものもあるのは、どうしてなのか?」という冒頭の議論に対して答えるとすれば、以下のようになるだろう。

「IEC(国際電気標準会議規格)の付属書(Annex)ルーチン試験で、「informative(参考)」(Annex (informative) Routine tests )として、1200V/1秒試験が記載」→
「「電気用品の技術上の基準を定める省令第2項の規定に基づく基準について」(平成14・03・13 商第6号平成14年3月18日)で、、「4 基準中で国際規格を引用する場合であって、表1、2及び3の中に当該国際規格に対応する基準がある場合にはこれを適用するものとする。」とする。」→
「付属書(Annex) の、「informative(参考)」を「normative(規準)」とみなす。」→
「IEC 対応JISの見直しを図る」→
「対応JISの見直しによって、電気用品安全法施行規則別表第3の「絶縁耐力について一品ごとに行う、技術基準において定める試験の方法と同等以上の方法」と認める」→
「電気用品の技術上の基準を定める省令(昭和三十七年八月十四日通商産業省令第八十五号)での省令2項基準(国際電気標準会議(IEC)が 定めた規格に整合化された基準)に1200V/1秒試験が該当」→
「1200V/1秒試験が基準適合確認(電気用品安全法第八条第1項 )に該当」
ということになるのだろう。

ここで、Hipot Test(Dielectric Withstand Test(耐電圧試験)、high-potential test(高圧測試))

IR Test(Insulation Resistance Test、絶縁抵抗試験)
との違いについては、次の二つのFAQ
IR Test(Insulation Resistance Test)」
Hipot Test(Dielectric Withstand Test)」
がわかりやすい。

ここでは、IR TestもHipot Testも、新製品または、メンテナンスについての試験であるが、IR Testは、定性試験であり、絶縁耐性の長期の耐力を試験するものであり、Hipot Testは、主として、製品製造ラインの中での試験であり、通常は、IR Testよりも、高圧の電圧で行うものであるとしている。

そのため、もし、被試験装置(DUT:Device Under Test )が先にIR Testの段階で、失格となったばあいには、次のHipot Testでも、失格する可能性が多いということで、この二つの試験がコンビネーションでなされる場合には、通常は、IR Testが最初になされ、次に Hipot Testがされるとしている。

(本来、外観、絶縁耐力及び通電の検査のうち、絶縁耐力試験(dielectric strength test) は、漏えい電流および耐電圧の二つの検査を行うものであるが、そのために、まず、絶縁抵抗試験(IR Test)を行い、次に、耐電圧試験(Hipot Test)を行う、という流れになる。)

Hipot Testの対象については、この試験の性格が、品質管理的意味を持つことから、「全数対象」というのが、世界の主流の考えのようだ。
(これについては、「Exploring the Necessity of the Hot Hipot Test」をご参照。
ここでは、全数検査の必要性について次のように書いてある。
「電気製品の故障を検出するために、このHipot Testは、ルーチンな修理維持の間同様、生産されたすべての製品ユニットの製造過程の間においても、通常的に行われる。」)

また、「なぜ、Hipot Testでは、1200ボルト1秒なのか?」についてだが、下記のFAQ「Dielectric Withstand Test」については、次のように書いてある。

「これは、経験則(Rule of thumb ルールオブサム )に基づくもので、次のような公式に基づく。」として、
「定格100ボルトの場合は、作動電圧100×2+1000=1200ボルト」(これは、俗に、the (2U + 1000 V)-formulaと呼ばれているものである。 )としている。

ここでの、「ルールオブサム」というのは、昔、ドイツのビール作りの職人が、醸造内の温度を、親指を、ビール樽に漬けて、ヤマカンで計ったことに由来しているんだそうだ。

この背景には、the test time reduction (TTR)問題というのもあるようだ。

各種試験の公式については、「Testing Theories and Recommendations」、「Understanding the How and Why of Electrical Product Safety Testing 」、「Basic Facts About High Voltage Testing」などをご参照

「1000ボルト1分」の根拠についても、これは、経験値にもとづくものであるとの見解が有力である。

また、Hipot Testはラインの最終検査であるのだから、そのままの検査でいいはずなのだが、たとえば、下記参考のように、 この過程で、Y キャパシタ (ACから非充電GND間に入れるコンデンサ、ライン・バイパス・コンデンサ) をとりはずすのかというような問題があるように、すでに、部品段階で検査済みのデリケートな部品について、二度の試験を施すことについては、いろいろ、議論もあるようだ。
参考
Understanding the How and Why of Electrical Product Safety Testing
Y Capacitors in Hipot Testing

ルーチン試験の中身としては、Function  TestInsulation TestBurn in がある。

中古品の試験については、「routine maintenance tests 」の考えが適用されるであろう。

このサイト「Electrical Maintenance Tests and Inspections for Distribution Equipment」では、「routine maintenance tests 」として、いくつかの手順が示されている。

また、このサイト「Sensible transformer maintenance」「Sensible transformer maintenance」では、トランスのメンテナンス試験での注意事項が書いてあり、参考になる。

試験に関する参考サイト一覧
A Review of Common  Electrical Safety Test Requirements
Understanding the How and Why of Electrical Product Safety Testing
Understanding Insulation System Testing
DIELECTRIC WITHSTAND TEST
Insulation System Testing
Insulation Resistance Testing For Maintenance & Safety
A Review of Common Electrical Safety Test Requirements
THE NEED FOR HIGH VOLTAGE TESTING IN PREDICTIVE MAINTENANCE PROGRAMS
The Operator’s Guide to Electrical Safety Compliance Testing
Electrical Safety Testing Electrical Safety Testing Reference Guide
Developments in Electrical Safety Testing
「電気用品安全法−電気用品の技術上の基準を定める省令−国際規格からの相違」

私のブログ内での関連記事「音楽家・坂本龍一さんらが電気用品安全法(PSE法)に対する反対ネット署名開始

为翻译对汉语, 使用这
http://translate.livedoor.com/chinese/

Translate
http://www.google.com/translate_t

笹山登生HOME-オピニオン-提言-情報-発言-プロフィール-図書館-掲示板

No Comments »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. | TrackBack URI

Leave a comment

XHTML ( You can use these tags): <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong> .