Sasayama’s Weblog


2005/06/23 Thursday

中国のアマンタジン飼料混入疑惑と、人体のアマンタジン耐性化への影響

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:08:35

2005/06/23
 
null私のブログの記事「タミフルは、われわれを鳥インフルエンザから救えるのか?」http://www.sasayama.
or.jp/wordpress/i
ndex.php?p=285
 の中で、テネシー州メンフィスにあるSt Jude Children’s Research HospitalのRobert Webster氏の言として、このような記述があった。

「中国は、アマンタジン(amantadine)を鶏の飼料に組み込んでいる。だから、われわれは、(他の抗ウィルス薬であるタミフルなどに比べてはるかに安い)アマンタジン(amantadine)を処置方法として、使えなくなっている。」

これを うらづけるかのように、 2005年6月18日付のワシントンポストの記事「Bird Flu Drug Rendered Useless」http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/06/17/AR2005061701214.html
では、薬を製造した中国の製薬企業幹部の証言なども、報道し、中国では、アマンタジン(金剛胺)を、1990年代の後半から、広く飼料に混入して使っていることを暴露した。

ここでは、専門家の話として、ウイルスが薬に対する耐性を獲得し、人にはもう効かない恐れが強いと警告している。

FAOは、中国に対して、アマンタジン(抗流感药物または抗流感藥物)をいつから、どの程度、家畜の飼料につかっているかなどについての情報を明らかにするように要請した。

FAOとしては、アマンタジンを家畜などに使うことは、人間にとって、H5N1のパンデミックを防ぎ得ない、困難な状況をもたらすとしている。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/06/20/AR2005062000699.html http://www.legendgames.net/showstory.asp?page=blognews/stories/HM0000041.txt
http://www.forbes.com/markets/feeds/afx/2005/06/20/afx2100541.html を、ご参照

中国側は、ワシントンポスト紙やAFPなどの『中国当局は、アマンタジン(「金剛胺」正式には、「金剛烷胺」)を飼料添加することを奨励していた。』とする報道に対して、これらは、「根も葉もないうわさ」に過ぎず、「中国政府はこれまで、人用の薬を鳥インフルエンザの治療などに使うことを許可したことはない」「人類の健康に対する責任を持ち、薬品の違法な使用は厳しく処罰する」と、否定した。
http://www.takungpao.com/news/2005-6-22/ZM-417621.htm参照

しかし、このサイト「济南鲁田经贸有限公司」
http://www.jnltjm.com/product/cpzs-xx.asp?id=148
または、
このサイト「浙江迪耳药业有限公司」
http://www.chinapages.com/zjdeyer/amantadine-c.htm
または、この写真
http://www.jnltjm.com/product/showimg.asp?id=144
にみるように、現に、中国では、アマンタジン(金剛鋤、 (amantadine))を、家畜の飼料添加剤として、売っていることは事実である。

さらには、オセルタミフル(奧斯他偉 (oseltamivir))の農業用使用さえも、一部に、疑惑視されている。

(インフルエンザ対策用薬品の中国名は、このサイトhttp://www.cdc.gov/flu/protect/antiviral/chi/pdf/antiviral.pdfをご参照。)

では、このことが、どのような影響をもたらすのであろうか。

Recombinomics「Amantadine Resistance in Bird Flu Vietnam and Thailand」 http://www.recombinomics.com/News/06180501/H5N1_Amantadine_Resistance.htmlでは、タイ・ヴェトナムの鳥インフルエンザウィルスに、M2プロテインの中に、二つのアマンタジン耐性マーカーが見られたとしている。

その一つは、L26Iで、これは、タイ・ヴェトナムにのみ見られたものとのことだ。

もう一つは、S31Nで、これは、1930年代のWSN/33 とPR-8由来のもののようだ。

1970年代の古い論文で、次のようなものがある。。
「Susceptibility of influenza A viruses to amantadine is influenced」http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd= Retrieve&db=PubMed&list_uids=731792&dopt=Abstract
というもので、これによると、アマンタジンに対して耐性があるか、感受性があるかどうかは、Mたんぱく質に対する遺伝子コーディングによるとしている。

アマンタジン耐性のある親のMたんぱく質から由来する組み換え遺伝子は、すべてアマンタジン耐性であり、アマンタジンに対して感受性をもつ親のMたんぱく質から由来するM遺伝子のおおくは、アマンタジンに対して感受性をもつ。

しかし、アマンタジンに対して感受性をもつ親から得たMたんぱく質に由来する遺伝子のいくつかには、他の遺伝子に影響されて、アマンタジンに対して、耐性を持つという。

これは、次の、同じgenotype Zでも、アマンタジン耐性を持つものと、感受性を持つものとの理論的根拠と関係してこないのだろうか。

すなわち、 同じRecombinomics「Z Genotype in China is Amantadine Sensitive」 http://www.recombinomics.com/News/06220501/H5N1_Z_Genotype_Amantadine.html
では、H5N1鳥インフルエンザの遺伝子型には、genotype Vとgenotype Zがあり、そのうちのgenotype Zは、タイやベトナムで2003年暮れから2004年初頭にかけて分離されたものや、2003年暮れから2004年初頭にかけて広東で分離されたものに見られるが、このgenotype Zにも、地域的に、アマンタジン耐性型と、アマンタジン感受性型との違いがあるとしている。

ヴェトナムのgenotype Zは、タイのgenotype Zとでは、若干異なるし、ヴェトナムのgenotype Zと、インドネシア、中国の雲南省と広東省と香港、韓国、日本のgenotype Zとでは、 大きく異なるということである。

また、同じヴェトナムであっても、北ヴェトナムのgenotype Zと、南ヴェトナムのgenotype Zとでは、 異なるという。

そして、鳥インフルエンザで、死者を出しているのは、タイとヴェトナムにおけるgenotype Zであり、 カンボジアにおけるH5N1も、おそらく、genotype Zであり、 これは、 南ヴェトナムでのgenotype Zと、 似たものであると思われている。

このように、 同じgenotype Zであっても、 ヴェトナム、タイ以外の諸国では、genotype Zは、致死性を持っていないものと思われるという。

これは、何ゆえにそうなっているかというと、M2アミノ酸配列において、ポジション26と31において、突然変異を起こしているかどうかによって、アマンタジンに対して耐性があるかどうかが決定されているからだという. 。

広東省とカンボジアのgenotype Zでは、ポジション31に変異が見られるという。

ヴェトナムとタイのgenotype Zでは、ポジション26に変異が見られるという。

今回の中国の青海省海北チベット族自治州剛察県と新疆ウイグル自治区塔城市での鳥インフルエンザの遺伝型については、まだ、 公式発表はないが、 もし、この遺伝子型がgenotype Zであって、しかも、アマンタジン耐性が見られたとしたら、ヴェトナム、タイ、カンボジア以外の国にとっては、初めてのことであり、これは、アマンタジン(金剛鋤、 (amantadine))を、家畜の飼料添加剤として長年使ってきたことによる耐性であると、みなされても、仕方のないことになる。

中国当局のH5N1に関するいっそうの情報公開が、望まれる。

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

nullTranslate
笹山登生HOME-オピニオン-提言-情報-発言-プロフィール-図書館-掲示板

No Comments »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. | TrackBack URI

Leave a comment

XHTML ( You can use these tags): <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong> .