環境省で、エコツーリズム推進基本方針(案)に付いて、パブリックコメントを求めておりましたので、以下のような意見を書いておきました。
ご参考まで。
意見:
本来、エコツーリズムとは、自然観光資源に対して、非使用価値を見出したビジターと、使用価値を持つ地元との、非使用価値と、使用価値とのトレードである。
そのトレードによって、これまで、風景では飯を食えなかった「山美しくして、人貧し」の地元に、一抹のスモールビジネスとしての換金回路を見出させることにある。
もちろん、発展途上国のエコツーリズムなどに見られる「貧困脱出の換金回路としてのエコツーリズム」と、日本のエコツーリズムとでは、その社会的な目的は違うだろう。
しかし、何がしかの換金回路の必要性についてみれば、疲弊化した現在の地方の経済状況からすれば、根本的には、同じニーズが、そこに内在していると見るべきであろう。
換金回路なしの、奇麗事のスキームで、この問題が語られていいはずは無い。
いわば、「自然観光資源に対して、非使用価値を見出したビジターと、使用価値を持つ地元との、”非使用価値と使用価値とのトレード・オフの関係”」において、自然観光資源を有している地域の域内外経済収支がイコールであるための戦略として考えていかなくてはならないはずだ。
そのために必要な戦略とは、エコツーリズムを換金回路に変換しうる、地域におけるスモール・ビジネス(小企業の起業化)の振興と、そのための支援対策であろう。
そこで、このような視点から、今回の「エコツーリズム推進基本方針(案)」を見てみると、次のようなことがいえる。
1、この基本方針において、エコツーリズムと地域振興との関係について触れられている該当箇所は、次の各点である。
� �2.わが国におけるエコツーリズムの基本的考え方、(1)エコツーリズムを推進する意義 ウ.活力ある持続的な地域づくりの効果)」
�◆ �2.わが国におけるエコツーリズムの基本的考え方、(2)エコツーリズムへの取り組み方 �γ楼莊从僂乏萠呂鰺燭┐弔帖�多産業との連携などの波及効果をひろげる。」
�� 「3.わが国のエコツーリズムが目指す方向性、(1)エコツーリズムの推進によって長期的に目指す姿.、ア。地域では」
�ぁ 屐�3.わが国のエコツーリズムが目指す方向性、(2)重点的に取り組むべき当面の課題 ア.地域への支援.オ.他施策との連携強化」
しかし、残念ながら、上記の箇所においては、環境で地域振興を図るための換金回路としての具体的スキームの構築は、されていない。
2、では地方経済に対するエコ・ツーリズムの貢献は、何によって推進されるべきなのであろう。
必要と思われるスキームについて、参考例として、以下に、いくつか掲げる。
(1)ガイド事業の地元産業化
(2)自然観光資源のブランド化と、地域としてのその使用権確保
(3)入山料に似た、自然観光資源へのアクセス・フィーの確保
(4)エコツーリズムに特化したブッキングの整備
(5)地元関係者に対する、もてなしの技術を含めた、接客プロトコル研修へのインセンティブ
(6)その他、エコツーリズムに派生するスモール・ビジネスを支援しうるコンサルティングや財政支援措置の拡充
などなど
3、エコツーリズムの満足度は、.消費者としてのビジターの満足度と、自然観光資源を有する地方の満足度との総和の極大化によって、完全なものとなりうる。
そのためには、エコツーリズム推進基本方針において、地方の経済振興に寄与しうるエコツーリズムの位置づけと戦略とを、 より明確に記載し、その実現に向け、 まい進する必要がある。
今回の基本方針の書き方では、その点、いかにも、表面的なお題目に終わり、具体性を欠き、インパクトをかいている 、というのが、 率直な意見である。
つまり、「地域にとってのエコツーリズムとは、中央資本に支配されえない、最後のよりどころとなりうるスモール・ビジネスなのだ」という地域の切実な現実論に、今回の基本方針は立脚していない感じがしている。
以上
2008/06/06 追記 結果どうなったか。
上記の私のパブリックコメントに対する環境省の見解
エコツーリズム推進法では、自然環境の保全、観光振興、地域振興、環境教育の場としての活用を基本理念として位置づけていることから、地域の自然観光資源を活用したエコツーリズムの取組において経済的な要素も含め地域振興等が図られることは重要と考えています。
個別具体的な地域の推進戦略については、地域ごとに工夫していくべきものでありますが、地域が持続的にエコツーリズムに取り組める環境が整うという視点は重要であり、ご意見は、今後の施策の参考とさせていただきます
「エコツーリズム推進基本方針(案)に関する意見等の概要及び意見に対する考え方について」