2005/09/03(Sat)
ブッシュ大統領が、シーアイランド・サミットで、日本の小泉総理に会ったとき、「ウチのバーニーが、『コイズミによろしく』と言っていた」といって話題になったブッシュ大統領のスコッチテリアの愛犬「バーニー」だが、今回のニューオーリンズの災害被災に当たっては、ブッシュ大統領に悪い印象を与えてしまったようである。
ブッシュ大統領が夏期休暇先のテキサスからワシントンへ帰ってきたのが、ニューオーリンズ被災(8月29日)の二日後(8月31日水曜日の午後)というから、それだけでも、非難を浴びる要素となるのだが、その休暇から帰って、ヘリコプターから降り立つときの映像が、まことにまづかった。
ヘリコプターのタラップを一足先に降りたブッシュ大統領が、タラップの上で待っているバーニーを抱え下ろして、放ってやった。
普通なら、ヒューマンに見える映像だが、被災地のかたから見れば、「何だ。大統領は、被災のわれわれよりも、犬のほうが大切なのか。」と、映ってしまったのではないのか。
このサイト「Katrina: Hip-Hop Reacts and Responds」で、被災地の一市民は、こう語っている。
「私は、ブッシュ大統領が、犬を抱えて出てくるところを、テレビで見ました。なんと、彼は、休暇中だったんです!!事態が悪化しているのに、誰も、そばにいないんです。」(”I seen [George W. Bush] walk out [on television] with a dog. He was on vacation!” “When things go wrong, no one’s around.”)
このサイト「Nagin throws in with Bush police state」では、こうもいっている。
「もし、バーニーがニューオーリンズにいたなら、ブッシュ大統領は、愛犬を救うために、十万の部隊を派遣したであろう。」(If Barney had been in New Orleans, Bush would have had 100,000 troops in there to rescue him.)
また、ベネズエラのチャベス大統領は、ブッシュ大統領の初動の遅延に対して、「あのひと(ブッシュ大統領)は、休暇の王様(’king of vacations’ )で、テキサスの牧場に座ったまま、何もしないでいて、人々に高いところに逃げろとばかり言う。これが、カウボーイの精神構造なんだ。」と、手厳しく非難した。
「Chavez Frias: Bush failed Katrina evacuation; calls him the cowboy King of vacations」参照
さらには、ニューオーリンズの市長は、ブッシュ大統領に対して、「大統領権限を、全部私にくれ。そうすれば、私は、何でもやる。戒厳令(martial law)の適用もしてくれ。」(”Now get off your asses and fix this. Let’s do something and let’s fix the biggest goddam crisis in the history of this country.”. )といった。
「Transcript of radio interview with New Orleans’ Nagin」
参照
ブッシュ大統領の被災地救援の遅れの不始末に対する批判は、日に日に高まるばかりのようだ。
「Bush criticised on chaos in New Orleans」参照
「イラクよりも、ニューオーリンズを」といいたいところなのだろう。
しかし、ブッシュ大統領は、「このようなハリケーン被害復旧の中にも、イラクへの巨額の出費をつづけるのか?」という問いに対して、こう答えたという。
「われわれは、そのどちらの出費にも行えるに十分な資源がある。われわれは、テロリストからこの国を守ると同時に、この被災地域の再建も、行うのだ。( “We’ve got plenty of resources to do both. We’ll secure our country from the terrorists and we’ll rebuild this area. We’ve got what it takes to do more than one thing.”)」
「Bush seen as doing too little, too late 」参照
かくも、被災に当たっての、政治家の一挙手一投足には、慎重さを要するのである。
私も、長いこと、災害対策委員なるものをおおせつかり、全国の被災地を、飛び回ってきた。
昭和57年7月kの長崎水害の時には、鳴滝の被災地現場で、たった今発見された遺体とすれ違ったこともあった。
昭和61年8月の宮城県の吉田川の洪水による鹿島台水害視察の時には、地元の伊藤宗一郎先生団長の下に視察したが、出迎えた地元の方から「まよえ」(弁償しろ。)の大合唱が湧き上がったこともあった。
宿に着けば、ビール一杯も飲むこともできない。
それは、気の使う仕事であった。
新潟の豪雪視察のときだったか、視察団の一人が、帰りの荷物整理で、視察先でいただいた資料を、駅のゴミ箱に捨てたということで、騒ぎになったこともある。
これほどデリケートな、災害視察なのである。
ブッシュ大統領の犬(ポチではない。)についても、そこまでは、考えなかったのは、無理もないのだが、なんとなく、あの映像で、どうも、ブッシュさんは、弱者の味方ではないな、と、私自身も、思ってしまった次第である。
このサイト「Bush’s belated visit fails to appease his critics as estimated death toll tops 10,000 」
では、今回のニューオーリンズの自然災害は、もはや、ブッシュ政権の政治的災害へと転化してきた(He is on top of a natural disaster that is turning into an political disaster for his administration. )と書いてある。
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