2006/12/06(Wed)
今月のFOMCは、来週12月12日だが、この前に、シカゴ連邦準備銀行総裁のMichael Moskow氏が、気になる発言を繰り返している。
参照「Fed officials become fixated on inflation」
氏は、各種経済データでの経済の停滞振りとはべつに、インフレーションへの警戒のため、連邦準備金利を引き上げるべきであると、先週来、各方面で主張している。
氏によれば、連日のダウ平均の記録更新にもかかわらず、米国債価格は、上昇し、イールドは、このチャートのように、10ヶ月も、低位水準に甘んじているという。
このことが、投資家にとっては、アメリカ経済鈍化への懸念となり、FOMCに対して、来年の金融政策の緩和への期待を生んでいるという。
氏の言うに、第4四半期の経済成長の低下がはっきりしてきたので、投資家は、次なるFOMCの来年第1四半期での準備金利低下への期待をいよいよ、強めているという。
また、近時ドルは、円に対して、このチャートのように、著しい低落を示しているが、これについては、このサイト『Dollar Decline? What Dollar Decline?! It’s Arbitrage.』では、本来、通貨変動は、アービトレージ(Arbitrage、異なる時間・異なる地域における価格差による取引の優先度の違い)なもので、対象国ごとに、いろいろな要因で動くものであり、現在の状況と、アメリカの貿易赤字問題とはなんらの関係もない要因で動くものであるとしている。
そして、現在のドルとユーロとの関係は、このチャートのようであるが、円とユーロとの間は、このチャートのように、円安に振れているのは、ひとえに、日銀が、当分は金利引き下げができなくて、金利格差は、そのまま当分は、続くであろうとの予測からそうなっているのだという。
連邦準備金利と日本の金利格差は、日米双方に変動要因があるから、今後、広がるかも知れないし、広がらないかもしれない。
ECB-ヨーロッパ中央銀行-は、これ以上の金利引き上げはしない(もっとも、一部に3.5パーセントに利上げの観測もある。)であろうから、日本との金利格差は、日銀次第だが、当分一定との見方であろう。
となれば、不安定要因は、ユーロよりも、アメリカ側にあるという、アービトレイジな見方なのであろう。
しかし、その基準となるのは、日本の金利という見方である。
いわば、日銀総裁の不祥事で弱みをつかまれた日銀が、独自に身動きできない中で、円が、対主要通貨に対して、アービトレイジな動きをしている、という構図なのだろう。
追記 2006/12/06 激しい円・ドル・ユーロのアップダウン
今日の主要通貨の為替相場は、下記の通りとなった。
円対ドルは、
1ドル=114円79―82銭
一時は、114円53銭まで上昇
円対ユーロは、
1ユーロ=152円71―79銭近辺
円はユーロに対して続伸
ドル対ユーロは
安値1.3306ドル、高値1.3342ドル
ユーロは対ドルで小反落
ということで、日本の日経の記事「外為17時・円114円80銭前後に4日続伸」
は、ドル安の原因を、アメリカ経済の減速化観測が主因ととらえているのに対して、ロイターの記事「Yen gains as BOJ keeps up hawkish rhetoric」は、「日銀政策責任者のコメントが、公定歩合の上昇を期待する市場の期待に火をつけた。」としている。
この「日銀政策責任者のコメント」とは、西村清彦審議委員が、6日に、長野県松本市での記者会見で、経済情勢について日銀と市場の認識が「完全に一致しなくても、必要とあれば(利上げに)動けない訳ではない」との考えを示したことを指している。
この点では、明らかに、ロイターの市場観測のほうが当たっているようにも見えるのだが。
つまり、これまで、ドル高を支えてきた日米の金利格差が縮小するとの見通しで、ドルが売られて、円が買われているという事実だ。
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