2006/04/04(Tue)
コンタクト使用者のフザリウム角膜炎(Fusarium keratitis)が増えているというアメリカでの報告がある。
従来は、ソフトコンタクトレンズ常用者に多いとされていたようだが、近年になって、使い捨てレンズの使用者にも、感染が増えてきているというのは、どうしたわけでだろう。
日本では、まだ、あんまり問題にされていないようだが、以下の記事では、香港、シンガポールなど、アジアでの流行がアメリカにも伝播してきたという。
進行すると、角膜の移植をするしかないという。
フサリウム角膜炎の症状としては、突然、目が曇り、見えにくくなり、目の周辺が痛み、充血し、光過敏性となるというもののようだ。
このサイトに、にごった目の写真があるが、これはひどい。
もっとも、このフザリウムという真菌は、浴場など、どこでもいるカビの一種のようなので、コンタクトの取り扱いを清潔に保つ以外には、防ぎようはないようだ。
参照「Contact Lens Fungus Infection Warning in US - Symptoms and Treatments - Severe Corneal Fungal Eye Disease Cases in United States 」
2006/04/10 緊急情報-ボシュロムの保存液にご注意-
本日、アメリカのFDAが、この件について、緊急の警告を出した。
参照「Investigation of Serious Eye Infections Associated With Soft Contact Lens Use and Contact Lens Solution」
これによると、4月9日現在、全米で、109の真菌感染例が確認され、そのうち、30例について見たところ、ソフトコンタクトレンズ着用者が、28例、残りの2人は、着用なしという結果となった。
また、ソフトコンタクトを漬けていた保存液について見ると、26人が、Bausch & Lomb ReNuの保存液をつかっており、そのうち5人は、 ReNuのブランドの溶液に加えて、他のブランドの保存液も使っており、9人は、就寝中もコンタクトレンズを装用していたということである。
FDAでは、このボシュロム(Bausch & Lomb )のReNu ブランドの保存液に、注目しているということである。
同様の症例は、今年2月、シンガポールでも報告されていた。
このサイト「Singapore Ministry of Health Press Release 」での、2006年2月21日のシンガポールの健康省発表報告によると、2005年から2006年2月20日現在まで、39例のフザリウム角膜炎の例があり、そのうちの34例は、今回のケースと同じく、ボシュロムのReNuを保存液に使用しており、4例は、ブランド名のわからない保存液を使用していたということである。
日本でも、このボシュロム(Bausch & Lomb)のReNu MutiPlusという保存液は、これ1本でコンタクトレンズの洗浄、 すすぎ、タンパク除去が済んでしまうということで、好評のようなので、もし、この保存液が、フサリウム角膜炎の原因であるとするならば、日本でも、早急な対応が必要ということになる。
なお、ボシュロムのサイトによると、出荷を停止したのは、下記の製品である。
ReNu® with MoistureLoc® (ボシュロムのGreenville, S.C., 製造分)
「Bausch & Lomb ReNu® with MoistureLoc® Multi-Purpose Solution 」
「米国におけるボシュロム社「レニュー モイスチャーロック」
(ReNu with MoistureLoc) の出荷中止について (Q&A)」
2006/04/21 追記 フザリウム角膜炎拡大」問題は、集団訴訟に発展か?
ボシュロムのコンタクト保存液が原因と見られるフザリウム角膜炎感染問題は、これにより、盲目になる恐れのある109人による集団訴訟へと発展することとなった。
この訴訟を手がけるフロリダの弁護士によると、患者一人当たり七万五千ドルの賠償請求を考えているという。
参照「Bausch and Lomb faces lawsuit」
当局では、引き続き、全米における他の例や原因を追求中であるが、まだ、決め手になるものは、ないようだ。
ユーザーには、当該保存液の使用を避けることと、コンタクトレンズの洗浄方式を、「こすり洗い不要方式」(No-Rub Method)ではなく、「こすり洗い不要・リンス方式」(Rub-and-Rinse Method)に変えることを勧めている。
参照「State collecting data on eye infections」
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