2006/04/17(Mon)
今日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油5月先物市場では、 66セント上がって、一バーレル69.98ドル となり、テキサス産軽質油(WTI)の5月渡し価格は、一時、1バレル=70・00ドルまで上昇した。
ロンドン市場では、83セント上がって、一バーレル71.40 ドルとなった。
これは、昨年8月の大型ハリケーンのメキシコ湾内石油施設破壊による原油高騰1バーレル70.85ドル以来の高値である。
高値の要因としては、イランの核問題による先行き不透明、ナイジェリアの2月以来とまっているRoyal Dutch Shellの洋上施設の再開見通し困難の予測、などによるものである。
ロンドン市場では、ニューヨークよりも、イラン問題に敏感に反応したものとされている。
各国の石油精製企業のやりくりも、困難となりつつあり、また、日本では、コスモ石油の昨日の市原市の千葉プラントの火災による閉鎖なども、懸念材料となっている。
これらの不安材料によって、ガソリン価格も、0.56パーセント上がって、一ガロン2.12ドルの高値を見せている。
参照
「World oil prices hit $70 a barrel」
「Update 1: Crude Oil Price Hits $70 a Barrel in Asia 」
「Crude Oil Price Hits $70 a Barrel in Asia」
「RPT-UPDATE 1-Oil hits $70 as funds flow in, Iran rumbles on」
2006/04/19追記-原油価格は、更に上昇
月曜日に、昨年のハリケーン時に漬けた高値を上回り、一バーレル69.98ドル となったニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油5月先物市場は、今日、更に高騰し、一バーレル71.60ドルという、史上最高の高値に達した。
これまでの最高高値は、2005年8月30日の一バーレル70.85ドルであった。
新たな高値の要因としては、OPECが、昨日発表の4月月報で、2006年の需要見通しを修正し、日産百四十二万バーレルとしたことが影響しているとされる。
これは、前回月報の見通しである日産百四十六万バーレルよりも、縮小している。
今年のOPEC原油需要予測については、3月月報から同10万バレル上方修正し、平均同2850万バレルとした。
その他、イランの核兵器開発疑惑問題、ナイジェリアのロイヤルダッチシェルの一部閉鎖問題、夏のバカンスでのガソリン事情問題がある。
ロンドンのBrent市場でも、一時一バーレル72.64ドルという市場最高値をつけ、最終72.51ドルとなった。
ガソリン先物は、一ガロン5.42セント、暖房用石油は、一ガロン2.79戦と、天然ガスも、43.1セント上昇し、千立方フィート当たり8.008ドルとなった。
2006/04/21 追記 更に続く、原油価格高騰−イランからの原油出荷停止の観測も-
連日高騰を続けている原油相場は、今日も、上がり、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油6月引渡し分は、一時1バーレル73.50ドルまで高騰した後、1バーレル72.93ドルと、73ドル直前に落ちついた。
要因としては、イランが、核問題沸騰の中で、原油の出荷を取りやめるのではないかという観測が浮上しているためといわれている。
更に、ガソリンの規格が、バカンスシーズンに、新たらしい環境汚染水準に到達しないのではないのかという懸念も浮上している。
参照「Crude Oil Trades Near $73 on U.S. Gasoline Disruption Concern 」
「Oil slides under $73 on profit-taking from records」
2006/04/21追記 イランの大統領が「原油価格は、貧困国は安く、富裕国は、より高く」と言明
イランの大統領マフムード・アフマディネジャード( Mahmoud AHMADINEJAD )氏は、今日、「貧困国が、最近の原油価格の高騰に耐えうるためのスキームを考える必要があるが、富裕国は、今の価格水準では、適切な「実質価格」水準に達しておらず、より高い原油価格を支払うようになるであろう」と言明した。
大統領は、どの程度の水準が富裕国にとっての実質価格水準なのかについては、明らかにしなかったが、イランの国会議員の一人は、一バーレル100ドルが、実質価格水準であるともらしている。
また、大統領が言う、貧困国のために安い原油価格で供給するスキームとしては、OPECファンドの活用を考えているという。
現在OPECの原油生産量は、イラクも含めて、日産二千七百八十一万バーレルであるが、このうち、イランは、三百八十五万バーレルを占めている。
参照「Iran says rich states must pay “real” oil price」
「Ahmadinejad Says Oil Prices Have Not Reached its True Value」
「Ahmadinejad calls for oil industry’s self-sufficiency 」
日本のイランからの原油輸入量は約2億3000万バレル(04年)で、イラクの生産量の15パーセント強を日本が占めており、日本の輸入量全体に占める割合はアラブ首長国連邦、サウジアラビアについでイラクは第3位(15%)である。
2006/04/22追記 原油高は、さらに、1バーレル75.05ドルに記録更新
原油高は、さらに記録更新し、ニューヨーク商品取引所での相場は、1バーレル75.05ドルに達した。
これは、1983年の取引所開設以来の高値である。
また、前年同期比38パーセントの増加である。
要因としては、イランへの核問題を契機にしての経済制裁の高まり懸念と、アメリカの原油輸入量の第五位のシェアを占める、アフリカ最大、ナイジェリアのRebel Oil の襲撃による20パーセント生産能力削減懸念の要因が大きい。
アメリカの石油ブローカー筋では、原油価格は100ドル台を突破すると、予測している。
その理由として、1979年のイラン革命後、1981年2月時点での原油価格1バーレル39ドルを現在のドル値で換算しなおすと、86,88ドルになるからであるという。
参照「Oil Rises to a Record $75.15 on Concern About Iran, Nigeria」
2006/04/23 追記 イランの石油相が、原油輸出先見直しの方針を表明
イランの石油相Kazem Vaziri氏が、ロイター紙に話したところによると、
「イランが経済制裁を受けるいわれはないが、それでも、原油の輸出をストップする気は無い。
ただ、今回の核問題についてイランに同情的な国に対しては、顧客先の振り替えを行うつもりではある。」
と述べた。
イランのEU向け原油輸出先は、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャ、トルコであり、大半は、極東向けに輸出されている。
石油相の発言は、これらの日本を含む極東のイランの核問題に対する対応いかんによっては、これらの分をEUに向けなおすことを示唆したものと思われる。
中国は、ブッシュ会談において、イラン制裁問題について、あいまいな態度をとったため、この点では合格ということなのだろうか。
その意味では、この石油相の発言は、日本に対するものなのかも知れない。
2006/04/23追記 ベネズエラで、共同石油開発会社設立の動き
ベネズエラのOrinoco川流域 産油地帯にある32の個人経営の石油開発会社を統合し共同会社 Petroleos de Venezuela SAを設立し、その共同会社に対して、ベネズエラ政府が51パーセント出資をするという計画が浮上している。
その政府出資を可能にするための新法も、すでに、国会を通過しているという。
この産油地帯においては、国際資本のExxon Mobil Corp., Total SA, Chevron Corp., BP PLC, ConocoPhillips Norway’s Statoil の各社が、トータルで、日産 600,000 バーレルの精製をすでにしている。
ベネズエラ国内の他の32の産油地帯においても、同様の方法での共同会社設立となれば、ベネズエラ政府への税収は、34パーセントから50パーセントへ、ロイヤリティは、16.7パーセントから30パーセントへ、上昇するといわれる。
このような方式の変化が、将来の外資の投資動向に対し、どのように影響するかは、わからないが、いまのところ、Exxon Mobil は、この方式参加を拒絶したが、テキサスを根拠地とするIrvingという会社は、この方式参加に同意したという。
Rafael Ramirez 石油大臣は、Exxon Mobil社に対して、もし、この方式参加を拒む場合は、ベネズエラからの撤退を申し渡したという。
参照「Venezuela to expand joint oil ventures」
2006/04/25 追記 原油価格高騰は一服したが、懸念は増大
今日のニューヨーク商品取引所の原油価格は、一バーレル73.33 ドルとなり、前日比2.5パーセント下落した。
また、ガソリン価格も、前日比 4セント下落し、一ガロン2.174 ドル、暖房用オイルも、2セント下落し、一ガロン2.031ドル、となった。
要因としては、OPECが、「今回の原油高騰は、地政学的リスクの増大と、投機筋の思惑買いによるものでOPECの増産体制に心配ない。むしろ心配は、メジャーの石油精製体制だ。」との声明を出したことと、先週末の高騰分の利益確定の売り急ぎがあったものと見られている。
しかし、高騰要因は、更に、増大しており、特に、ベネヅェラでの国内石油会社国有化の動きと、イランの輸出先国選別化見通しの動きは、大きい。
高騰一服後、更に、一バーレル100ドルラインに向かって高騰しつづけるというのが、大方の見方のようである。
2006/04/26 追記 ブッシュ大統領の各種対策提示で、原油価格高騰は、沈静化の方向へ
4月25日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、ブッシュ米大統領が夏需要に備えての戦略備蓄原油の積み増しの秋までの一時停止を発表したことを受け、指標となる米国産標準油種(WTI)6月渡しは一時、1バレル=71ドル台後半まで下落した。
一方、ブッシュ大統領は、ガソリンに適用予定だった、エタノールなどの添加物添加を義務付ける新環境基準適用の延期も決定した。
更に、ブッシュ大統領は、石油高価格の構造についての調査を開始することを言明した。
これには、石油会社が市場を操作しているかどうかの実態や、ガソリン税の実態についての調査も含まれる予定のようである。
これは、この11月に選挙を控える共和党の下院議員からの危機感にこたえたものもあるようだ。
参照
「Bush Suspends Environmental Rules on Gasoline」
「Bush Orders Investigation Into High Petrol Prices」
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