Sasayama’s Weblog


2006/07/08 Saturday

血液検査で、異常プリオン発見可能との研究

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 22:08:50

2006/07/08(Sat) 21:02
 

nullこの研究は、テキサス大学と、スペインのthe Universidad Autonoma de Madridとの共同研究として、行われた。

中心となったPaula Saa博士やJoaquín Castilla博士や、Claudio Soto博士らによると、この研究は、次のようにして、行われた。

46匹のハムスターについては、あらかじめ、スクレイピー感染物質を注射し、他の36匹については、食塩水のみを注射した。

次に、PMCA(Protein Misfolding Cyclic Amplification )という増幅装置をつかって、その比較をした。

この増幅方法は、ホモジェネートした、異常プリオン感染のハムスターの脳を、インキュベーションと超音波清浄の繰り返しによって、増幅させるもののようだが、牛や人の感染脳についての増幅は、これからの課題のようではある。
(注-上記の図が、左から右にかけての増幅の過程である。−拡大図は、こちら-
茶色が異常プリオン、薄い青色が、正常プリオン、薄い茶色が、増幅によって生まれた異常プリオンである。
超音波処理と、インキュベーションの過程を交互に繰り返すことによって、左から右にかけて、異常プリオンが増幅されていく過程がよくわかる。
薄い緑色が、その超音波処理で、一時間当たり、一回の超音波処理と、一回のインキュベーションのサイクルで、異常プリオン部分と、増幅異常プリオン部分に、超音波を当てて、分離し、その分離したものをインキュベーションによって、さらに増幅し、こうして増幅・分離・増幅の過程をくりかえしていく。というもののようだ。)

Soto博士らは、このPMCA法の更なる改良のために、”Amprion”という会社を立ち上げて、ハムスターだけでなく、牛や人の脳や、目を使っての研究を続けているという。
参照「UTMB spins off firm to develop mad cow test

このClaudio Soto博士が開発したPMCA増幅方法については、「Major Breakthrough to Improve Detectability of Mad Cow and Other Prion Diseases 」などに詳しい。

この結果、接種後、二週間は、どちらのグループのハムスターにも、変化は見られなかった。

接種の20日後になり、異常な折り畳み構造のタンパク質は、感染ハムスターの半分の血液から発見されたが、彼らは、何の症状も見せなかった。

そして、感染ハムスターが症状を見せ始めたときには、それらのハムスターの80パーセントに、悪玉プリオンが発見された。

つまり、症状を見せないうちにも、その感染ハムスターの半分の血液の中に異常プりオンがすでに発見され、症状を見せてからは、その感染ハムスターの80パーセントの血液に、異常プリオンが発見されたとのことである。

一方、プリオン検査のタイミングは、きわめて、微妙で、接種後、40日後が、もっとも、発見されやすく、それが接種後80日後になると、発見されず、114日後になると、症状を示しだす、というもののようだ。

つまり、接種後、40日後から114日後の間が、悪玉プリオンにとっては、沈黙の時期( silent phase)となるようだ。

Soto 博士によれば、このsilent phaseは、人間にとっては、20年から40年も続くことがあるとしている。
参照「Prion Find Points Way To Test For Human ‘Mad Cow’ Disease

これからすると、1990年代初期に感染した人の発症は、2010年または、2020年に集中することもありうると、Soto氏は、言っている。
参照「UTMB spins off firm to develop mad cow test

研究者は、「多くの異常プリオンは、発症する前の、たった、2−3週間前にしか、脳に、あらわれない。」としている。

この研究成果によって、血液検査によって、異常プリオンの発見が可能になったとしているが、上記の研究者の言葉(「多くの異常プリオンは、発症する前の、たった、2−3週間前にしか、脳に、あらわれない。」)からすれば、そのこと自体が、即、早期治療につながるというものでも、まだ、なさそうだ。

むしろ、40年もあるかも知れないとされるsilent phaseの段階にある、異常プリオンの潜伏期間中の無症状の時期に、TSEを非侵襲的(non-invasive)な方法で、診断できる可能性を生み出した、という点を、評価するべきものかもしれない。

TSEの非侵襲的(non-invasive)な検出方法としては、この血液検査のほかに、 咽喉培養(throat swab)による方法が、試行錯誤されているようだ。
参照「MRC Research on Transmissible Spongiform Encephalopathies (TSEs)」

なお、Science2006年7月7日号で発表されたこの研究のアブストラクトは、こちら
Presymptomatic Detection of Prions in Blood 』で見ることができる。

参考
Hamsters help develop BSE blood test
Blood Test For Mad Cow, CJD In The Works
BSE prions ‘leak’ into blood」
Scientists say blood test may diagnose human version of mad cow disease
New steps towards CJD blood test

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