2008年12月27日
このところ、官僚のNPO法人への天下りが目立つようになった。
私の知っているNPO法人についても、そのような例が、常態化している有様だ。
もちろん、むかえるNPO法人側にも、思惑があって、官庁からの業務委託調査費獲得において、随意契約によることが困難になってきて、何よりも、資金難に苦しむNPO法人では、いくらかでも、これらの官僚の影の威光を利用したいというような魂胆もあるらしい。
平成十六年四月二十七日に当時の若井康彦衆議院議員が提出した「特定非営利活動法人に関する質問主意書」に対する答弁書として、下記の記述がある。
「「NPO法人が、官僚などの新たな天下り先になっている」との批判がある。政府の見解を伺いたい。また、NPO法人への、政府職員のいわゆる「天下り」があるのであれば、退職前の所属官庁、役職、氏名、天下り先のNPO法人名について、明らかにされたい。」
答弁書
「法(特定非営利活動促進法)は、市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的としており、法の施行に当たっては、特定非営利活動法人の自主性を尊重する旨の附帯決議が国会においてなされている。特定非営利活動法人の運営に対しても、役員及び職員の構成を含め、これらの趣旨が尊重されるべきものである。
また、国家公務員の退職後における再就職の状況は、公務を離れた個人に関する情報であり、一般に政府が把握すべき立場にはないことから、お尋ねの事項すべてについてお答えすることは困難である。各府省の職員で平成十四年八月十六日から平成十五年八月十五日までの間に本府省の企画官相当職以上で退職した者の再就職状況については「公務員制度改革大綱」(平成十三年十二月二十五日閣議決定)に基づき、既に公表しているところであり、このうち特定非営利活動法人へ再就職した者はいない。」
しかし、ここには、抜け道がある。
すなわち、退職官僚が、省管轄の公益法人へ天下りし、その資格で、さらに、NPO法人へ、兼務の役員として、天下りして入るという例も、見られるのである。
2007年3月15日に、当時の政府は、省庁が特殊法人、公益法人、学校法人同様、NPO法人などについても、職員の再就職(天下り)斡旋(あっせん)を規制する方針を固めた。
このときには、省庁がNPO法人などへの再就職を斡旋し、2年以上経過後にかつて関係のあった民間企業への再々就職を斡旋するケースを規制するためのものであったが、上記の例にみるように、実際は、いったん、公益法人に就職後に、NPO法人の役員も兼務するという例もおおくあるのだ。
本来は、民間主体の活力を尊重し、省庁は、これらの民間の活力と協働するところに、特定非営利活動促進法の原点があるはずなのだが、残念ながら、すくなからぬNPO法人が、官僚のお古の座り場所になっているという現実は、いかにも、なげかわしい。
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