Sasayama’s Weblog


2006/10/14 Saturday

「イノベーションを技術革新と訳したのは、誤訳である」との意見

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:00:18

2006/10/14(Sat)
 
nullこのサイト「イノベーションとは?」によれば、1958年の経済白書で、「イノベーション」を「技術革新」と、誤訳してから、日本のイノベーション感覚は、くるってしまったと、指摘している。
(注-「経済白書データベース」で検索する限りて゜は、経済白書にはじめて、「イノベーション(技術革新)」との記載があったのは、1958年(昭和33年)ではなくて、その二年前の1956年(昭和31年)の経済白書である。このサイトの末尾記載の参考資料ご参照)

すなわち、このサイトの早稲田大学の吉川智教氏によれば、どんなに優秀な技術を開発したところで、その技術を取り巻く社会的環境や、川下のマーケットにいたる諸条件がととのわなければ、その技術革新は、生きてこない、といわれている。

そこで、肝心の唱える安倍さんが、このイノベーションをどう解釈しているかなのだが、施政方針を見る限りでは、次のとおりである。

「人口減少の局面でも、経済成長は可能です。
イノベーションの力とオープンな姿勢により、日本経済に新たな活力を取り入れます。
成長に貢献するイノベーションの創造に向け、医薬、工学、情報技術などの分野ごとに、2025(平成37)年までを視野に入れた、長期の戦略指針「イノベーション25」を取りまとめ、実行します。自宅での仕事を可能にするテレワーク人口の倍増を目指すなど、世界最高水準の高速インターネット基盤を戦略的にフル活用し、生産性を大幅に向上させます。」

つまり、「技術革新をテコに成長戦略を推進する2025年までの長期戦略指針」なんだそうですが、ちょっと、微妙ですね。

そこで、このWikipediaの「Innovation」を見ると、世界のイノベーションの概念の変遷がわかって面白い。

これによれば、

1934年にシュンペーターが定義づけた古典的なイノベーションでは、生産過程に、新しい方法や、デバイスを組み込むことによって、新しい方向を生み出すものとしてきたが、

1995年になって、OECDが、「Oslo Manual」(THE MEASUREMENT OF SCIENTIFIC AND TECHNOLOGICAL ACTIVITIES)で、新しいイノベーションの概念を規定し、Technological product and process (TPP)イノベーションと名づけ、このTPPは、科学的、技術的、組織的、機能的、商業活動的なものを包括するものであると、定義づけた。

そして、今日的な定義では、次のようなイノベーションがあるという。

1.ビジネスモデルとしてのイノベーション
2.マーケティングとしてのイノベーション
3.組織変革としてのイノベーション
4.生産・流通過程でのイノベーション
5.製品イノベーション
6.サービスイノベーション
7.サプライチェーン・イノベーション
8.エンド・ユーザー・イノベーション

そしてそのためには、

1.品質の改善
2.新市場の創造
3.プロダクト・レンジの拡張
4.労働コストの低減
5.生産過程の改善
6.原料の低減化
7.環境負荷の低減
8.生産・サービスの置換
9.エネルギー消費の低減化
10.規制のConformance化

そして、最後に、イノベーションが失敗する要素としては、次のような要素があるという。

1.リーダーシップの欠如
2.組織力の弱体
3.コミュニケーションの貧困
4.劣悪な環境
5.ナレッジマネジメントの弱体ぶり
6.ゴール設定の弱さ
7.ゴールまでの連帯の欠如
8.チームへの参加力の欠如
9.結果についてのモニター欠如
10.コミュニケーションと、情報アクセスの欠如

以上

参考資料
1956年(昭和31年)の経済白書における「イノベーション」についての記述箇所抜粋

技術革新と世界景気

しかし労働生産性を上げるということは単に勤労者が勤労意欲を振いおこすということではない。
近代工業における生産性の上昇には設備の近代化、技術投資が先行しなければならない。
そして年々巨額な投資を推進しているものは、技術の絶えざる進歩とそれを媒介にした企業の競争である。
技術が絶えず進歩しているときに、生産設備を物理的に使用に耐えるまで耐久年限いっぱいに使っているようなことでは、競争会社に圧倒されてしまう。
耐久年限の短縮と取り替え需要は投資財市場を拡大する。1956年の米国の産業設備投資は対前年2〜3割の増加が予想されているが、その半ばまでは近代化の投資である。
長期にわたる近代化投資を予想されている業種のなかに、目先き売れ行き不振で滞貨に悩む自動車産業が含まれていることは、近代化投資需要が目前の好不況の波を超越した強い力をもっていることを示すであろう。
 このような投資活動の原動力となる技術の進歩とは原子力の平和的利用とオートメイションによって代表される技術革新(イノベーション)である。
技術の革新によって景気の長期的上昇の趨勢がもたらされるということは、既に歴史的な先例がある。
その第一回は、蒸気機関の発明による第1次産業革命後の情勢であって、1788年から1815年まで長期的に世界景気の上昇が続いた。
第二回目は、鉄道の普及によって1843年から1873年まで、第三回目は、電気、化学、自動車、航空機等の出現に伴って1897年から1920年まで、革新ブームが現出した。
そして現代の世界を原子力とオートメイションによって代表される第4回の革新ブームの時期とみることもできるであろう。
 しかし過去の例によってみれば、技術革新ブームによる景気の長期的上昇の趨勢のうちにあっても、景気の後退が発生しないという保障はない。
ただ上昇趨勢中の後退は小幅かつ短期間であったことに注意を要するであろう。
世界景気の現状を仔細に検討するならば、今まで一本調子の登り坂を続けてきた先進国の景気情勢に若干の変調があることがうかがわれる。
アメリカ景気の伸び悩みは自動車、住宅等に対する購買力の停滞をその主因としているが、イギリスは内需増大による国際収支の悪化に、そして大陸諸国は労働力を初めとする生産力の限界に突き当たり、デイスインフレ政策が日程に上っている。
もちろんアメリカにおいても基調としては技術革新ブームによる旺盛な投資需要が存在し、各国ともその経済動向がインフレとデフレの微妙なバランスのうえにかかっているだけに、ブームの背骨を折らずに如何にして調整過程を短期に切り抜けるかは、各国経済政策当局者の苦心の存するところであろう。
いずれにせよ1956年の世界景気は前年ほどの上昇テンポを維持することはできない。
中略
従って成長率の維持のためには、有効需要を経済循環のなかから生みだしながら、同時に将来の生産力を培う課題が要求される。
前に世界経済について述べたとき、技術革新(イノベーション)が高い成長率維持の根因になっていることを説明した。技術革新とはいうけれど、それは既にみたように、消費構造の変化まで含めた幅の広い過程である。
外国では技術革新をさらに拡張して、技術の進歩と、これに基づく内外の有効需要の構造変化に適応するように自国の経済構造を改編する過程を、トランスフォーメーションと呼んでいる。
その内容として普通に挙げられているのは、技術の進歩による生産方式の高度化、原材料と最終製品の間の投入−−産出関係の変更、新製品の発展と消費の型のサービスおよび耐久消費財への移行、国内産業構造の高度化と結びついた貿易構造の変化、生産性の低い職場から高い職場への労働力の再配置などである。さらに最近では新しい世界情勢への適応として、後進国開発援助の動向などもこのなかに含めて考えられるであろう。
我々はこのトランスフォーメーションを経済構造の近代化と名づけることにしよう。

中略

安定的発展のための経営対策

設備近代化と操業度安定

 企業経営の発展のための基軸は、生産技術と設備の近代化である。
これまで述べたような30年度における経営の好転が世界的なイノベーション・ブームの波によってもたらされたことを思えば、我が国の企業が次の発展をはかるためには、当然に国際市場で通用するだけの技術革新のための投資を用意しなければならない。
 しかしまた同時に生産設備の効率的運用と高能率な操業度の維持に対して、考慮を払うことも同程度に重要である。
我が国の企業の通弊として、景気変動のなかで操業度は非常な不安定な起伏を示し、何年に一度の好況時には操業度が上昇して老朽化設備までもかりだされることがあっても、平常時の生産設備はかなり低操業のままに置かれてきた。
今後の企業にとっては資本効率をできるだけ高めながら近代化投資を進めていくことが、特に必要な課題であろう。我が国の企業が陳腐化設備を温存しながら当面の好況に対処するというのみならば、いつまでたっても世界の限界供給者的な範域から抜けでることはできないであろう。
老朽化、陳腐化設備を廃却しながら設備の近代化に努め、高能率精鋭設備の操業度を高めていくような配慮がなされねばならない。
また近代化設備の操業安定は、単なる生産工程だけの問題ではなく、絶えずマーケット・リサーチ、流通販売面の整備を前提としなければならないこともいうまでもない。
中略
かかる発展の機動力となるべきものが近代化投資であることはいうまでもないが、今後の近代化投資は日本経済の構造変動を可能にするところの投資であり、かつ世界経済の構造変動に適応するところの投資でなければならないはずだ。

 その意味において近代化投資の基軸になる産業は、化学、機械であろう。
欧米先進国の産業構造は化学、機械の比重が高いが、さらにイノベーションの主体もこれら産業にある。
我が国の産業構造は戦時生産の遺産によって比重こそ重化学工業化したが、いまだ産業の基軸と呼ぶほどのものではない。輸出にしても、戦前の繊維中心から鉄鋼などへ比重が移行しているが、機械はまだ輸出額の12%に過ぎず、先進諸国の30%以上というのに比べると、我が国の機械産業の遅れが目立つ。
また、いわゆる合理化投資期においても機械産業への投資は立ち遅れていた。
化学は石油化学などにみるごとく新産業的色彩が強く、かつ新しい基礎財産業となりつつある。戦後の技術の発展はめざましかったが、海外技術の導入に終っており、先進諸国の技術は日進月歩の勢いであるから、今日採用した技術が明日にも陳腐化する惧れさえある

以上抜粋終わり

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