Sasayama’s Weblog


2007/09/29 Saturday

著作権法第30条改正とYouTube

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 18:03:36

2007/09/29(Sat)
 
null著作権法第三十条(私的使用のための複製)の改正問題で、ネット上で、「法改正後はYouTube見るだけで違法」等の誤解が生まれ、文化庁は、9月26日に、これは誤解であると、説明したようだ。

今回の著作権法第三十条(私的使用のための複製)の改正問題は、これまで例外規定とされてきた私的使用のための複製のうち、違法にアップロードされていたファイルを個人的にダウンロードをすることについては、例外規定から排除する、という趣旨であった。

これが、どうして、「既成のファイルを違法にアップロードしたYouTubeを見ることで、違法になる」という解釈が、ネットに広まっているのか、ちょっとわからないのだが。

テレビなどの画像をYouTubeにアップロードすることは、送信可能化権違反の範疇であり、それらファイルがアップロードされたYouTubeを、ストリーミングダウンロード可能なソフトでダウンロードしたものについては、個人的な使用目的でも、著作権法第三十条の例外規定からはずすというのがいいのかどうなのか、というのが、今回の問題である。

津田大介さんが、ちょっと場違いに文化審議会著作権分科会で指摘した、キャッシュの問題は、これは全く別の話だ。

つまり、こちらのほうは、例のGoogleのキャッシュの問題に絡む話で、Google検索で、下のほうに出てくる「キャッシュ 」「 関連ページ」のうちの「キャッシュ」のほうをダウンロードした場合、そのコンテンツが、レジスターによるアクセスしか認めていない場合、著作権法違反になるかどうかの問題だ。

これについては、DMCAにおいては、寛大な解釈(caching exception または Caching Loophole)がされていたのが、時代の流れで、そうもいかなくなってきたということなのだろう。

つまり、この場合のキャッシュは、「Treasure-Prove」(所有主不明の発掘物)である、との認識が強まってきた、ということで、著作権法第三十条(私的使用のための複製)の改正問題とは、全く別の問題であると思うのだが。

もちろん、個人が一時的に違法画像をダウンロードしたり、あるいは、違法ストリーミングのサイトを見ても、キャッシュとして残るわけだが、それが、著作権法第三十条の対象になるかどうかは、30条以前の問題であるように思える。

つまり、キャッシュとして残っているファイルの所属はどこなのか、ということなのだ。

いいかえれば、一時的に帰属しているtmpファイルなのか、それとも、恒久的所属に転化しうるファイルなのか、ということなのかと、思われる。

これは、送信可能化権の段階でもいいうることで、サイトを見ただけで、ハードディスク上なりメモリー上には、キャッシュが残っているわけだから、これが、送信可能化の状態にあるといえるかどうか、の議論になるのだと思う。

Googleの場合は検索結果に「キャッシュ」として表示しているのだが、「送信可能化」の概念からすれば、そのように表示していなくても、ハードディスクなり、メモリーにファイルが送信可能の状態にあれば、送信可能化権は発生するという解釈だから、「キャッシュに著作権が発生する」とすれば、サイトを見ただけで、コンピュータにキャッシュが残るわけだから、違法サイトを見ただけで、送信可能化権違法との解釈も、成り立ちうる。

これは、著作権30条や送信可能化権の問題ではなく、「キャッシュは、複製物なのか」「キャッシュがコンピュータ上に残っている状態は、送信可能化の状態といえるのか」という問題になるのだと思う。

こうなると、いかに日本の送信可能化権なるものが、現実にあわないものであるかが、このことからもわかってくる。

以上を整理すると下記のとおりとなるだろう。

1.YouTubeストリーミングの試聴はコンピュータにキャッシュを残す。

2.故に、違法にアップロードされたファイルのYouTubeの視聴も、ファイルにキャッシュを残す。

3.違法ファイルの視聴で残されたキャッシュを複製物と見なせば、個人的な使用でも、著作権法30条の除外規定から排除される。

4.従って、違法YouTubeの試聴が、著作権法30条の除外規定からの排除の対象になるかどうかは、著作権法30条の問題ではなく、「キャッシュ(一時的蓄積)は著作権法上の複製に当たるかどうか」の問題である。

参考
著作権とキャッシュの関係の問題については
The Special Problem of Caching and Copyright Protection」をご参照

ただし、この見解は、1995年時点のもので、現在の時代認識とは異なる。

さらに参考となる考え方として、「これまで「一時的蓄積」は著作権法上の「複製」ではないと解されてきたが、技術的進歩もあり、必ずしも、今後においても「複製」でないとの解釈が継続しない可能性はある。」との考え方もある。


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