Sasayama’s Weblog


2005/10/17 Monday

河岡義裕氏などのタミフル耐性論についての論議が盛んになる。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 08:34:02

2005/10/17(Mon)
 

null私のブログでも、これまで、鳥インフルエンザウイルスに対するタミフル耐性について、何度か、情報の紹介をしてきた。

たとえば『「日本人には、タミフルが効かなくなる」と、香港の薬理学者が警告』
中国のアマンタジン飼料混入疑惑と、人体のアマンタジン耐性化への影響
タミフルは、われわれを、鳥インフルエンザから救えるのか?』
などである。

the University of Wisconsin-Madison の河岡 義裕氏やVietnam’s National Institute of Hygiene and EpidemiologyのMai Leなど15人の科学者たちが、今週発売のネイチャーの10月20日号に、ヴェトナムの少女に見られたタミフル耐性についての論文が発表されるのに先立って、10月14日に、The Washington Post 紙に、その論文の概要が発表され、話題となっている。
Bird Flu Virus That Is Drug-Resistant Is Found in Vietnamese Girl
参照

(追記-雑誌Natureの2005年10月20日号発表の論文名は「Avian flu: Isolation of drug-resistant H5N1 virus」であった。)

日本の厚生労働省も、この河岡氏らの論文の内容を精査し、対応が必要かどうかを検討する方針を明らかにした。

ネイチャーの論文は、まだ、公開されていないが、河岡氏の論文の内容は、次のようなものとされる。

ヴェトナムの14歳の少女は、今年2月に、鶏からでなく、彼女の21歳の兄から、H5N1のヒト→ヒト感染をした。

彼女は、感染する前に、3日間、タミフルを服用した。

しかし、感染防御に失敗した。

その後、服用量を増やし、また、Relenzaの服用によって、最終的には、回復した。

彼女からは、3種類のタイプのH5N1ウイルスが検出され、そのひとつは、遺伝子が変異し、タミフル耐性があるもの、他のふたつは、部分的にタミフル耐性があるものと、タミフル耐性が疑わしいもの、であり、こうして、ウイルスの60パーセントがタミフル耐性を獲得していたという。

これらの3つのウイルスは、最初に感染したウイルスを祖とするものであるという。

昨年の日本の研究では、タミフル服用をした子供たちの18パーセントにタミフル耐性が見られたとの報告もある。

これは、河岡氏の研究によるもので、日本の生後2ヶ月から14歳にわたる子供でA型インフルエンザ・ウイルスにかかり、タミフル服用で治療を受けた子供、50人について調べたところ、その子供たちのうち、9人が、タミフル耐性を有していたことがわかったというものだ。(2004年4月6日の日本感染症学会で報告)
Flu Shows Resistance to Popular Drug 」参照

しかし、これらのタミフル悲観論の台頭に対して、Weill Medical College of Cornell UniversityのAnne Moscona氏は、「だからと言って、タミフルは使い物にならない( not going to work)と考えてはいけない。タミフルは、使い物になる( going to work)。タミフル耐性は、伝播しないし、タミフル耐性がパンデミックにならないと言う理由をわれわれは持っている。」という。

一方、the University of MinnesotaのMichael Osterholm氏は、「タミフルにH5N1防御の手段として、過大な信頼を置くことは、過ちを犯すことになるであろう。動物実験では、もし、タミフル服用前に、ウイルスに感染していれば、その効力はないという結果を得ている。』という。

さらに、ニューヨークのMontefiore Medical Center のBrian Currie 氏によれば、「H5N1がタミフル耐性を獲得していることは、不吉な前兆である。タミフルが、この地域において広く使われてきたところから、タミフル耐性があることは、驚くに足ることではないが、問題は、このタミフル耐性についてのサーベイランス・システムがないことである。この河岡氏らの論文の意味する最大のハイライトは、これらのタミフル耐性についてのサーベイランスを始めるときであることを示唆した点にある。」としている。
Bird flu shows resistance to drug』参照

また、the University of VirginiaのFrederick Hayden博士は、「この例以外でも、タミフル耐性のケースがあったが、これまで、その論文の発表を、科学・医学関係雑誌からことわられてきたケースがある。今回は、周到に発表にまでこぎつけた。』といっている。
Further reports of Tamiflu resistance in avian flu virus pending: expert』参照

これらのことから、各国のタミフル備蓄についての疑義や、タミフル耐性のある人へのRelenzaの服用などが、今、論議されている。

2005/10/17 追記 今回のネイチャー論文と、今年5月のWHOマニラ会議での報告書との関係について。

ProMED情報で、Helen Branswell氏が「Nature 誌のKawaokaらの研究報告で報じられたタミフル部分耐性症例は、2005年5月中旬にWHOのマニラ報告で報じられた症例と同一である。多くの報道が、今回の症例を全く新たな薬剤耐性株の証拠として扱っている。しかし、Dr
Kawaokaは私に対して、Nature 誌の論文内でA/VN/30408と呼んだウイルス株は、以前の報告にあったA/VN/HN30408と同一であると確認した。」
と述べている点についてであるが、このへんの事情については、この記事「Further reports of Tamiflu resistance in avian flu virus pending: expert」で、述べられている。

河岡氏は、5月6日から7日にかけて、マニラで開かれたWHOの会議にも出席してないないし、マニラ会議のレポートも読んでいなかった。

そして、河岡氏は、先週の土曜日に、このマニラ会議でのものと、今回のネイチャーの記事のものと、同じウイルスであったと、確認したとしている。

このマニラ会議の報告書は、 the New England Journal of Medicineの先月9月29日号に「Avian Influenza A (H5N1) Infection in Humans」(The Writing Committee of the World Health Organization (WHO) Consultation on Human Influenza A/H5 )として発表された。

この中で、
“High-level antiviral resistance to oseltamivir results from the substitution of a single amino acid in N1 neuraminidase (His274Tyr). Such variants have been detected in up to 16 percent of children with human influenza A (H1N1) who have received oseltamivir. Not surprisingly, this resistant variant has been detected recently in several patients with influenza A (H5N1) who were treated with oseltamivir.”
(概訳–オセルタミフルに対する高度の耐性は、N1ノイラミダーゼ(NA)であるHis274Tyrのなかの、ひとつのアミノ酸の置換によって起こる。
このような変異は、オセルタミフルを処方されたH1N1インフルエンザA型感染の子供たちの16パーセントに見られた。
当然、このような耐性変異ウイルスは、最近、オセルタミフルを処方された幾人かの患者からも検出されてきている。)

とかかれている。
以上

参考 タミフルがヒト感染鳥インフルエンザ・ウイルスに効く仕組み

タミフルは、ノイラミニダーゼ阻害剤との名のとおり、ノイラミニダーゼという酵素の働きを邪魔するための薬です。

この『感染症情報センター』の解説
によれば、

ウイルスの経路としては、

”,覆匹両緘藝挧Δ砲△襯轡▲觧世傍枌紜

▲┘鵐疋汽ぅ函璽轡垢砲茲蟶挧Δ房茲蟾まれる。→

K賤珊腓砲茲辰謄螢椒魅レオプロテイン(RNP)が細胞内に放出→

RNPは細胞核へ輸送され、その中で増殖→

ゥΕぅ襯肯鎧劼侶舛妊離ぅ薀潺縫澄璽爾瞭きにより細胞から切り離され、細胞外へ放出

ということですから、ノイラミニダーゼという酵素が働くのは、上記のイ涼奮ということになります。

このイ涼奮で、タミフルという名の、ノイラミニダーゼ阻害剤が、ウイルス粒子の形で細胞から切り離され、細胞外へ放出するのを阻止する、ということになります。

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