2006/05/02(Tue)
南米ボリビアのEvo Morales 大統領は、昨日、ボリビア内の天然ガス産業へ、軍隊を派遣し、その国有化を発表した。
外資系会社には、100人の軍隊が、自動小銃を持って張り付いているという。
もし、外資のエネルギー会社が、これに同意しない場合は、国外退去を申し渡すとした。
このボリビアの天然ガス資源国有化の以降は、以前から、先住民民族からの要求の激化などにより、取りざたされてはいたが、軍隊派遣は意外な措置と受け止められている。
ブェネズエラも、国内の30の油田について、最近、外資系石油会社と契約を結びのその60パーセントを国有株とするとの契約を交わしている。
エクアドルも、最近、外資の不当な利益規制規制のための法律をとおしている。
昨年行われたEvo Morales 大統領の選挙の公約では、外資からのロイヤリティー比率を50パーセントとの話であったが、現在では、その比率は、82パーセントに引き上げる方向であるという。
この条件に6ヶ月以内に同意しない外資企業は、国外退去を命じるという厳しいものとなっている。
現在、ボリビアには、25の国際的企業が立地しており、その代表的な外資としては、ブラジルの Petrobras 、スペインのRepsol YPF 、そして、アメリカの Exxon Mobil イギリスのBPなどがある。
もっとも、危機感を抱いているのは、その多くをボリビアに依存しており、ボリビア最大のPetroleo Brasileiro SAのオーナーでもあるブラジルであるとされ、Luiz Inacio Lula da Silva ブラジル大統領は、この件に関しての緊急閣議を開いた。
Petroleo Brasileiro SAは、ボリビアに、1990年半ばから、16億ドルの投資をしているという。
今回のボリビアの天然ガスに対する国有化措置は、序章に過ぎず、今後、森林資源や鉱物資源にまで、国有化の対象を拡大する予定であるといわれる。
森林資源については、丸太輸出規制-材木輸出への転換などを目指しているという。
日本とボリビアとの関係は、沖縄を中心とした、古くからの日系移民の受入関係で深く、今でも、1万3千人の移民の子孫たちがいるという。
輸入品目としては、亜鉛、錫、パープルウッドなどの木材がある。
これら国有化の措置は、今後、ペルーのOllanta Humala次期大統領候補も、自国の鉱物資源やガス資源について、とるものと思われている。
参照「Bolivia seizes natural-gas fields」
「Bolivia Plans to Nationalize More Sectors」
2006/05/04 追記 ボリビアにとっては両刃の刃となりかねない、天然ガス国有化との説
衝撃的なボリビアの天然ガス国有化発表から一夜明けて、いろいろな動きが出てきた。
まず、アルゼンチンを経由して、Repsol SAを持つスペインは、ボリビア政府との交渉団を派遣することとした。
また、ボリビアと友好的な、ブェネゼラのHugo Chavez大統領は、ボリビアに祝意を送り、「ボリビアにわが国も学びたい。」とのメッセージを寄せた。
ボリビアの大統領は、この木曜日に、アルゼンチンのPuerto Iguazuで、ブェネゼラ・ブラジル、アルゼンチンの三大統領とのサミットを行い、話し合いを進める予定であるという。
一方、このボリビアの国有化構想について、果たして、その国有化のために十分な資金と技術と人材がそろうのかを懸念する声も強まってきている。
国有化には、ボリビアのYPFB が当たりことになるのだが、このYPFB には、その運営に当たるための条件はそろっていないの見方が有力である。
今回の三大統領とのサミットの議題には、これらのことも入るものと見られている。
参考「Bolivia’s Leader Faces Complex Task」
2006/05/05 追記 南米3カ国大統領が、ボリビアの天然ガス国有化の方針を容認
本日、アルゼンチンのPuerto Iguazoで、ボリビア(Evo Morales)、アルゼンチン(Nestor Kirchner)、ブラジル(Luiz Inacio Lula da Silva)、ベネズエラ(Hugo Chavez)の四カ国の大統領がサミットを開き、先日、ボリビアが発表した、天然ガス国有化方針を容認した。
この中で、4カ国大統領は、ボリビアの天然ガスについての新価格設定についても話しあった。
ブラジルのLuiz Inacio Lula da Silva大統領は、ブラジルがボリビアに所有している Petroleo Brasileiro SA 会社について、この会談に先立って発表した、ボリビアにおける投資凍結の方針を撤回するとの提案を行った。
そして、「利益が出ている限り、ボリビアへの投資は続ける。」と発表した。
三時間以上にわたる4カ国大統領の会談の後、「ボリビアの国有化方針については、最大限の尊重をする。」との共同談話を発表した。
また、4カ国大統領は、現在ブラジルとアルゼンチンとが、ボリビアに支払っている天然ガスの価格の違いなどについては、ブラジルやYPFE(Yacimientos Petroliferos Fiscales Bolivianos )と、ボリビアとのバイラテラルでの話し合いを続けていくことで、同意した。
また、今後、ボリビアから、供給を必要とする国々に対する天然ガス供給は、保証され、その価格については、すべての政党を含んでのより民主的な方法で、決定されるであろうことが、合意された。
そして、ブラジル・アルゼンチン・ベネズエラの参加国は、ボリビアへの経済的支援をすることについて、合意した。
なお、ベネズエラ大統領は、ベネズエラとボリビアとのキューバを含む社会主義国としての結託によって、ブラジルとアルゼンチンとを排除しているとの憶測については、これを強く否定した。
参考
「Leaders Back Bolivia Gas Nationalization」
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