2005/07/24(Sun)
アスベスト問題に派生して、ロックウールの安全性について、消費者からの問い合わせが多くなっているという。
ロックウール工業会などは、ホームページや資料で「ロックウールの繊維は石綿より大きく人が吸い込みにくい。世界保健機関(WHO)も発がん性を認めていない。 」として安全性を訴えているという。
人造鉱物繊維(Synthetic mineral fibres (SMF))と呼ばれるロックウール(岩綿)やグラスファイバーの肺がんの発がん性への長期的影響について、サイト「Guidelines for the control of synthetic mineral fibres (SMF)」
http://www.nohsc.gov.au/OHSInfor
mation/Databases/Archived/pamdetails.asp?pgmid=1465
で、the International Agency for Research on Cancer (IARC)は、次のような見解を示している。
ロックウール(岩綿)
実験動物と人間とに対して、肺がんの発がん性への一定限度の証拠が見られた。
グラスファイバー
実験動物に対しては、肺がんの発がん性への十分な証拠が見られたが、人間に対しては、十分な証拠が見られなかった。
スラグウッド(Slagwood (Man-Made Fibers ))
実験動物に対しては、肺がんの発がん性への十分な証拠が見られなかったが、人間に対しては、一定限度の証拠が見られた。
セラミックファイバー
第2のアスベストともいわれているものだが、実験動物に対しては、肺がんの発がん性への十分な証拠が見られたが、人間に対しては、今のところ、証拠が見られなかった。
ということで、この人造鉱物繊維の中では、ロックウールの肺がん発がん性については、かなり危険ゾーンにはいっているようだ。
なお、人造鉱物繊維(Synthetic mineral fibres (SMF))の発癌性に関し、IARCは2002年の再評価で、下記のとおり、分類の引き下げをした。
Glasswool (Group 2B) → Insulation glass wool (Group 3)
Glass filaments (Group 3) → Continuous glass filament (Group 3)
Rockwool (Group 2B) → Rock (stone) wool (Group 3)
Slagwool (Group 2B) → Slag wool (Group 3)
Ceramic fibres (Group 2B) → Refractory ceramic fibres (Group 2B)
参照
http://www.inchem.org/documents/iarc/vol43/43-01.html (1988)
http://www.inchem.org/documents/iarc/vol81/81.html (2002)
2003年11月時点においては、次のサイト「Evaluation of Fibers as to their Carcinogenicity」
http://www.osha.gov/SLTC/syntheticmineralfibers/table2.html
の表のようになっている。
ここでは、Refractory ceramic fibersとSpecial-purpose glass とが、人体に発がん性の可能性ありとしている。
なお、人造鉱物繊維の曝露基準は、下記のとおりになっている。
「Exposure Standards–Synthetic Mineral Fibres (SMF)」http://www.nohsc.gov.au/ohsinformation
/databases/exposurestandards/az/synthetic_mineral_fibres_smf.htm参照
セラミックファイバー(Ceramic fibre)
TWA: 0.5 f/ml
STEL: - ppm - mg/m3
グラスファイバー(Glassfibre):
TWA: 0.5 f/ml
STEL: - ppm - mg/m3
ロックウール(Mineral wool):
TWA: 0.5 f/ml
STEL: - ppm - mg/m3
TWA–時間荷重平均曝露限界値
STEL–短時間曝露限界値
IARC(国際がん研究機関)の見解「International Agency for Research on Cancer (IARC) - Summaries & Evaluations」http://www.inchem.org/documents/iarc/suppl7/asbestos.htmlを見ると、複合曝露による発がんリスクというものに、重点をおいてきているように見える。
これは、人造鉱物繊維のみならず、石綿についても、そのことがいえる。
ちなみに、各種ある石綿(アクチノライト、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、クリ ソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、トレモライト)のうち、各国は、クリソタイルのみ例外利用を認めているのであるが、複合曝露については、異なる見解を持っている。
参照「クリソタイル研究所(カナダ)の「よくある質問」」http://park3.wakwak.com/~hepafil/file1/foreign/2005-6-1.html
「海外のアスベスト規制1-4」
http://blog.livedoor.jp/taoconsul/archives/2005-07.html
このサイト「 How you can get asbestos disease 」
http://www.johnpickering.co.uk/howyoucanget.htm
によれば、
クリソタイルの用途としては、スプレー・アスベスト・コーティング、吸音板、ガスケット、ボイラー導管のシーリング、電線の網状材料、耐熱カーテン、耐熱手袋、耐熱エプロン、屋根用フエルト、可燃性ボードのコーティング、耐熱性ラミネート管、屋根壁材、などなど、多岐に渡っている。
クリソタイルの複合曝露についてみると、中皮腫( mesotheliomas)のリスクについては、クリソタイルのみのリスクよりも、巻き毛状の繊維のクリソタイルと、棒状のファイバーを持っている、角閃石amphibolesとに、複合的に曝露された場合には、リスクが高まるとしている。
日本産業衛生学会の「三酸化砒素・石綿・ベンゼンに係る日本産業衛生学会及びACGIHの提案理由の概要」http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1126-8f.htmlにおいても、許容濃度の勧告値として、
「クリソタイルのみのとき」を「クリソタイル以外の石綿繊維を含むとき」の5倍にしている。
今後、石綿や人造鉱物繊維について、これらの複合曝露のリスク評価についても、考えていかなければならないものと思われる。
さらには、「カーボン・ナノ・チューブ」や「バッキーボール(buckyball)」などの、炭素関連新素材の発がん性についても、今後、考慮していかなければならないものと思われる。
参照「Nanomedicine, Volume IIA: Biocompatibility」
http://www.nanomedicine.com/NMIIA/15.3.2.1.htm
なぜなら、これらも、今後、第二第三のアスベスト類似問題になりうる恐れがあるからだ。
以上
参考-人造鉱物繊維(Synthetic mineral fibres (SMF))の健康上の問題に関する参考サイト
「Synthetic Mineral Fibres(SMF)」
http://www.workershealth.com.au/pdfs/019SMF.pdf
「Synthetic mineral fibres」
http://www.nohsc.gov.au/OHSInfor
mation/Databases/Archived/pamdetails.asp?pgmid=2079
「Code of practice: Safe Use of Synthetic Mineral Fibres」
http://www.workcover.nsw.gov.au
/NR/rdonlyres/1AE9E800-14E
D-4615-BCBC-747B0DB78FB1/0/cop_synthetic_4095.pdf
「EURIMA - Using Mineral Wool - Health Aspects 」
http://www.eurima.org/using_m
ineral_wool/health_aspects.html
「F] CODE OF PRACTICE Code of Practice for the Safe Use of Synthetic mineral fibres」
http://www.civeng.unsw.edu.au/safety/pdf/fibres_COP.pdf
http://www.nohsc.gov.au/OHSInformation
/Databases/Archived/pamdetails.asp?pgmid=1465
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