Sasayama’s Weblog


2005/08/05 Friday

低毒性時代の日本の鳥インフルエンザ対策についての、ひとつの提案

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:25:35


2005/08/05(Fri)

null 私の掲示板では、これまでに、Tさん、Hさん、Nさんなどから、低毒性ウイルス時代での、わが国の鳥インフルエンザ対策の盲点についてのご指摘がありました。

ここで、これまでの議論を以下にまとめ、私の掲示板としての提案をして見たいと思います。

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現在の日本の鳥インフルエンザ対策の問題点と、提案

現在の家畜伝染病予防法ならびに、各県の高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルなどに基づく、日本の鳥インフルエンザ対処方針では、農場で、鳥インフルエンザ抗体陽性が確認され、 動物衛生研究所でのPCR検査陽性となった場合には、PCR検査陽性分については患畜とします。

残りの移動制限区域内の農場の飼養鶏については疑似患畜とします。

また、これら、患畜または擬似患畜と、発生が確認された日の28日前以内に、同居していた飼養鶏を「おそれ畜」とします。

日本では、病原性の強弱にかかわらずH5亜型及びH7亜型のウイルスはすべて高病原性鳥インフルエンザとして取扱うこととしています。

したがって、H5亜型及びH7亜型ウイルス確認の場合には、病原性の強弱にかかわらず、発生農場及び発生農場と同一飼養者が管理している農場の飼養鶏は、すべて殺処分とします。

しかし、Tさんのご指摘では、PCR検査が有効なのは、病気で死ぬ間際あるいは直後の、ウイルス粒子のある段階での検査で、その発症衰弱・へい死の原因がある特定のウイルスによるものではないかとの推定に基づいて、あるかないかの判別をするだけであり、 「PCR検査」の陽性陰性が、「ウイルスの感染経験」を判別「確定」するものたりえていない、とのご指摘です。

すなわち、健康状態でのPCR検査は、もちろん、感染未経験は陰性になるが、一方で、「感染経験ありで、特異抗体を獲得し、ウイルスを排出(増殖)しない状態」のときもまた、陰性になってしまい、たとえ、キャリア(ウイルス保持個体)であろうとも、ウイルスがあるとは判断することができないということです。

このご指摘のとおりであるとすると、低毒性の鳥インフルエンザウイルスが蔓延している現在の日本の状態からすれば、現在の対処方針では、動物衛生研究所でのPCR検査陰性となったばあい、感染経験ありで、特異抗体を獲得し、ウイルスを排出(増殖)しない鶏や、キャリア(ウイルス保持個体)の鶏を、見逃してしまうことになります。

つまり「PCR陰性ならば、放置」という、二値的対応が、 時系列的には、新たな、感染の原因を作ってしまっている、ということになります。

そこで、Hさんからの提案では、抗体陽性やPCR陽性農場で、高病原性でないH5系の感染が疑われる場合、その農場のみにワクチンを接種することによって、もしかして農場にまだ潜んでいる野外ウイルス株を押さえ込むことにより、感染拡大を防ぐという方法を提案されています。

このHさんのご提案の延長線上には、移動制限区域内の農場の飼養鶏についてのワクチン接種も、考えられているものと思われます。

このような第三の道というか、オルタナティブな方針を採ることによって、PCR検査陰性の農場が、次から次へと、低毒性ウイルスの時間差攻撃で、 後に、感染拡大の温床となるような事態を防ぎ、いたずらな、経済的損失を与える「抗体陽性やPCR陽性なら殺処分」「PCR陰性ならば、放置」という、二値的対応に起因した、いたちごっこを避けることができるという提案です。

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

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