Sasayama’s Weblog


2008/05/14 Wednesday

錯綜している日韓の鳥インフルエンザ・ウイルス報道

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:06:29

2008/05/14
 
昨日、5月13日、韓国の’KBS 9時ニュース’では、政府関係者の話として、現在韓国で大発生中の鳥インフルエンザウイルスが、南方系ベトナム型AIウイルスと遺伝子塩基序列が似ていると報じた。

しかし、ヴェトナム型のどのウイルスであるかは、明らかにされていない。

参考「국내 AI 바이러스 인체감염 우려 높은 베트남형과 유사

一方、今朝のNHK報道では、「13日に開かれた農林水産省の専門家の会議で報告されたものです。先月から今月にかけて、秋田県の十和田湖と北海道の野付半島、それにサロマ湖の3か所で、毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザウイルスに感染したオオハクチョウが見つかったことから、大学や専門の研究所でウイルスを詳しく分析しました。その結果、3か所で採取されたウイルスの遺伝子のパターンはほぼ一致しましたが、国内で平成16年と去年、鶏が感染したH5N1型のウイルスとはパターンが異なり、違うタイプのものであることがわかりました」と、報道している。

このNHK報道だが、言外に、モンゴルのウブス湖由来のH5N1であって、遺伝子のポジション743で、G(グリシン)→A(アラニン)への変異を持つウイルスといっているとも読み取られる。

参考「モンゴルのウブス湖由来のH5N1に、今回は、G743A変異が見られるのか?」

となると、昨日の韓国KBSテレビ報道の、「韓国のH5N1ウイルスは、ヴェトナム型」との報道と食い違うことになるのだが、その辺の検証はした上での専門家の見解やNHKの報道なんだろうか。

ちなみに、このG743A変異を持つウイルスには、ヴェトナム型のものは、含まれていない。

ちょっと、日韓のこれらについての報道が錯綜しているような気もするのだが。

もちろん、渡りが、韓国→日本としての話にはなってしまうのだが。

追記 2008/05/14

上記の韓国側の見解(今回の韓国のH5N1は、ヴェトナム型)について、ニーマン博士のRecombinomicsでは、次のような分析を加えている。

すなわち、ヴェトナム型には、クレード1とクレード2とがあり、2004/2005年に流行したのが、クレード1であり、近年流行したのが、福建株(開裂部位の配列がKが欠けたRERRRK_Rという配列)といわれるクレード2.3であった。

したがって、今回韓国側がヴェトナム型といっているのが、どちらのことなのかが、はっきりしていない。

韓国と日本で2003/2004年に発見されたのはclade 2.2 の青海株の先駆株ともいうべきものであり、これが、モンゴルとシベリアで増え、そして、2006/2007年に西中国や韓国と日本で発見されたのも、 クレード2.2であった。

しかし、 2003/2004年に韓国と日本で発見されたウイルスには、開裂部位において、RのないRERR_KKR配列の遺伝子を持つものであった。

そして、この配列のウイルスは、2005年初頭に、北ヴェトナムで発見されたものであった。

これは、クレード1のものが、変異したものである。

したがって、これらのことから憶測するに、今回、韓国側が発表したヴェトナム型とは、このクレード1のヴェトナム型が開裂部位において、RのないRERR_KKR配列に変異した北ヴェトナム型を指すのではないかと、している。

参照「Vietnamese H5N1 In South Korean Outbreak

追記 2008/05/15 更なるニーマン博士の推測

Fujian Clade 2.3 H5N1 in Whooper Swans in Japan 」では、ニーマン博士は、更なる推測をくわえ、今回、日本の白鳥から発見されたH5N1は、2006/2007年のモンゴルのウブス湖の クレード2.2.3ではなく、 インドネシアのクレード2.1か、ヴェトナムの福建株様のクレード2.3ではないかと、推測している。

渡り鳥におけるクレード2.1または2.3の検出は、初めてであり、このことによって、今度は、モンゴル、シベリア、北米におけるクレード2.3の進出が始まったとしている。

 

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