2005/09/01(Thu)
以前、私の掲示板で、「農林水産省に人畜共通感染対策室的なものを設ける必要があるのではないか?」などと、提案したことがあるが、ますます、そのような感じを強くしている。
それは、単に、農畜産業従事者のためだけでなく、地域保健対策としても、これから、ますます、重要なことになってくるからだ。
人畜共通感染症は、鳥インフルエンザやブリオン病に限らず、多方面にわたりうるし、これらが、それぞれ、相互に関連しあっている可能性も否定できない。
このサイト「Probable Human Infection with a Newly Described Virus in the Family Paramyxoviridae 」
http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol4no2/chant.htm
は、1998年のちょっと古いサイトだが、具体的な例を挙げて、農畜産業従事者のかかりうる人畜共通感染症の例について述べている。
そのひとつは、パラミクソウイルス(Paramyxoviridae)への農畜産業従事者の豚を介しての1997年8月の感染例である。
このパラミクソウイルス(Paramyxoviridae)科には、ニューカッスル病(Newcastle disease virus)や、大コウモリ(fruit bat)を自然宿主としているヘンドラウイルス(Hendra virus以前は、馬モービリウイルスEquine morbillivirus (EMV)と呼ばれていた)や、豚などを介してのニパウイルス(Nipah virusまたはHendra-like virus)などがある。
このサイト「Newcastle Disease Virus 」http://pathport.vbi.vt.edu/pathinfo/pathogens/NCDV.htmlでも、ニューカッスル病の人への感染例などが掲載されている。
これに対して、鳥インフルエンザは、オルソミクソウイルス(Orthomyxo virus)科に属している。
また、蚊によって媒介されるとする鶏痘ウイルス(Fowlpox virus)は、ポックスウイルス科 (Poxviridae)のアヴィポックスウイルス属(Avipoxvirus)に属する。
先に 「トリインフルエンザの抑止・根絶におけるワクチンとその使用」をみてびっくりしたのだが、ワクチンベースでは、これら科の違う鶏痘ウイルスワクチン(ポックスウイルス科)やニューカッスル病ウイルスワクチン(パラミクソウイルス科)に、鳥インフルエンザ遺伝子を組み込んで、鳥インフルエンザワクチン(オルソミクソウイルス科)として、使われているということであった。
ちなみに、メキシコでは、1995年1月から、鳥インフルエンザ・ワクチネーション・プログラムが実施され、130億服の不活化ワクチンと、八億五千万服の鳥インフルエンザ組み込みの遺伝子組み換え・鶏痘ワクチン(recombinant fowlpox vaccine containing an avian influenza virus gene または、Recombinant fowlpox virus-vector vaccine)が、使用された。
これによって、1995年6月までに、高病原性のH5N2は、根絶されたが、低病原性のH5N2は、根絶されえず、中央メキシコに、今も、循環している。
http://www.forth.go.jp/hpro/bin/hb2141.cgi?key=20050308-0030
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=9454926
http://66.102.7.104/search?
q=cache:xLbkVIfiVa0J:www.cvm.uiuc.
edu/faculty/path/tripathy.html+recombinant
+fowlpox+virus+vaccine++avian+mexico&hl=ja
参照
この鳥インフルエンザ組み込みの遺伝子組み換え・鶏痘ワクチンは、メキシコで使うために、Boehringer Ingelheim Vetmedica社が、ライセンスを持つものである。
また、これらは、1999年から2001年にかけて、グアテマラやエルサルバドルでも使われた。
この報告書「Failure of a recombinant fowl poxvirus vaccine containing an avian influenza hemagglutinin gene to provide consistent protection against influenza in chickens preimmunized with a fowl pox vaccine.」
によると、この鳥インフルエンザ組み込みの遺伝子組み換え・鶏痘ワクチンは、第一回目は、効くが、二回目には、効かないことで、低病原性鳥インフルエンザウイルスには、有効でないとしている。
こうなると、行政も、これら関連ワクチンの管理をしっかりしなければならないのではなかろうか。
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