2008/01/29(Tue)
今回の製紙会社各社の古紙混入率偽装問題でつくづく感じるのは、オンサイトでのリサイクル(onsite recycling)とオフサイトのリサイクル(offsite recycling)とでは、観点を異にして取り組まないと、とんでもない悪しきスキームが生まれうる、ということだ。
これは、世界的な課題であって、一般的に、オンサイトでのリサイクルは、減少し、オフサイトでのリサイクルは増加している。
しかも、これが、国内でのクローズされたループのもとでのリサイクリング(Closed-Loop Recycling)から、海外を巻き込んだオープンなループの元でのリサイクリング(Opened-Loop Recycling)へと発展しているのだから、始末に負えない。
もちろん、排出権取引などの決済方法は整いつつあるが、一般的なスキームとはなっていない。
今回の古紙混入率の問題は、これら二つのリサイクリングの狭間にある問題ともいえる。
リサイクルには、現場・個別処理という意味でのオンサイトのリサイクルと、現場外・集中処理という意味でのオフサイトのリサイクルとに通常分けられている。
つまり、問題は、二つあって、
第一は、オンサイトでのリサイクルが軽視され、オフサイトでのリサイクルに過重な負担が掛かっている。
ということと
第二は、オフサイトでのリサイクルにも、二つあって、
一つ目には、日本国内でのルーピングで完結しうるリサイクル
と
二つ目には、海外とのルーピングで完結しうるリサイクル
とがある。
ということだ。
これをミティゲーションのシーケンス(回避→最小化→代償の順序)に当てはめてみれば、
回避は、ゴミのリデュースとリユース
最小化は、オンサイトでのリサイクル
代償は、オフサイトでのリサイクル
ということがいえる。
さらに、オフサイトでのリサイクルは、国内で代償措置が完結しうる場合と、海外で代償措置が完結しうる場合とに分かれうる。
ところが、オンサイトでの最小化の措置が、実質空洞化したまま、代償措置に過度に依存している。というのが、今の日本のリサイクルといえるのではなかろうか。
しかも、環境負荷へのノー・ネット・ロス(No−Net−Loss Policy)の観点からをこれを見ると、
海外へのリーケージが年々高まっているため、ゴミのリサイクル収支は、黒字になっているのに、現場に還元されないために、ますます、オンサイトでのリサイクルが疲弊化し、ゴミを地域収支で見た場合、ますます、ゴミの地域収支は、悪化している、と、見た方がいいのではなかろうか。
今や、分別に精力を使い果たしている全国の家庭の主婦は、世界廃棄物産業の実質上の奴隷と化して、収奪されるがままの状態にある。こんな事も、いえるのではなかろうか。
オンサイトでのリサイクルを刺激しうる、ハード・ソフトのインセンティブを用意しないと、きわめていびつなきれい事だけのリサイクル社会が、横行することになりそうだ。
また、こうなれば、ゴミ廃棄物の輸出に対して、エコ・タックスを大義名分とした輸出税的な税を課すことだって、考えなくてはならないのではなかろうか。
このようなことから、そろそろ、リサイクルであれば何でもいいような時代の考え方から、官民ともに、脱する必要があるのではなかろうか。
これらのスキームを考える上で、以下のサイトやシートは、ちょっと役立ちそうだ。
参考
「Creating a Recycling Loop for London」
「Ecotax and Expenditure Package for an Ecologically Sustainable Economy」
为翻译对汉语, 使用这
⇒http://translate.livedoor.com/chinese/
Translate
⇒http://www.google.com/translate_t
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