2005/11/02(Wed)
アメリカFOMCは、昨日、12回目の利上げに踏み切り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準を0.25%ポイント引き上げ年4.0%としたが、市場の反応は鈍いようだ。
もともと、この0.25パーセント刻みの『計られたようなペース」(measured pace)の利上げには、もはや、市場には、チックタックと音を刻むメトロノームのようにしか聞こえないのかもしれない。
今回の利上げの大義名分は、ハリケーンの後始末の保険金支払いによる特需が、景気を刺激することへのインフレ懸念対応の利上げということなのだが。
次の会合は、12月13日のようである。
問題は、むしろ、グリーンスパンの来年1月までの在任中は、この調子の利上げが続くとしても、来年2月以降、新しいバーナンキ議長が、どのような政策展開を図るかに、興味は移ってきているようだ。
このサイト『FOMC Set to Play the Dozens 』では、バーナンキ議長になっても、変化は少ないとする見方が強いとしている。
その理由として、ハリケーンの被害が一過性のものに終わり、エネルギー価格も、低下を見せているし、個人消費支出も、9月には、0.9パーセントと、月間では、1981年以来の増加率を示したこと、などをあげている。
では、現在のアメリカFOMCの計られたペースでの利上げが、いつの時点で終わるのかということについては、おそらく、グリーンスパンがバーナンキにバトンタッチした来年1月31日の時点で、一挙にレートを二段階上げの4.5パーセントにするか、または、12月13日と1月31日との二回に分けて、トータル0.5パーセントの利上げをして、静かな状態で、バーナンキに引き継ぎ、この時点で、計られた利上げの過程は終わるのではないか、という見方のようである。
この1月31日の次のFOMCの会合は、来年3月28日であるが、この時点で、バーナンキが、グリーンスパンの計られたペースでの利上げ路線を継続するかどうかは、疑問とされている。
なぜなら、バーナンキは、強硬なインフレターゲット論者であり、彼の持論からすれば、インフレ抑制路線を継承することは、なかなか、想像できないからであるとされている。
しかし、この憶測に対しては、議会の制約もあり、ここ、数年は、バーナンキ色は出せないのではないかとの見方もある。
これまで、すっかりグリーンスパンに翻弄された感じなのだが、どうも、私は、これは、グリーンスパンさんのマジックだったのではないのかとも、見ている。
すなわち、FOMCの利上げをすること自体が、市場のインフレ期待を生む、という形での、市場誘導のマジックということだ。
ふりかえってみれば、グリーンスパン神話は、先見性への神話ではなく、うまく、直前の状況を先取りした神話の後作りだったということだ。
ちなみに、2002年1月12日の経済見通しでは、当初、グリーンスパンさんは、アメリカ経済についての非観的な見通しを述べたのだが、その数日後、楽観的な見通しに修正してしまったというような経緯もある。
占い師が、自らのカリスマ性を失わないがために、言を変えるというようなものなのだろうか。
この「計られたペースでの利上げ」も、インフレ傾向が見られるから、利上げをするのではなくて、FOMCが利上げをすること自体が、市場のインフレ期待を生み、さらに、それに対して、計られたペースでの利上げをするという、マジックのように見える。
さて、このアメリカの金利動向を受けての日本のゼロ金利脱出のタイミングが、上記のことからすれば、来年の1月31日と、3月28日の前後が、その踏ん切りをつけるタイミングとも、見て取れる。
すなわち、もし、バーナンキになって、これまでの計られたペースでの利上げがストップすれば、その段階で、日本は、ゼロ金利脱出の好機ともいえるが、バーナンキが、グリーンスパンの計られた金利引き上げ路線を継続すれば、その好機が生まれないことになり、日米の金利格差は、ますます、広がり、それが、円安誘導の大きな要因になっていくということだ。
つまり、バーナンキさんのインフレターゲットの持論は、アメリカで生かされるのかどうかではなく、日本で生かされるかどうかが、来年1月か3月のバーナンキさんの動向によって決まってくるという、皮肉な結果となりかねない。
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