2006/10/19(Thu)
このサイト「Dow’s break above 12,000 could spark pullback」では、昨日、一瞬ではあったが、12000ドルの過去最高水準を過ぎて、これから、ダウ平均は、下方調整局面に入るとの見方である。
その理由として、このサイトでは、今回のダウ平均のフィーバーぶりを、次のような面白いたとえで言っている。
「アパートに住んでいる人が、隣の部屋で、パーティーをやっているときには、思わず、隣の家のドアをノックしたがると同じようなもんだ。今の投資家の心境とは、まさに、その程度のようなものだ。」
つまり、アメリカの住宅バブルの終焉、北朝鮮核実験などの地政リスクの増加などなど、アメリカ経済の低落についての心配はいくつもあり、売り材料だらけなのに、これほどまでに、その心配とは、かけ離れて、ダウ平均が上昇するのは、ひとえに、原油価格の低落の要因のみである、というのだ。
しかし、心配の種は、ダウ平均の市場最高値のピークを過ぎたあたりから、急速に現実のものになり、今後、12000ドルをマイルストーンにして、次の13000ドルに向かうのではなくて、10000ドルのラインに向かう可能性が強いと、コリンズスチュワート社のアナリストは、言う。
それに、シカゴオプション取引所のボラティリティインデックス(CBOE Volatility Index)(市場に対する投資家の恐怖心を反映する指数であるといわれている。)の低下も、気になるところだという。
もっとも、上記の今週にはいってのCBOE Volatility Indexの低下は、むしろ、それ以前の北朝鮮核実験による地政学的リスクの上昇による投資家の不安心理の上昇からの反動落ちという要素もあるので、なんともいえないのだが、専門家では、この指数の低下は、そのまま、株式相場のピークの時期と一致しているのだという。
一方、ダウ平均を押し上げている有力要因の原油相場についてであるが、このところ、低迷が続いている原油相場を押し上げるために、カタールで開かれているOPEC総会では、先週来、日産百万バーレル減産に合意の方向だが、各国別割り当てについては、いまだに、足並みがそろっていないようである。
OPEC加盟国のうち、アルジェリアは、最大日産五万バーレル減産に合意、しかし最大の産油国のサウジアラビアは、Ali Naimi 石油相は、大筋では合意とは言っているが、これまでのところ、減産の具体的数字については、一言も、発していないようだ。
問題のポイントは、何をベースに、各国別の減産枠を決めるかにかかっており、公式割り当て(official quotas )によるのか、それとも、現在の生産ベース(actual production)によるのかにかかっている。
一方、原油取引市場では、すでに、日産百万バーレル減産を織り込み済みで、果たして、OPECの各国別減産合意によって、原油高騰となるかどうかは、疑問と見ている。
この合意がされれば、削減は、今年の11月1日からなされるという。
一方、、原油高騰を図るためには、果たして、削減幅は、百万バーレルで十分なのかという意見もあるようだ。
なお、来週水曜日にFOMCがあるが、アナリストのほとんどは、金利据え置きを予想しているようだ。
当面はともかく、今後FEDが、金利を引き下げていくのか、引き上げていくのかについては、FEDと市場の思惑とには、すれ違いがあるようだ。
たとえば、このサイト「Beware: More Fed hikes may be coming」では、アメリカ中間選挙までは、据え置きを貫くとしても、一端の据え置きの後は、FEDは、ふたたび、インフレ圧力を懸念して、継続的な利上げに踏み切り、究極は、バーナンキお得意のインフレターゲット体制をしくのではないかとの、予測をしている。
追記 2006/10/20(Fri) OPECの原油減産は、日産百二十万バーレルに拡大
当初、日産百万バーレルの減産と見られていたOPECの減産は、日産百二十万バーレルに拡大されることとなった。
これは、減産による原油高が、日産百万バーレルでは、えられないとの見通しに基づくものである。
今後、12月にも、日産50万バーレル程度の更なる減産枠拡大の見通しもある。
今回の減産の各国別の減産量としては、最大の産油国サウジアラビアの減産枠として、日産38万バーレル、イランが日産17万6000バレル、ナイジェリアとボリビアとが共同で日産17万バーレル、アルジェリアが、日産5万バーレル、を予定しているという。(以上の五カ国での減産合計は、776,000バーレル)
この結果、すでに原油取引市場では、11月原油引渡し分で、1.5パーセント上昇し、一バーレル59.40ドルに上昇している。
今後、在庫の払底状況では、更なる急上昇が見込まれるという。
しかし、減産発表後の市場動向を見ると、市場では、果たして、OPEC加盟各国の減産誓約が守られるかについて、疑心暗鬼が、早くも広がっている。
カルテル維持の可能性に不安がもたれているということだ。
その結果、一時は、11月引き渡し分は、一バーレル59ドルを突破したが、その後は、58.6ドルから59ドルの間を行き来しているようだ。
それでも、この予想を20万バーレル超えたOPEC原油減産のニュースは、日本時間の今晩のニューヨーク株取引市場に対して、一定の影響をおよぼすものと見込まれる。
追記 2006/10/21(Sat) 結局、昨日のOPECの120万バーレル減産発表は、どう影響したのか?
結論から言うと、あまり影響しなかったといえますね。
ダウ平均は、一時、急速に下がったが、それは、OPEC減産の要因よりは、キャタピラー社の減益見通しによる影響であったし、
シカゴのシカゴオプション取引所ボラティリティインデックス(CBOE Volatility Index)(市場に対する投資家の恐怖心を反映する指数であるといわれている。)も、寄り付きは、急上昇したものの、次第に、安定したカーブとなってしまったし、
当の原油相場も、このように、逆に、前日終値比1.68ドル安の1バレル=56.82ドルで取引を終えたという有様。
結局、口先だけのOPECということで、市場から足元を見透かされていたというわけだ。
では、今後、OPECは、どうやって、当面の原油安を乗り切るのか、というところだが、予定の12月の50万バーレル減産の前倒しも、行いかねない状況となって来た。
なお、来週の火曜日・水曜日は、FOMCの会議だが、利率据え置きは、確実であるとしても、声明文の中に、加熱しすぎている株式市場を冷ましうるコメントが盛り込まれる公算が高いと、ウォールストリートジャーナル紙などは、見ている模様。
ご参照
「Lookahead: Peril Amid Profits」
「Calendar of U.S. Economic Events」
蛇足ですが、上記のカレンダーを見ますと、来週木曜日に、ニューヨーク連銀総裁 のTimothy F Geithner 氏が、日本経済について講演すると書いてありますね。
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