Sasayama’s Weblog


2004/11/28 Sunday

すでに「ルック・イースト政策」見直し機運の中にある東南アジア諸国の意図を忘れた小泉・町村発言

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:30:44

2004/11/28
 
東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議のためにビエンチャンを訪れている町村信孝外相は28日、記者団に対し、中国への政府開発援助(ODA)について「ASEANの中にも、タイのようにODAから卒業している国もある。中国だから特別に供与するということにはならない」と述べ、見直しに積極的な考えを示した。
また、小泉純一郎首相も、28日夜、ラオスの首都ビエンチャン市内のホテルで同行記者団と懇談し、中国への政府開発援助(ODA)について「中国は目覚ましい経済発展を遂げている。もう卒業の時期を迎えているのではないか」と述べ、対中国ODA打ち切りの可能性に言及した。
一方、中国の李肇星外相は27日、「中国国民は自国の力、知恵、決意、自信だけに頼る必要がある」と述べ、自力で国家を発展させることができる、との認識を示した。

というのだが。

この町村発言は、2002年10月9日にタクシン首相が、「タイは日本のODAに関心を持っていない」と発言したことに対する、間接的な意趣返しのようなものであろう。
この発言については、たまたま、私のサイトで、仮訳を起こしていたので、念のため、もう一度、そのタクシン首相の意図を確認してみよう。
タクシン首相は、このとき、こうも言っているのである。
「過去において、われわれは、日本や他の国から、多くの援助を得てきた。しかし、今日、タイ国よりも、もっと貧困な多くの国が、援助を必要としていると考えるようになった。タイ国は、まだ豊かとはいえないが、自らの足で自立したいと考えている。」
このときのタクシン首相の表面的意図は、タイに隣接するラオス・カンボジャ・ミャンマーの三国に財政援助を行うことによって、「それらの国での経済的な困難により職を探し、タイ国へ不法入国する経済難民が増えることで、タイ国への負担が増すのを、間接的に軽減しうる」ことにあるとしている。

しかし、そのこと以上に、このタクシン首相の考えの根底には、この発言の一ヵ月半前の2002年8月28日に、ルック・イースト20周年の記念式典で、前マレーシア首相のマハティールさんが、「ルックイースト-日本に学べ-」政策の見直し発言の中で、痛烈な日本批判をしていたことが、ベースにあると見られている。
1992年10月14日、香港で「日本もし、なかりせば」との演説をしたマハティールさんが、10年後にして、それとはまったく反対の意味の演説を、このとき、行ったのである。
この席で、マレーシアの前マハティール首相はこういっている。
「ルックイースト政策の導入後、20年以上が経過したが、発展途上国の中では、もっとも急速な経済成長を見たものの、同時に、われわれのモデルとしてきた日本や韓国において、幾多の困難な問題が発生しており、明らかに、ルックイースト政策の見直しを迫られているのも事実である。
もちろん、今でも、日本や韓国の経済発展の基本理念である政府部門と民間部門との協調による発展の手法についての確信は持ち続けている。
しかし、ルッキングイースト政策は、単に、これらの国の手法を真似するだけなのではなく、これら、日本や韓国がとってきた間違った政策段階の側面についても、学ばなければならないのである。」
すなわち、タイ・マレーシアは、これまでの、「日本に学べ」政策を見直し、自らの力で立つことを模索しようとしていたのである。
http://domino.kln.gov.my/kln/statemen.nsf/018b6d6fcb9d69
dbc8256b3500168b88/16d9211f8d5eeb0848256c2f00091388?OpenDocument
 参照
あたかも、ODAをひとつの寄せ餌にして、東南アジア諸国の気を引こうとする時代は、とうに終わったのに、中国に対しても、まだ、それをひとつの外交上の駆け引きの材料にしようとの意図を、小泉・町村発言には感じる。
日本は、もはや、東南アジア諸国の学びの対象とはなっていないし、また、ODAも、外交上で威力を発揮する小道具とは、もはや、なっていないのである。

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