Sasayama’s Weblog


2009/02/27 Friday

ウズラのH5N1感染・死亡例は、ありますよ。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 19:04:12

 
null
愛知県が2月27日、高病原性鳥インフルエンザ(H7N6)が検出されたと発表したことに対して、発生元の愛知県豊橋市のウズラ農場経営者の男性(68)は「県の『陽性』との判断は納得がいかない」「県の勇み足だ」とし、さらに、「ウズラの鳥インフルエンザに関するデータは無いはずなのに、ニワトリと同様に検査し、陽性と判断している。それで処分だというのはおかしい」としているのだが。

じつは、ウズラの鳥インフルエンザ感染については、いろいろな研究がされている。

このサイト「Quail May Be Key Link in Spread of Bird Flu」は、メリーランド大学のダニエル・ペレツ博士の研究を紹介したものだが、これによると、ウズラは、東南アジアにおいて、鳥インフルエンザ拡大の重要な役割を果たしているという。

すなわち、ウズラは、鳥インフルエンザの14の異なったStrain(H2.H7.H9が、この場合、多いという。)を運んでいるとし、厄介なことに、ウズラ自体は、鳥インフルエンザに感染しても、症状を示さないことが多いので、長期間にわたって、ウイルスを広めてしまう役割をしてしまうという。

(今回の豊橋市のウズラのH7鳥インフルエンザ感染について、共同通信が次のような書き方(「ウイルスはH7型で、農場でウズラがほとんど死んでいないことから感染力の弱い弱毒性とみられ、愛知県と同省は感染拡大の可能性は小さいとみている。」)をしているが、この意味で、正確ではない。
また、2009/02/28朝日新聞朝刊2面の「ニュースがわからん! 鳥インフル、「H5」や「H7」って?」でも、「ウズラはウイルスに敏感と言われてるのに今回は1羽も死んでいない」との記述があるが、上記の「ウズラの鳥インフルエンザに感染しても、症状を見せにくい特性について、見逃した記事の書き方をされているのには、気になる。)

さらに、感染したウズラのウイルスは、哺乳類に感染しやすい分子的特性をもっているという。

つまりウズラは、鳥にも哺乳類にも適応しうるレセプターをもっているため、このことから、ウズラは、”Mixing Vessel Model”(混合容器モデル)といわれているようだ。

このウズラ感染媒介説については、H9についてのものだが、このサイト「Role of Quail in the Interspecies Transmission of H9 Influenza A Viruses: Molecular Changes on HA That Correspond to Adaptation from Ducks to Chickens」の、St. Jude Children’s Research Hospital の研究もある。

これは2002年発表のものだが、この研究は、1970羽のアヒルについて、H9ウイルスが、鶏とウズラにどう複写・伝達されるかをテストしたものだが、ここでは、ウズラは、鶏よりも、これらのウイルスの影響を受けやすく、HA遺伝子が、容易に複写・伝達されることがわかったという。

その理由として、アミノ酸配基列において、ウズラは、7つのポジションにおいて、アヒルと鶏の中間のポジションに位置しているところから、ウズラから鶏へのH9感染は、容易であると結論付けている。

一方、2006年発表のShantou University Medical College(汕頭大学医科大学)等の共同研究「Evolution and Molecular Epidemiology of H9N2 Influenza A Viruses from Quail in Southern China, 2000 to 2005」では、中国南部において、2000年から2005年にかけて、H9N2に呼吸器感染したウズラが、4つのChicken/Beijing/1/94 (Ck/Bei-like) と16のQuail/Hong. Kong/G1/97 (G1-like)との二種のウイルスの遺伝子型を持ち合わせていたところから、当初、Quail/Hong. Kong/G1/97 (G1-like)に感染したウズラが、Chicken/Beijing/1/94 (Ck/Bei-like)に変異し、そのChicken/Beijing/1/94 (Ck/Bei-like)が、ウズラを経て、家禽に感染したのではないかとしている。

さらに、ウズラにおけるH9N2とH5N1との関係が、H5N1の感染を広めたのではないかとの推測もしている。

では、H5N1についてはどうかというと、このサイト「Bird Flu Outbreak In Quail Farm In South Korea」のように、2006年12月に、韓国の金堤市(Kimje)の27万飼養のウズラ農場で、三千羽が死亡した例があるほか、クゥエイトやインドネシア、タイでも感染例がある。

特に、タイでは、2005年7月に、十二万二千羽のウズラが死亡したとされている。

また、中国では、2002年の湖南省での感染例(A/quail/yunnan/092/)や、2005年から2006年にかけて、貴州でのウズラ感染例がある。

アメリカでは、2005年11月に、サンバレーで、H5N1ではないが、低レベルでの感染例がある。

 

お知らせ:
日本からシカゴのオプション売買ができるためのマニュアル
「シカゴ・オプション売買戦略マニュアル」(A4版254ページ、5,900円)をこのたび書き上げ、発刊しました。

内容・目次のご確認やお求めについては、こちらをクリックしてください。

お徳用なダウンロード版-電子書籍PDFファイル(254ページ、3,980円)ご希望の場合は、こちらをクリックしてください。


No Comments

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Sorry, the comment form is closed at this time.