Sasayama’s Weblog


2006/08/27 Sunday

がん転移をたんぱく質が抑止するという研究成果

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:44:54

2006/08/27(Sun)
 
null以下のゴチック部分は、「日経産業新聞医療情報」よりの引用である。

「日本赤十字社(秋田赤十字病院)とSouthern Illinois University School of MedicineとResearch Institute of the New York Blood Centerとの日米研究グループは、がんの転移を抑える新しい免疫機構の仕組みを突き止めた。

二種類のたんぱく質が、血管に入ったがん細胞が別の臓器に転移するのを抑える。

これらのたんぱく質を使った薬を開発すれば、転移を防ぐ新しい治療法になるとみている。

研究に当たってきた日本赤十字秋田短期大学の廣田茂教授らの研究グループはこれまでに、がん細胞周囲の細胞が作る「KAI1」というたんぱく質ががん細胞にくっつき、転移を抑えることを発見していた。

今回はさらに詳しい仕組みを調べた。

血管内皮細胞が作るたんぱく質を調べたところ「DARC」というたんぱく質がKAI1と結合することが分かった。

KAI1が付いたがん細胞が血管内に入ると、KAI1にDARCがくっつき、これら二つのたんぱく質でがん細胞を抑えると考えられる。

DARCを作れないマウスに人の前立腺がんを移植して一年間様子を見たところ、がんは肺に転移したが、DARCを持つマウスでは転移しなかった。」

以上は、「日経産業新聞医療情報」よりの引用であるが、今ひとつ、詳細がわかりにくい。

ちなみに、原文をあたってみると、この論文は、2006年7月23日のNature Medicine - 12, 933 - 938 (2006)に発表されたもので、原題は「Interaction of KAI1 on tumor cells with DARC on vascular endothelium leads to metastasis suppression」(このまま訳すと『腫瘍細胞のKAI1 と、血管内皮のDARCとの相互作用が、転移の抑制につながる。』ということになる。)となっている。

で、ついでにちょっと調べてみると、このDARCは、 ケモカイン(ケモタクティック サイトカイン、ケモタキシス(細胞遊走)を誘導 するサイトカイン(細胞間情報伝達分子))のためのダフィー抗原(赤血球膜状のタンパク質)レセプター( Duffy antigen receptor for chemokines)ということらしい。

また、 KAI1(Kangai 1 )は、CD82(テトラスパニン分子、膜貫通型タンパク質) の遺伝子変換名(Gene aliases)のひとつのようで、膜タンパク質のひとつのようだ。

こちらのサイト「Collaborative research on cellular markers」もご参照

そこで、論文の原文のさわりを訳すと次のようになる。

「近年、前立腺がんの転移抑制遺伝子と確認されている、 KAI1としても知られているCD82の動作メカニズムを確認するために、gp-Fyとしても知られているDARCとの相互作用を調べたところ、KAI1 とDARCとの相互作用を通して、血管内皮細胞に取り付いたKAI1 に対して、がん細胞が、反応したということ、そして、この相互作用が、腫瘍細胞増殖抑制につながり、TBX2遺伝子 と p21放射線応答遺伝子の反応を調整することで、(がん細胞の)老化への誘導につながるということ、がわかった。

さらに、DARCを不活性化したマウスにおいては、KAI1 の転移抑制活動は、著しく、損なわれたのに対して、野生型の異型接合の同腹子マウスでの肺の転移に対して、KAI1 は、完全に転移抑制をした。

これらの結果から、DARCは、KAI1 の転移抑制活動にとって、不可欠の存在であるとの直接的証拠が得られた。」

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