日銀の白川総裁が日銀総裁としては28年ぶり(前回は1981年の前川春雄総裁)に秋田県を訪れ、4月12日には、大仙市の農事組合法人を視察したほか、横手市では地元農家らと懇談を行ったというのだが。
まあ、妙な意味で感動した。
というのは、私も若いときには、岡山などの地方中核都市での支店勤務をしたときには、日銀支店の若い行員さんとも、一応の交流があり、日銀のみなさんの農業観等をお聞かせいただく機会が多かったのだが、そのときに感じたのは、日銀のみなさんの抱く農業観というのは、まさに、アルカディック(田園の理想郷)そのものだったという印象が強かったからだ。
いってみれば、「乳流れ、蜜あふれる里、Canaan」(”e-retz za-vat ha-lav oo–d’vash” “a land flowing with milk and honey”)のような、牧歌的な田園観を、恥じらいもなくあっけらかんと示されていたのには、こちらのほうが照れてしまっていた。
それほど、当時の彼らにとっては、日銀業務を介して、農業の場に触れることがなかったのだろう。
もっとも、当の白川さんは、学者出身であり、日銀出身ではないのだから、その対象には、もともと、おられなかったのだが、
いま、こうして、産業不況が、これまで縁の薄かった産業界や金融界をして、農業という換金回路に目を振り向けさせているのだが、よもや、かつてのようなアルカディックな農業・農村観というものは、日銀の皆さんには、消えうせていることを願うのだが—
ちょっと、心配ではある。
もっとも、農業には、「貧困の産業障壁」ともいうべきものが、暗黙のうちにあって、「こんなつらい農業」というイメージが、嫁をも含め、他の分野からの参入を防ぎ、縮小均衡ながらも、農業での生計の成り立ちを逆に助けている、という「貧困の利得」という構図もある。
この利得を政治的に利用してきたのが、かつての社会党左派である。
まあ、その意味では、あまりアルカディック的考えを否定すると、例によって、農業にまつわる貧困の利得回路が幅を利かせることになり、よしあしなのだが。
こうして、ニコニコ顔で、日銀の総裁が農業の現場を視察し、農業者と語らいあうことに終わらずに、地銀ベースでの農商工技連携への業界横断的な資金供給がもっと積極的に出来るようなスキームを構築できれば、JA資金のみに頼らないハイブリッドな産業展開が出来るのだが。
ヨーロッパのダイバーシフィケーションを推進するLEADER 事業においては、第三の農家兼業となりうる自営兼業に農家が進出できるよう、コンサルテーションから資金供給、そして、農産物マーケットの開拓まで、一貫して、農業者からの相談にのれる体制が整っている。
そのような体制作りを日銀が支援できるようなスキームが出来れば、いいのだが—
それにしても、日銀総裁が28年に一回しか訪れない県というものの存在意義を、日銀は、どのように評価しているんだろう?
そちらのほうも、大いに気になるところだ、
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