2006/07/12(Wed)
青森県りんご協会がカナダのNISA(純所得安定口座)方式に倣った「りんご再生産積立制度」を、採用することを提案している。
一方、青森県農協グループのほうは、「生食用りんご価格安定対策事業」を提案しているという。
このうち、青森県りんご協会が提案しているカナダのNISA(純所得安定口座)方式は、「Net Income Stabilization Account」といわれるもので、現在では、この制度は、2003年から、Farm Income Disaster Program (FIDP)プログラムと合体し、,新しくできた「Canadian Agricultural Income Stabilization (CAIS)」に移行している。
参照
http://www.agr.gc.ca/caisprogram/main.html
http://www.agr.gc.ca/nisa/winddown.html
このNISAまたはCAISは、災害プログラム(disaster programs )と呼ばれるもので、任意加入の互助制度である。
カナダ政府からの財政援助も、安定的に、得ている。
政府対生産者の赤字負担額は、二分の一づつのため、結果、損失額が巨大になると、政府負担額は、増加してしまうという。
加入生産者は、毎年、一定のデポジットを積み立て、不作年の低収入時には、そのデポジットを取り崩すという、一種の基金方式のようである。
支払額は、その農家の作物種類や作物価格とは、切り離され、あくまで、その農家の総収入を基準に支払われることが、特徴といえる。
畜産関係は、対象となっていないようだ。
一農家当たり、大体、一万六千カナダドル(1カナダドル=100.92円として、約160万円)というのが相場のようだ。
CAISでは、毎年の要補償額と、払い戻し可能金額を、農家が選択できるようになっている。
この払い戻し可能金額というスキームがミソであるが、おんぶに抱っこの日本農政の場合は、この選択を農家が自制心を持って、することは、可能なのであろうか?
今回、このカナダの制度を手本とした青森県のりんご再生産積み立て制度は、下記のとおりであるが、県市町村の財政援助が無ければ、このスキームは成り立たないだけに、その点が、すべてのポイントになるように思われる。
これまでの農業関係の基金制度というものが、すべて破綻しているのが実際だけに、外国のスキームを手本とした夢だけではなかなか、うまくいかないのも事実だろう。
参考1
「農業収入の変動状況と、安定化対策に関する分析」
5−6ページより引用
「NISAのスキーム」
毎年,農家が自分の当該年の農業収入に拠出率(1%,2%および3%について試算)を乗じた額を口座に預け入れると,政府も同額を拠出する。
政府は農家拠出分の残高に対して3%のボーナス金利を与える。
農家は当該年の農業所得が前5年間の平均農業所得を下回る場合に,その差額(引出必要額)を口座から引き出す。
口座残高が引出必要額を下回るときには,口座残高が引出額の上限となる。
したがって,口座残高がゼロであれば,引出基準に該当しても全く引出を行うことはできない。
以上、引用終わり
参考2.
【りんご再生産積立制度】(青森県りんご協会)
積立額は農薬費相当とし、1年で十アール当たり1万円(生産者50%、県・市町村50%)。
5年を一期とし、生産者は運営費として十アール当たり300円を別途負担する。
積立金は掛け捨てにせず、脱退者には返金する。
加入対象は50アール以上300アール以下を栽培する全生産者。再生産資金の発動と発動割合は県(委員会)が決め、積み立てた金額の範囲内で加入者に交付する。
参考3.
カナダのNISAシステムに関するスライド
http://www1.oecd.org/agr/irm/ppt/irmcan/irmcan.ppt
为翻译对汉语, 使用这
⇒http://translate.livedoor.com/chinese/
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