Sasayama’s Weblog


2006/07/20 Thursday

靖国A級戦犯分祀論への疑問

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 16:09:07

2006/07/20(Thu)
 
null今日の日本経済新聞は、どうしたことか、日経らしからぬ大見出しで、昭和天皇の靖国A級戦犯合祀反対の意向を記した元宮内庁長官富田朝彦さんのメモの紹介で、一面トップを飾っている。

いまや、靖国問題の有力な解決案であるA級戦犯分祀論を後押しする論調なのだが、どうも、私には、「そもそも、昭和天皇の戦争責任と、A級戦犯の戦争責任とは、本来、トレードオフの関係にあったのではないのか?」という、素朴な疑問がわいてくる。

つまり、ありていにいえば、A級戦犯は、天皇戦争責任論への拡大の防波堤となった方々であり、当時のGHQのマイルドな敗戦国管理の、ひとつの理想的パラダイム実現に寄与した方々とも言える。

そして、それ以前に、私の心には、アルビン・トフラーの「歴史にも時効を」との考えが、よぎる。

参照「アルビン&ハイディ・トフラー夫妻の「歴史にも時効を」には同感

つまり、今の靖国A級戦犯分祀論には、解けないパズルを、A級戦犯への責任の四捨五入で、無理して、解いてしまっている嫌いがある。

A級戦犯は、日本国にあっては、未来永劫、その御霊すら否定されるのか、トフラーがいうように、戦争責任にも時効というものがあるのではないのか、そんな疑問がわいてくる。

ましてや、戦勝国主導の軍事裁判の正当性はと問われれば、古来、いろいろなバイアスを持った裁判となりうることは、歴史が証明している。

そして、ある種の当面の外交問題解決のための便宜主義的しわ寄せで、靖国A級戦犯分祀論が論じられている政治家たちの浅はかさを、そこに感じるのだ。

むしろ、それをいうなら、それ以前に、「靖国神社解体論」があってしかるべきものなのだが。

それを言い出せない、政治的しがらみが、政治家たちをして、安易でハームレスな靖国A級戦犯分祀論に、向かわしめている。

こんなことをいうと、日本版ホロコースト修正主義などと、揶揄されるのを覚悟での、発言なのだが。
参照「「事実なのだろう。」発言と、「ホロコースト修正主義」」

憎しみの再生産過程を遮断しうる、トフラーさんの言う「歴史の時効」というような概念が、この際必要なように思える。

参考 原文で読む「A級戦犯」とは?

極東国際軍事裁判所条例(Charter of the International Military Tribunal for the Far East )

II JURISDICTION AND GENERAL PROVISIONS(管轄権ならびに一般規定)

(Article 5. Jurisdiction Over Persons and Offenses.)(第5条犯罪人ならびに犯罪についての管轄)

において

A級戦犯

(a) Crimes against Peace: (平和に対する罪)

に定義された下記のことをさす。

Namely, the planning, preparation, initiation or waging of a declared or undeclared war of aggression, or a war in violation of international law, treaties, agreements or assurances, or participation in a common plan or conspiracy for the accomplishment of any of the foregoing;
(すなわち、宣戦布告された、または、宣戦布告されない侵略戦争、または、国際法、条約、協定、誓約に違反した戦争の、計画、準備、開始、実行をした罪、または、前述のいかなるものの遂行のために、その共通の計画や陰謀への参加をした罪。)

ということだが、これを分かりにくい日本語に訳されると、下記のようになってしまう。

「平和ニ対スル罪即チ、宣戦布告ヲ布告セル又ハ布告セザル侵略戦争、若ハ国際法、条約、協定又ハ誓約ニ違反セル戦争ノ計画、準備、開始、又ハ遂行、若ハ右諸行為ノ何レカヲ達成スル為メノ共通ノ計画又ハ共同謀議ヘノ参加。」

なお、同様に、B級戦犯およびC級戦犯についてみると、下記の通りとなる。

B級戦犯

(b) Conventional War Crimes:(通例の戦争犯罪)

Namely, violations of the laws or customs of war;
(すなわち、戦争の法律や慣習の侵害)

C級戦犯

(c) Crimes against Humanity: (人道に対する罪)

Namely, murder, extermination, enslavement, deportation, and other inhumane acts committed against any civilian population, before or during the war, or persecutions on political or racial grounds in execution of or in connection with any crime within the jurisdiction of the Tribunal, whether or not in violation of the domestic law of the country where perpetrated. Leaders, organizers, instigators and accomplices participating in the formulation or execution of a common plan or conspiracy to commit any of the foregoing crimes are responsible for all acts performed by any person in execution of such plan.
(戦争前や戦争中において、いかなる国の一般国民に対して行われた、殺人、皆殺し、奴隷化、国外追放、残酷な行為
または、その犯罪が行われた国の国内法に違反しているか否かにかかわらず、この極東裁判所の管轄内での犯罪の遂行、またはこれに関連してなされた政治的・人種的理由に基づく迫害、
または、上記の犯罪を犯すための共通の戦争計画や陰謀行為の立案と遂行に参加した、指導者、組織者、扇動者、共犯者 は、そのような戦争計画においてなされたいかなる行為に付いて、いかなる人間によって行われたかいなかを問わず、責任がある。)

以上ですが、このように見てまいりますと、とかく、一般には、A級戦犯、B級戦犯、C級戦犯 という言葉のA.B.Cが、罪の重さのランク付けをあらわしているかのような誤解を受けているのですが、この原文に照らし合わせてみてみると、そうではなく、A.B.Cは、戦争犯罪の罪の種類の分類を表した項目に過ぎないことが分かりますね。

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