2006/05/05
この「Why Isn’t Socialism Dead?」とのLee Harrisの論説は、「今回のベネズエラとボリビアの石油天然ガス資源の国有化に、社会主義の復活を見る。」との視点から書かれている。
20世紀には、社会主義が夢見たユートピアの終焉に終わり、一見、資本主義に替わりうる体制の神話は無いように思えたが、ここにきて、このベネズエラとボリビアの石油天然ガス資源の国有化にみられるような外国資本の資源国からの追い出しの動きが起こり、この動きに、キューバのカストロや、ペルーのOllanta Humala次期大統領候補なども加わり、社会主義の復活・台頭が、南米各地に、顕著に見られるようになって来た。
これは、死に絶えたはずの社会主義の復活の端緒になるものとの見方である。
そして、ボリビアの天然ガス国有化の宣言が、メーデーの5月1日に行われたのは、偶然なものではなく、社会主義の復活を重ね合わせた意図的なものであるとの解釈をしている。
Lee Harris氏の言われるに、社会主義は死に絶えたのではなく、これは一種の信仰であるのだから、実は、根強く、世界各地に生き残っているものであり、復活のきっかけとなる「良き神話」の存在があれば、それは、容易に復活しうるものである、としている。
ペルーの経済学者である Hernando de Soto氏がその著書「The Mystery of Capital」でいったのは、「20世紀において、社会主義は、あまりに、手痛い失敗によって、人々に絶望感を与えすぎたので、その復活はありえない。」といったのだが、その予測は、的中しなさそうだという。
それが復活するかしないかは、資本主義と社会主義との神話の比較で、よい神話であるのか、悪い神話であるのか、との比較によるものであるとしている。
本来、マルクスが志向したのは、空想社会主義であり、それは、現実の社会主義と言われるものとは、かなり違っていたとする。
これを悪しく利用した革命家によって、本来のマルクスが目指したものは、著しく改変されてしまったとしている。
これを「 myth gap」と、氏は、言っている。
そして、もし、社会主義の復活があるとするならば、それは、過去の失敗体験によって食い散らかされ、使い古された社会主義ではなく、革命的社会主義(revolutionary socialism)にもとづくものであるという。
この新しい社会主義は、更に、ポピュリズムと結びついて、より強固なものになりえるとしている。
追記 2006/05/05 上記の「revolutionary socialism」の概念について
この論説での「revolutionary socialism」をあえて、日本語に訳したくなかったのは、いったい、この「revolutionary socialism」とは、何のことなのか、ということが、日本語では、あいまいであるからです。
これは、日本語だけではなく、この「revolutionary socialism」という言葉自体が、多くの場合、誤解を与えていると、たとえば、このサイト「What Revolutionary Socialism Means.」
では指摘しています。
ここでは、多くの場合「revolution」という言葉自体から、軍隊による「流血」「暴力」を想像するが、そうではなく、この「revolution」は、資本主義体制の下での「reform」に対峙する概念であり、社会主義体制の下での「revolutionists」は、資本主義体制の下での「reformers」に対応するものであるとしています。
したがって、社会主義体制のもとでの「revolution」は、決して、流血や暴力をもたらすものではなく、平和的問題解決を求めるとしています。
そこに、科学的社会主義の意義があるとしています。
上記のLee Harris氏の論説でいわれているのは、資本主義の改革神話(transformative myth )で、社会主義の「revolutionary socialism」の神話がかき消されてしまった20世紀であったが、20世紀初頭にあった本来の「the myth of revolutionary socialism」の原点に立ち返れば、いわば、「二つの体制の神話競争」が生まれるのではないか、という視点のようです。
きわめてドグマティックに食い荒らされた日本では、健全な「revolutionary socialism」神話の復権には、いろいろな障害があることは事実でしょうが。
しかし、資本主義体制の改革神話に倦んだ人々にとっては、新鮮な神話に映るかも知れません。
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