2006/02/16(Thu)
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は15日、下院金融サービス委員会に出席し、1日の議長就任後、初の議会証言を行った。
この中で、バーナンキ議長は、経済発展が軌道に載りかけているさなかなので、「もう少しの利上げは、しなくてはならない。」( raise interest rates a bit further)との証言をした。
同時に、高金利によって、経済減速となる可能性と、エネルギー価格の高騰によって、インフレのトリガーとなる可能性との秤量比較が必要だとし、今後の金利の動向については、融通無碍であるとの見解も同時に示した。
また、長短金利のイールドのフラット化については、「それが、経済減速のシグナルであるとは思えない。」として、その懸念を打ち消した。
今年のアメリカ経済の成長見通しについては、3パーセントから3.5パーセントであるとし、特に、住宅市場については、昨年、バーナンキ氏が、「frothy」(泡のよう−バブルっぽい。)との表現を用いての警戒感を一転し、今年は、住宅市場は、減速化するとの見通しを示し、そのことが、結果的には、個人が、自らの資産形成を、住宅のequity(市場価格から担保などを引いた価格)に頼ることが少なくなり、個人の 貯蓄性向が高まることによって、経済に対しては、よい影響を与えるとしている。
それにしても、バーナンキさんは、なんとか、グリーンスパンの長い歴史から、無事引継ぎを終えた感じだ。
2−3日前の読売新聞のコラムで、「なぜ、市場は、グリーンスパンの一挙手一投足に、関心を引き寄せられてしまったのか」、というような意味のことが書かれ、興味が惹かれたが、私から言わせれば、グリーンスパンさんは、市場に対しての、精神医的役割を、巧みに演じてきたといえる。
イギリスの精神科医であるRDレイン(RD Laing)の『結ぼれ』”Knots”は、「相手がこう思うだろうから、私はこう行動するだろうと思うから、相手は、こう行動する。」という、相手の行動と心理を何回もフィードバックするという、屈折した心理と行動を分析したものだが、まさに、グリーンスパンは、警戒と期待を持つ市場の屈折した心理を、利上げという魔法の杖によって、見事に操縦してきたといえる。
今度のバーナンキさんは、なまじ、インフレターゲット論者というレッテルがあるがために、市場心理の操縦には、やや、苦心するのではないかとも、思えたのだが。
今日の議会証言では、何とか、その懸念は、取り払われたようだ。
参考サイト
2006年2月15日の米下院におけるバーナンキ議長の議会証言
「Testimony of Chairman Ben S. Bernanke Semiannual Monetary Policy Report to the Congress」
New Fed chief warns of potential rate rise
番外 R.D.レイン(村上光彦訳)の「結ぼれ」から
以下の文章ですが、この「ほしいもの」を『インフレ』に置き換えてみると、面白いですよ。
でも、この文章、あんまり真剣に読んでしまうと、頭がくらくらしてきますので、ご注意を。
以下引用
わたしの欲しいものときたら、手に入ったためしがない。
手に入ったのは、いつだって、欲しくないものだった。
欲しいものは
私の手には入らないだろう。
だから、それを手に入れるには
わたしは欲しがってはならない。
なにしろ、手に入るのは私の欲しくないものなのだから。
わたしの欲しいものは、手に入れることができない
手に入るものは、欲しくない。
わたしはそれを手に入れることができない
なぜなら、わたしはそれがほしいから。
それは手に入る
なぜなら、わたしはそれが欲しくないから。
わたしは欲しい、手に入れることのできないものが
なぜなら
手に入れることのできないものは欲しいものだから
手に入れることのできるものは、私は欲しくない
なぜなら
手に入れることのできるものは欲しくないものだから
欲しいものはけっして手に入らない
手に入るものはけっして欲しくない
引用終わり
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