2005/08/10
福岡市の老舗菓子メーカー「ひよ子」が販売するひよこ形の菓子に認められた立体商標登録について、同市の製菓会社「二鶴堂」が登録は不当として取り消しを求めた審判で、特許庁は改めてひよ子の立体商標登録を認める審決を行った。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050809-00000186-jij-pol参照
これまで、立体商標権について争われた例は、きわめて少ないが、立体商標権の代表的例としては、ケンタッキーの カーネルサンダースの人形や、牛乳容器のテトラバック、不二家のペコちゃん人形、サトー製薬のサトチャン人形などが、その例であろう。
この立体商標権について、日本では、平成9年4月1日から、商標登録が認められているが、各国の見解は、ばらばらで、国際的な統一見解は無い。
ちなみに、このサイト「REQUEST FOR ACTION BY THE INTA BOARD OF DIRECTORS」http://www.inta.org/policy/res_threeD.htmlによれば、EUでは、EU指令において、明確に立体商標権の有効性を認めているが、「商品の性質そのものにより形成された形」「一定の技術的対価を得るための形」「その商品に対して、本来的な価値を与える形」については、これから排除している。
また、WTOのTRIPSでは、「商品やサービスを差別化しうるいかなる形」をも認めるという方針があり、このことを根拠にして、立体商標権は認められうるとする見解がある。
しかし、国内で、立体商標権を保護しない国国に対しては、この見解は、強要しえないとしている。
さらに、マドリッド合意においては、立体商標権は、検討中としたが、北米自由貿易協定においては、立体商標権は認められ。さらに、アンデス協定においては、限定条件つきで、立体商標権は認められた。
すなわち、その限定条件とは、通常の機能を供与するための形や、機能的・技術的な優位性を確保するための形は、立体商標権の保護対象から除かれるということだ。
カナダでは、特殊性を確保するための形は、立体商標権の対象になるとし、アメリカでは、立体商標権を認める条件として、その商品やサービスの本質として備わる形、その形で、特異性を有しうる形、非機能的な形については、立体商標権として認めるということのようである。
一方、立体商標権は、他の知的財産権とオーバーラップ゛する領域、たとえば、工業デザインの権利や著作権の権利が及ぶ領域については、立体商標権として守るべき必要は無いというのが、一般的見解のようである。
総じて、非機能的、示差性を現す立体商標については、守るべき、とする見解が強いようだ。
最近、アメリカで、立体商標権が争われた判例としては、「Wal-Mart Stores, Inc. 対 Samara Brothers, Inc」のアメリカ最高裁判例がある。
http://www.law.tohoku.ac.jp/~serizawa/WalMart.html参照
これは、Samara Brothers Inc社がデザイン・製造をおこなっている子ども服の写真を元に、Wal-Mart Stores, Inc社が、Judy-Phlippine, Inc.社に生産を委託したことに対して、Samara Brothers Inc社が、「製品のデザインは、登録されていないtrade dressの侵害」として、1946年連邦商標法(Lanham Act)に違反するとして、訴えていたものである。
これに対して、米最高裁は、、「デザインに識別性 があるとして保護されるためには、二次的意味を示さなければならない。」として、「一般にマークは、消費者にとって、その出所を同定するところに意味があり、消費者は、これらのシンボルを、製造者の指標とみなしがちであるのに対して、製品のデザインの場合には、その性質を出所と同視する消費者の傾向は存在しない。また、出所特定的なデザインというものは、ありそうもない。」として、米商標法違反には当たらないとの判決を下してものである。
以上
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