Sasayama’s Weblog


2009/08/19 Wednesday

大前研一さんの時評コラム「哲学がない民主党、「知恵者」はいないのか」 から感じることなど

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 09:21:03

2009/08/19(Wed)
 
nullこの大前研一さんのコラム「哲学がない民主党、「知恵者」はいないのか」ですね。

確かに、民主党のマニフェストは、大前さんが言われるように、やや、「思いつき集」めいてて、政策間の整合性がまるで取られていないのが欠点のようですね。

政策の出と入りというか、インセンティブ間のバランスというか、インセンティブを設ける理屈というか、日本の置かれた国際的立ち位置とか、恒久措置にいたる暫定措置なのか、という時系列的戦略のあるなしというか、迂遠し、包括してみることができないままに、それぞれ単発的・浅知恵的にマニフェスト化してしまったということなんでしょうね。

高い指揮官台にたつ人がいないのか、それとも、その高みにたちうる指揮官台すらないがために、烏合の衆が平地でうごめいて、それぞれ、思いつきの花火をあげている、そして、自分のあげた花火の仕上がり具合だけを虫瞰的に見ている、って感じでもありますね。

農業者戸別所得補償とFTAとの関係に限らず、大前さんが、このコラムの中でも指摘されているように、「アジア共通通貨」構想なんてのも、わたくしからすれば、「えっ?いまさら?」って感じのものでしたね。

このアジア共通通貨については、この掲示板でも何回か取り上げたことがありました。
参考
「アジアの通貨危機再来防止のための、通貨バスケット制度の導入とはいうけれども。」

中国の経済大国台頭前には、アジア共通通貨の前段階としての通貨バスケット構想など、当時の日本の大蔵省にも、黒田財務官など、熱心な推進論者がおられて、日本主導でのいくつものチャンスがありえました。

マレーシアのマハティールのルックイースト(日本に学べ)の時代のことです。

しかし、今となっては、日本主導など、まったく、不可能な構想ではあるわけですね。

今、ASEANで論じられているACU(Asian Common Currency)構想にしても、中国主導でしかありえない構想なのですね。

その中国は、昨年、7月に、それまでの米ドル固定の人民元レートを、現在の1ドル=8・2765元から、1ドル=8・1100元に切り上げるとともに、米ドル、欧州ユーロ、日本円の3大通貨に一定割合で連動する「通貨バスケット制」を採用すると発表しました。

すなわち、アメリカのドルと中国の元との関係の地ならしをしなければ、そもそものアジア共通通貨の議論の前提はできないということです。

さらにASEAN諸国では、ブルネイ・シンガポールなど実質ドルにペッグした通貨を有しているのですから、これらの国にドル離れを促すためには、ドル−中国元との関係がより重要になってくるというわけです。

そのアメリカは、過去に「アジア通貨基金」(AMF)構想を躍起になってつぶした、という前科がありますもんね。

そのへん、民主党のマニフェストには、思いつき以上のものは見られませんでした。

なんか、経済産業研究所(RIETI)さんのコピーめいた政策らしきものが散見されるように思えるのは、わたくしの錯覚でしょうか。

さらに、鳩山代表の「米国債中心の外貨準備政策の見直しを求める」発言にしても、現状どの程度おわかりなのかな?という懸念が残りますね。

つまり、日本の巨額な米国債保有は、円高是正の過去の為替介入の結果であり、その保有する米国債は、為替介入資金を管理する外国為替資金特別会計で、国債の一種である政府短期証券(外国為替資金証券)を発行して、金融市場から円資金を借り、日銀を通じて外国為替市場で、その円資金をドルと両替し、それで得たドルで、政府は米国債を買っていたというわけで、いわば、米国債と、政府短期証券(外国為替資金証券)とは、両建ての関係にあるのですね。
参照「米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?」

つまり、「米国債中心の外貨準備政策の見直しを求める」ということは、この米国債と、政府短期証券(外国為替資金証券)との間の両建て関係を解消するということになるというわけです。

これはまさにブーメランですよね。

日本の国債発行額を縮小するのと同じ課題ということです。

「高速料金を2010年度から段階的に原則無料化」論にしても、このお盆の無料化で、各地で、身動きの取れない「コモンズの悲劇」を招いているところから、考え直さなければならないような気がしていますね。

大前さんのコラムも、やや、荒っぽい切り口ながら、いずれも、本質を突いている指摘のようにも見えました。
ご一読をお勧めします。

 

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