Sasayama’s Weblog


2009/09/12 Saturday

鳩山不況を乗り切るには

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 06:55:52

2009/09/12(Sat)
 
今朝は、ドル円が、90円を割り込む寸前(90.22円)まできましたね。

来週は、89円台にまで進むことは確実のようです。

先週のいわずもがなの不用意な藤井発言(9月3日のブルームバーグ・ニュースとのインタビュー「日本は基本的には円高がよい」、「円高政策をとる必要もないが、円安によって輸出を伸ばす政策は間違いだ」)も影響しているのでしょう。

この発言って、普通に「Benign neglect 」政策(慇懃な無視政策、あるいは、意図された放置シナリオ-benign scenario-)ですよね。

無視ないし放置するのであれば、何も、いまさら、ことあらだてて、口先介入(verbal intervention)的に言う必要もないことです。

2chには、こんな恨み節的投稿もあって—
「しかし藤井という爺さんの発言は市場を甘く見た不用意な発言だったな。
たとえ介入する気はなくても言葉に出しちゃいかんだろ。 」
(だったら、ショート・ポジション立てとけよ、って言いたいですが—)
(こちらのサイトに、マクロ経済に関する民主党議員の失言集がありますね。)

まあ、みずほ証券の上野泰也氏が言われるように、民主党は、外貨準備運用でのドル偏重を批判しているのですから、「大規模な円売りドル買い介入を行えばドル建ての外貨準備を積み上げることになり、自らの主張と整合性を欠くことになる」と言われるのは、理屈にかなっていますね。

なぜならば、過去の巨額の為替介入の結果が、米国債の積み増しとなっており、その積み増し分は、外国為替資金特別会計での政府短期証券(外国為替資金証券)と両建てになっているわけですから。
参考「米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?」

ですから、逆から言えば、外貨準備高のドルへの偏重を批判するのであれば、為替介入はできない、という理屈になってしまいますね。(でも、民主党のかたがたは、そこまで考えて、これまで、アジア共通通貨論たらなんたらも含めて、かなり、うかつな発言をしてきたんでしょうかね。ちょっと疑問ですが。)

これからは、「日本版双子の赤字」なんてのもあり–?

そんなこんなで、民主党政権の財務大臣が藤井裕久さんというアナログっぽいかたでは、守りの政治はできても、市場の好感は得られないでしょうね。

第一、世界の財務相・中央銀行総裁会議でよたよたされたんでは、日本の印象がた落ちですもんね。

財務大臣の年齢は、日本のファンダメンタルズのひとつになりえます。
(そういえば、例の「あのー・・フッ・・・・オマ?マ政権に対して–フッ–日本は–フッ–早く–フッ–適切に–フッ–」も、日本のファンダメンタルズを著しく低下させましたね。もっとも、あらためて、このノーカット版見ている限りでは、最初のコメント時点では結構まともですね。白川総裁のコメント中で、急に酔いが回ったんでしょう。見ているほうがなれたんでしょうかね。あんまりおかしいところはないようにも見えたりして−−不思議ですね。)

いつだったか、塩川さんが、G7財務相・中央銀行総裁会議で、疲労困憊で、あらぬことをしゃべって、問題になったこともありましたっけ。

Shiokawa Seesawing May Damage Japan MOF’s Credibility “でしたっけ。(このとき塩川さんは、80歳、藤井さんは、現在77歳)

榊原英資さんならともかく。

この「鳩山政権→円高→日経平均低落→企業マインド低落」という、鳩山不況(あるいは、ポピュリズム不況とでもいえるんでしょうか。)ともいわれるマイナスのスパイラルをプラスに転じるには、やはり、奇手妙手はないようで。

今日的ビッグプッシュ政策と大幅減税の実施しかないようです。(レーガノミックスならぬピシ゜ョノミックス-Pigeonomix-ってことになるのかしら?)

子ども手当てや戸別所得補償などのダイレクト補助金通販的な政策は、効果発現にいたるまでの漏れ(リーケージ)が大きい政策ですので、しかも、小切手社会ではない、加えて、納税者背番号制のない日本では、膨大な事務費負担の増加(特に、適格者の名寄せに伴う事務負担は大きいでしょうね。まして、戸別所得補償では、農協を敵にまわして、事務委託もしないで、どうやって、やるんでしょうかね。もっとも、送金手数料収入が増える金融機関や日本郵政などは、いい思いするでしょうけど)をともなうものなので、経済効果的には、期待されたほどのものはないでしょう。

まさに、「局所最適・全体最悪」的政策といえましょう。

第一、税金ってのは、まとめて使ってもらうために納めるもんでしょう?

非分割性(Indivisibility)のメリット、というのが、そこにあるはすです。

もちろん、規模の経済よりも、範囲の経済を重んじた歳出のあり方、というスキームについては考えなければならないのでしょうが。

いつだったか、うちの町内で、町内会費があまったっていって、地元商店街で使える500円の商品券で返してきたことがありますが、「だったら、町内会費をとるんじゃないよ」って言いたいのとおんなじことですよね。

いいかえれば、「ダイレクト通販的な補助金」って言うのは、「レバレッジのない補助金の分配形式」ともいえますね。

徴税コストと分配コストが、往復ダブルにかかってしまう、という点が難点ですね。

FX取引などにたとえれば、スプレッド(売値(Bid)と買値(Ask)との差)が広くて、ブローカー手数料がウリ・カイにダブルにかかって、しかも高率という、なんとも食えないFX会社のようにも、財務省がみえてしまいます。

砂地に水が音もなく吸われていくように、「ダイレクト通販的な補助金」というのは、日本経済の隙間に吸われていって、その効果の顕著さは、だれしも知ることができない。ということなのでしょう。

まさに「デフレの罠」のいい獲物って感じなんでしょう。

永遠の地下水として、地中に滞留してしまうのか、それとも、ポンプアップされて、消費に向かうのか−−といったことなのでしょう。

それにしても、新政権は、人材不足のようです。

さらに加えて、それにしても、毎日、映し出される田園調布の鳩山さんの豪邸のきらびやかな画像ほど、格差社会のもうひとつの極を象徴している画像はないものとおもわれます。

例の毎朝メザシ粗食の土光敏夫さんが中曽根政権下の第二次臨時行政調査会(通称土光臨調)会長のとき、橋本龍太郎さんは、その自民党側の表裏一体をなしうる自民党の行財政調査会長でした。

そのころの橋本さんは、おんぼろ中古のクラウンに乗って、毎日、自民党本部に乗り付けていた画像を、私は、今でも鮮やかに思い出します。

たとえ、ポーズであったとしても、それが、いま困難に直面している国民の前で、戦戦兢兢とするべき政治家の姿のあらわしかたであると、私は思うものですから。



 

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