2006/12/07(Thu)
期限を迎える損害保険があったので、損害保険の代理店におじゃまして、ひとしきり、昨今の保険業界の話で、雑談が始まった。
その中で、ちょっと、見過ごせないな、という話題を三つ。
その1.
損保会社や金融機関なりサラ金などから融資を受けるときに、団体信用生命保険(略して団信)をかけさせられることがある。
死んだときは、融資の残債をこれで払うことができるという、一見、借りた人思いのように見えるこの保険だが、落とし穴がある。
それは、すでに償還が90パーセント進んでいたかたでも、まだ、残債が、90パーセントもある方も、保険料率は同じってことです。
貸付金利に上乗せすることで、そのときの残高に応じて、一年に一回、保険料を徴収しているということで、金利換算で約0.3%であるといわれています。
でも、保証する残債が減っていけば、総体としての融資のリスクは、減っていく勘定なんですから、その分、年ベースでは、保険料率は、安くならなければならないのに、これっておかしい話ですね。
いわば、自動車で、事故率が低ければ、保険料率は、低くなるという理屈は、ここには、ないようですね。
それに、サラ金の場合なんて、根抵当なんだし、いったい、残債ってのが、どこまでの範囲の話なんでしょうね。
融資対象の消費者に融資し、団体信用生命保険をかけさせて、根抵当権のありったけの残債を対照に、事故らせたほうがメリットという仕組みに、見えなくもない。
おまけに、この団体信用生命保険は、今、銀行の窓販の対照になっていて、銀行は、融資の金利で儲かり、団体信用生命保険の販売手数料で儲かり、という、両手に花の状態のようですね。
これぞ、貸し手のための保険ってとこでしょう。
その2.
住宅金融公庫からアパート建築融資などを受けると、最初に、融資期間中の損害保険を融資の償還期間分、一括して、付保し、その保険証券は、融資機関である住宅金融公庫に、付保質入れする。
しかし、住宅金融公庫から融資を受け建てた建物は、毎年、減価償却され、簿価は、減っていく。
まして、定額償却でなくて、定率償却の場合は、帳簿上の建物評価額は、急速に減価していく。
通常の保険は、昔はともかく、今は、新価実損払いと時価払いとの選択ができているのだが、住宅金融公庫の特約火災保険は損保20社の共同引き受けとなっており、ここにおいては、住宅金融公庫から融資を受けた建物については、原則として、借入金の全額を返済するまでの間は、建物を保険の目的として特約火災保険以外の一般の火災保険を契約することができず、従って、特約火災保険を契約する際の保険金額は、融資額を基準とするのではなく、建物の時価額を基準として保険金額が決まる。
しかし、融資前に、一括してかけた保険金の根拠の建物評価額は新築時の評価額であり、償還期間中、当初から、満期日まで、変わらない。
となると、融資を受けた人は、年ベースでは、建設当初の10分の一に減価した建物に、建設当初のままの評価額で、保険をかけていることになる。
火災になって、出る保険金は、融資額の返済を優先し、あまり分は、他に充当することができる。
また、融資返済後も、当初設定期日までの保険が、続く。
この保険も、住宅公庫に質入れしてあるのだから、借入者は、手を出すことはできない。
計算基礎は、下記のとおりである。
住宅で契約期間30年、保険金額3,000万円の場合
算式:保険金額(円)× [基本料率(円)× 長期係数]×1/1000
このうちの長期係数の存在が、他の一般保険よりも、有利に働くとは言え、このように長期の保険の場合は、変動係数が適用されてしかるべきであろう。
ましてや、他の保険の付保がゆるされない特約火災保険の場合は、なおさらである。
これって、住宅金融公庫と、共同引き受け損保20社との、グルって話じゃない?
まさに、超過保険の典型的な例だ。
その3.
毎日、テレビのコマーシャルで、地井武男が「まだ、はいってないの?」と、脅迫するアメリカン ホームダイレクト のコマーシャル。
でも、いいことづくめで地井さんが、並びあげるメリットを全部履行できる保険なんて、ないそうだ。
となれば、これって、今話題の近未来通信の手口と同じパターンじゃないんだろうか?
つまり、新規加入者が増えていれば元は取れるし、約束も履行できるけれども、最後の加入者は、ババを引くってパターン。
マルチ商法で、下位者の支払った金品を上位者が分配し、上位者だけが、儲かるっていう仕組みと同じですね。
こんな、社会悪につながりかねないコマーシャルを、よくも、テレビ会社も、視聴者も許しているね。
マルチ型の「あれもこれもできます保険」には、断固反対。
以上の話を延々とされた後、ふっと、「今の保険会社ってのは、ユーザーのことなんか、一つも思ってないんですね。思っているのは、金融庁と、運用先の外資の動向だけなんですね。」といわれたのには、がっくり。
じゃあ、今日の契約更新、どうするんじゃ、とでも、いいたくなってしまった。
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