Sasayama’s Weblog


2005/04/29 Friday

親米か?親EUか? ASEANは、ルック・イーストからルック・ウエストへ

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:57:48

 
2005/04/29(Fri)

null 今回の小泉純一郎首相のインド、パキスタン、ルクセンブルク、オランダの4カ国訪問の狙いには、「米国と歩調を合わせて対インド関係を強化することにより、アジア地域における親米国の連携を構築し、12月に開かれる東アジアサミットの参加国を東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の13カ国に限定するよう主張する中国に対抗し、インドの参加につなげたい考え」という狙いもあるようだ。

しかし、当のASEAN(ヴェトナム、タイ、シンガポール、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン)は、このところ、中国の主導により、EUとの連携を急速に深めているようだ。

サイトhttp://www.thanhniennews.com/worlds/?catid=9&newsid=6386は、今週水曜日(4月27日)に、ASEANとEUとが、自由貿易協定(FTA)に関する共同のハイレベルの予備調査を行うことに同意したというニュースだ。

日本では、ほとんど無視されたニュースだが、今後のASEANの方向を示す、いい例だ。

EU貿易委員のPeter Mandelson氏によると、EU-ASEAN間にワーキンググループを立ち上げ、今年末までに、特別報告書を纏め上げる予定であるという。

また、2003年からEUで始まっている「EU-ASEAN地域間貿易イニシアティブ(“TREATI - the Trans-Regional EU-ASEAN Trade Initiative”)」を柱として、ASEANとの情報交換・相互理解・技術援助の強化に、当分の間、集中的に取り組むという。

これをベースにして、究極は、EU圏とASEAN圏とを結合した「ASEAN Economic Community」という巨大結合経済圏を作るあげる構想であるという。

さらに、現在EUのGSPシステム(Generalized System of Preference)の新版を今年の7月までに作成し、これをASEANとの統合に活かしたい考えである。

ASEANとしては、EU諸国が20年前に味わった統合のための苦労と経験を、ASEAN-EU統合に活かしたい考えのようだ。

この経済圏には、非ブロック国である日本・韓国・インド・オーストラリア・ニュージーランド・中国との交渉も含まれるという。

この統合プロセスにおける重点品目11のうち、次の4品目を優先順位において、統合を進めるものとするようだ。

その4品目とは、「農産物」「エレクトロニクス」「海産物」「木工品」である。

「重点品目11」とは、1.農業関連製品 2.航空 3.自動車 5.4.エレクトロニクス 5.水産業 6.健康医療品 7.ゴム関連製品 8.繊維・衣類 10.観光 
11.木工関連製品 である。

現在、EUの貿易に占めるASEAN諸国の比重は、EUへの輸出で15パーセント、EUからの輸入で12パーセントであるが、これをEU-ASEAN統合構想によって、輸出入ともに25パーセントの比重にまで、高めるのだという。

もちろん、統合にいたるまでは、いろいろな障害が考えられる。

たとえば、繊維割り当て制度の廃止と、EUに流れ込んでいる中国の繊維品問題、現在、EUがミャンマーに対して、アウンサン・スーチーさんの拘束をめぐって課している経済制裁解除の問題などがある。

これらの考えられる障害についても、EUは、たとえば、現在EUで行われている域内砂糖業保護制度の改革など、できるところから、実施する予定である。

さらに、ヴェトナムのWTO加盟についての支援も、言明している。

これまで、これらの諸国は、前マレーシア首相のマハティールさんがとなえてきた「ルックイースト(日本に学べ)」政策を採ってきたのであるが、2002年8月28日に、ルック・イースト20周年の記念式典で、マハティールさんが、「ルックイースト-日本に学べ-」政策の見直し発言をして以来、急速な日本離れをしてきている。

今回のASEAN-EU統合構想は、まさに、かねてから『東アジア共同体』構想を強力に主張している中国主導型の構想の延長戦上にある構想といえる。

先日、中国の胡錦濤主席は、アジア・アフリカ・サミットの後、4月25日から26日にかけて、インドネシア(印度尼西亚 )のユドヨノ(苏西洛、略称のシンカタンではSBY)大統領(总统)と会談し、共同声明に署名し、この中で、中国とASEAN(中国語では「东盟」(亚细安)という。)との関係強化について、7つの提案を提示した。

7つの提案とは、次のとおりである。

1.両国の戦略的な交渉を強化し、年内に国家元首の相互訪問を実現。政府ベース・議会ベース・政党ベースなど、各分野での戦略的協力を深めていく。
2.経済・貿易協力発展によって、地理的優位性と、相互補完の優位性を示す。これにより、市場の強化、インフラ設備、天然ガス資源開発、農業、漁業などの分野での協力を強化を実現する。3年以内に、両国間の年間貿易総額200億ドル突破を目指す。
3.セキュリティに関する協力体制強化。防衛安全に関するコンサルテーション機能を確立する。両国軍隊の交流を目指す。テロ防止、薬物禁止など安全面での協力関係を強化し、海上安全に関する対話を強化する。
4.災害防止及び被災地の復興に向けた協力関係を強化する。
特に、インドネシア地震・津波に関する科学技術的協力センターの設立をはかる。
5.中国とインドネシアとの国交55周年を記念して、交流を推進し、両国国民の友好関係を深める。
6.中国−ASEAN(東南アジア諸国連合)の発展と協力関係を推進する。
7.発展途上国の団結を強化。中国は、インドネシアが全世界及び地域内で積極的な役割を果たすことを支持する。中国は、インドネシアが、国連やWTOの場での立場が強化できるように支援する。
参照
「胡锦涛同印尼总统苏西洛进行会谈」http://news.xinhuanet.com/world/2005-04/25/content_2876321.htm

また、胡主席は、これにとどまらず、次の訪問先であるフィリピンにおいても、アロヨ大統領会談、ならびに、フィリピン議会演説で、対ASEAN協力強化を強調した。
参照
「胡锦涛同菲律宾总统阿罗约会谈」
http://politics.people.com.cn/GB/1026/3355184.html

これら、中国のASEAN諸国との外交に共通しているのは、相手国と、いかに「win-win situation」を作り出すかということに、意を用いていることであると思われる。

このような動きからみると、日本を取り巻くアジアの変化にもかかわらず、あいもかわらず対米外交を重視し、対アジア外交をおろそかにしてきた小泉外交の優先順位の誤りの後遺症が、ここにきて、モロに現れている感じだ。

しかし、一方、日本の野党にしても、今回、民主党が出した「EUをしのぐ連合体を構築」との触込みによる「アジア太平洋連合(AU)構想」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050427-00000253-kyodo-pol
なるものは、完全に時代認識を欠いた、出遅れの「六日のあやめ」そのものであるといえる。

より大きな視野の元での、日本のアジア外交の再構築が急がれる。

2005/04/30 追記 「欧州委員会のピーター・マンデルソン委員(通商担当)が4月29日、シンガポールで開かれた東アジア経済サミット(世界経済フォーラム主催」で行ったスピーチの全文」
http://www.weforum.org/site/homepublic.nsf/Content/Special+Address%3A+Peter+Mandelson%2C+Commissioner%2C+Trade%2C+European+Commission%2C+Brussels

タイトル“Tilting the global balance: Asia’s new trade growth”
スピーカー Peter Mandelson(European Trade Commissioner)

場所「the Asia Roundtable 2005」(the WEF Asia Forum )
日付2005年4月29日(於 Singapore )

以下は、概訳である。

null「アジアについての私の見解を、どのように、集約したらいいでしょうか?

一言で言えば、「もし、20世紀のストーリーがアメリカのグローバル・パワーの増大であるとしたら、21世紀のメイン・ストーリーは、アジアの上昇に次ぐ上昇となるであろう。」ということでしょうか?

私は、この数年間、アジアに熱中した一人でありました。

イギリスで、ブレア内閣の一員として、アジアの驚くべき経済発展に深い興味を抱いてきました。

2004年にいたる前には、大いなる好奇心を持って、数回か、アジアを訪問してまいりました。

6ヶ月前に、今のEUの貿易委員となってからは、インドや中国に赴き、そして、つい先日は、ヴェトナムでのASEAN閣僚会議に出席し、タイでは、経営者幹部との会合を持ってまいりました。

そして、ドーハでのASEANの未来について語られた決定的なこととたがわない、ASEANの高まり行く政治的重要性というものの何かが、7月の中国に続いて、12月に、香港で起こる気配を見せております。

ASEAN、中国、インドでの驚くべき経済成長は、紛れもなく、大きな印象を、人々に与えています。

私の友人であるヨーロッパの友に対して、責任を持っていいうることは、「アジアのルネッサンスが、アジアにとって、いいことは確かであるが、同時に、それは、ヨーロッパにとっても、また、世界にとっても、喜ばしいことである。」ということです。

アジアは、ますます、世界の政治の表舞台に立っているように見えます。

それは、ラテンアメリカやアフリカ、中東を含む、世界の主要地域との地域間対話を促進させ、同時に、たとえば、「ASEANプラス3(日中韓)」などによって、南アジアや東アジアとの地域内対話をも促進させています。

このような現状を背景にして、私は、以下3つの点について、お話したいと思います。

第一に、ヨーロッパは、より強く、よりダイナミックな関係を、アジアの国々と、個別にまたは、二国間で結ぶ必要があると同時に、アジアの地域総体とも、同様の関係を結ぶ必要があるということです。

より強い「ユーロ・アジア空間」というものは、それ自体としては、望ましいものとは思われません。

なぜなら、それは、同じ大陸での、両端同士の関係であるからです。

しかし、21世紀の初頭に、このような関係を結ぶことで、EUは、次のことを論証することができます。

すなわち、「更なるヨーロッパ」なる要求にこたえることができるということであり、このことは、私の多くの対話者から、明確な勇気付けを持って、聞かされてきた要求です。

第二に、ヨーロッパ側での、好意的な意思や言葉を超えて、動きうるパートナーシップとして、EU加盟国に対して、恐ろしくも政治的な挑戦を、提示することです。

すなわち、このユーロ・アジア構想は、ヨーロッパに対して、革命的で、開かれた、歓迎すべき経済変動が必要とされるということであり、また、もし、ヨーロッパが、アジアの上昇によってもたらされる世界の経済収支の変化に対して、人々や産業が適合しうるように手を貸さないのなら、ユーロ・アジア構想は、決して実現しないでありましょう。

第三は、われわれが、WTOを通して、多国間協力を通じて、経済体制の規則に従いつつ、新しい経済・貿易機会を作り出していくと同時に、二国間・地域間貿易協定を通じて、経済体制の規則に従いつつ、新しい経済・貿易機会を作り出していくことが、必要になってきます。

私は、この、WTO規則に従うか、それとも、二国間・地域間規則に従うか、どちらか、という二値的考え方には、組みしません。

アジアは、これら、二つのトラック手続きが、同時並行的に、なされうる完璧な例であるといえます。

もちろん、これは、EU-ASEAN以外の国々に対して、アジアが、経済的・戦略的に、インパクトを与えうるものとなります。

そして、私は、ヨーロッパの仲間たちが、このことによって、何が起ころうとしているかについて、目覚め、理解させなければならないものと思っています。

将来において、はるかに大きな危機をもたらしうるものがあるとすれば、それは、アジアの急上昇にあるのではなく、ヨーロッパの反省と恐れにあるのです。

ヨーロッパは、もっと、ヨーロッパの外を見るべきときです。

世界の舞台に立って、共に、大胆な行動をとるべき時です。

それは、10年先において、EUが直面する外部からの挑戦という事態に備えて、最悪な準備をしてしまうことが、なぜ、ヨーロッパにとって、新しい構成条約についての議論を崩壊させることにつながってしまうのかということもつながります。

私は、「アジアの成長率が9パーセントをオーバーすることが、危機的状況を意味する」という、人々の見解には、組しません。

確かに、世界の一部の経済成長力が、競争の新たな火種になるとはいえます。

しかし、それは、新しい経済成長の源泉となりうるものであり、革新への刺激になりうるものであり、同時に、協力の機会創出にもつながりうるものであります。

そして、もし、われわれの生涯において、真の挑戦事項に取り組むことを欲するのであれば、ヨーロッパとアジアは、協力しなければならないのです。

もちろん、アジアにおける急速な経済成長が、水や原材料などの天然資源に対して、過剰の圧力を与えうるものとなります。

もちろん、このことは、大気汚染や、地球温暖化などの環境問題を、増大させます。

もちろん、ヨーロッパもアジアも、差し引きネットでのエネルギー輸入者となりえます。

もちろん、経済発展の過程は、少なくとも、しばらくの間は、社会的不平等を増大させます。

しかし、経済は、西半球においても、同様の問題を共有しているのです。

総合的に、われわれ人類は、すべて、地球に対して、負荷をかけているのです。

そして、われわれは、総合的な解決策を必要としているのです。

また、民族国家が、別々に分かれて行動することでは、容易に解決できないゆえに、両サイドのパートナーと、信頼できる取り決めを行うことによる、総合的な解決策が求められているのです。

EU-ASEANのような地域構築は、総合的な能力を作る重要な一部となりえ、さらに、EU-ASEAN以外の世界の国々との協力関係を作る重要な一部となりえるのです。

すべての不満の解決に対して、地域協力は、EU統合は、よく機能してきました。

半世紀以上にわたって、戦争が考えられないような平和をもたらし、安定と民主主義と、自然秩序を、EUは、もたらしました。

このことで、ファシズムやソビエト共産主義など、極端なイデオロギーの存在を打ち破ってきました。

現在のEUにおける改革へのチャレンジにとって、EU統合は、空前の繁栄をもたらしたし、われわれが現在直面する困難は、ヨーロッパの注目すべき業績を、損なうものではありません。

私のASEANとの議論の過程において、 EU統合モデルがアジアに対して提供しうる多くのものがあることを確信しました。

アジアにおける地域統合を深めうるように、ヨーロッパとアジアとの間のパートナーシップを、共に構築していきたいと思っております。

これを行うためには、われわれは、いくつかのお互いに関する疑念を克服する必要があります。

今日、ヨーロッパにおける支配的な考え方は、防御的なものであります。

われわれがヨーロッパにおいて、アジアについて話し、この地域での驚くべき経済成長について話すとき、ヨーロッパの人々は、チャンスについて考えるというよりは、その脅威について考えるでしょう。

同じように、私は、今週、ASEANとの対話の過程で、西側の保護貿易主義者についてのアジア側からの苦情を聞きました。

ヨーロッパにおいては、中国からの繊維輸出について、敏感であります。

この事実が語っているのは、われわれは、お互い、現実主義者にならなければならないということであります。

すなわち、ヨーロッパであろうと、発展途上国であろうと、それぞれの産業が新らしい状況に適合するために、それを可能にするよう、そして、手助けをするように、そのことによって起こる経済変動について、注意深く、モニターすることが必要であるということであります。

ヨーロッパとアジアとの間における貿易取引のパターンは、この数十年間、劇的に変化してまいりました。

20年前、アジア諸国の中で、日本のみが、EUとの貿易取引トップ10の中で、トップの座を占めていました。

今日では、そのトップ10のうち、4国(中国、日本、韓国、台湾)が、アジア諸国です。

この傾向はこれからも、より強くなってくることでしよう。

10年前、中国は、米国からEUへの輸出額の五分の一以下でした。

今日では、四分の三になっています。

1990年からEUは、ASEAN諸国、韓国、南アジア(バングラディッシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカを含む)からの輸入額は、年率10パーセントの伸びを示してきました。

同時に、EUからこれらの国々への輸出も、年7パーセントの増加を示してきました。。

同じく、アジア域内貿易も、目覚しい変化を見せてまいりました。

すなわち、中国とロシアとの貿易は、10年足らずで、4倍になりました。

中国と日本、韓国は、同じ期間で、三倍になりました。

ASEAN内取引額は、二倍となり、ASEANとインドとの取引額は、3倍になりました。

これは、ハラハラさせるような規模での経済革命です。

世界は、19世紀終りの何十年間での、アメリカの市場開放やドイツの工業化以来、このようなことを目にしたことはありませんでした。

必然的に、このことは、ヨーロッパや他の地域における生産資源の再編成と再配分について、痛みを引きおこしかねないものでしょう。

われわれは、いかに問題が残っていても、歩みを止めてはなりません。

世界のグローバル・サプライ・チェーンに関していえば、ビジネスは、次のように考えています。

すなわち、アウトソースと非局在化は、経済の世界では、日常茶飯事に行われているとの認識です。

しかし、ヨーロッパとしては、次の諸点について、もっと自信を持つ必要があるでしよう。

すなわち、変化を管理し、競争力を維持するための可能性と能力についてです。

EUは、世界の財貨・サービスの輸出業者として、先導的な立場にあり、且つ又、先導的な海外投資家でもあります。

これは、時々EUについて、言われることと、相反することなのですが、EUの輸出実績は、強含みで推移しています。

これは、主に、EUが、比較的高価な商品や高品質のブランド物商品について、販売能力を持っているためと見られます。

今日、これらの商品は、ヨーロッパの輸出の半分を占めております。

しかし、そのうち、輸入需要者からの需要は、その三分の一に過ぎません。

最上級品のマーケットでの競争については、ヨーロッパは、アメリカよりも、成功するでしょう。

消費者のヨーロッパ製品への信用が増すにつれ、売り上げものびていきます。

ヨーロッパがターゲットとする市場は、拡大するでしょう。

それらの取引が、より多く、ユーロで行われるようになるにつれ、ヨーロッパ共通通貨政策は、成功を見るでしょう。

高価なヨーロッパの最高級製品を生産し販売することは、技術進歩の問題ではありません。

製品の品質、トレードマークー評判-、製品販売に関するサービスの提供、それらは、すべて、成功への決定的な要素です。

アジアの台頭は、現在も将来も、ますます、ヨーロッパにとって、選択しうる重要な貿易相手国となりえます。

すでに、何百万世帯者富裕階層が、中国やインドに、出現していますし、このことは、EUのビジネスにとって、巨大な将来の可能性を提供しております。

そのようなわけで、他の理由により、新しいアジアは、決して脅威となるものではなく、むしろ歓迎すべきものなのです。

ヨーロッパにとって大いなる心配をすべきなのは、このことよりも、むしろ、新しいアジアにおいて、われわれの市場占有率を維持し、増加していく課題にあるといえます。

ここには、法的な心配があります。

すなわち、問題を引き起こすのは、ヨーロッパの競争にあるのではなく、知的財産権保護のための貿易政策にあるのです。

すなわち、公的調達の開始であり、名目上の約束ではない、本物の意味でのヨーロッパのサービス業のための市場参入の開始であり、場合によっては、強硬な工業製品関税徴収の開始でもあります。

イノベーションは、依然として、ヨーロッパにとって、アジア現象に応えることができる重要なかぎであります。

今緊急に必要なことは、「ヨーロッパの技術指導力が、力を回復するための行動」をとることが、決定的に重要なことであると考えます。

このことについては、EU委員会のJose Manuel Barroso氏が、自らのテーマとして、「成長と仕事」を掲げ、知的経済への投資の増加を呼びかけたことに現れています。

われわれは、人々を、変化に備えさせ、政府や企業を競争改良のパートナーシップに携わらせるための、経済改革を推進していく必要があります。

国際貿易体系に対するアジアのインパクトに関して言えば、この地域には、ASEAN、中国、韓国、日本、インドの間における地域的自由貿易協定の交渉の継続を続けながら、地域間の連携を強めていくための、更なる行動があります。

さらに、アメリカは、二国間自由貿易協定によって、この地域に経済的な影響を与えつつあります。

明らかに危険なことは、これらの地域の努力が、多角貿易と、そこから生み出される利益を損なうことであります。

そのようなわけで、EUとしては、その最優先課題として、ドーハ・ラウンドにもとづき、進行中の多国間貿易交渉の結果が、成功し、かつ、壮大なものになることに、重点をおいています。

それにもかかわらず、過去の結果は、多国間の貿易交渉も二国間の貿易交渉も、決して、相互排除的なものとはならず、相互補完的なものになりうるということです。

EUにおいてこれまで行われた地域構築の教訓からいえることは、地域統合は、真に深く広範に行われる必要があるということです。

それは、歪曲したものであってならず、WTO規則に従ったものであるということです。

もし、誰もが、長期の目で見て、地域自由貿易協定から得るものがあるとすれば、相互の合意が、料理にたとえれば、単品料理の手はずであったスパゲッティが、毛糸の球状のように絡み合った状態になることだけは、避けなければならないということでしょう。

私は、以下のことを確信します。

すなわち、WTOラウンドのもとでの、よき多角的結果が、すべての貿易諸国に対して、特に、発展途上国に対して、最大の利得を与えるであろうということであります。

それは、さらに、南南貿易(途上国間貿易)の可能性に道を開き、発展途上国が、それぞれの持つニーズと状況を、スピードを持って、世界の貿易システムに合わせることができるように、発展的統合に向かっての重要な第一歩となりえます。

この目的こそ、ドーハ・アジェンダ(DDA)の中心課題であります。

今週、私が、ASEANと行った討論においては、今年の12月に香港で開かれるWTO閣僚会議での、EUとしての親密な協力について、更なる深化の余地があると考えました。

私は、そのための第一歩を踏み出すために、ASEANのメンバー閣僚であるリム大臣・金大臣も出席されている、今日のこのパネルに期待するところが多いのです。

しかし、148のメンバーがそれぞれの投票権を持ち、それが全会一致で決まる組織における多面的な意思決定というものは、時には、いらだたしく、あまりにも遅く感じられるものであります。

また、多角的アジェンダというものは、共に解決に努力する分野でのすべての貿易分野や経済協力分野をカバーできないのです。

特に、このことは、政府調達部門における、投資と透明性については、顕著であります。

したがって、われわれは、市場参入アクセスや規則の双方について、アジアのパートナーを含めて、地域の、または、二国間の貿易交渉を通じて、それらの話題を付け加えていく機会を排除してはならないものと思われます。

そのようなわけで、私は、ケース・バイ・ケースのベースで、地域での二国間貿易協定の可能性について、それが、ドーハ・ラウンドにもとづいての多角的な努力を損なわないという限りにおいては、評価するにやぶさかでないと考えております。

その精神をもって、私は、ASEANの皆様と、正式な伝達手段への侵害なしに、われわれのEU-ASEAN貿易合意を、その合意事項の実現性を検証する「ビジョン・グループ」を政治的なレベルで立ち上げることによって、前進させることで、合意しました。

私の思いますに、われわれは、向こう数年のうちに、ヨーロッパとアジアとの間の経済上のパートナーシップを深めようとしています。

そのようにすることによって、われわれは、EURO-ASEAN空間が、単なる二つの大陸の合計以上のものになることを確信しております。

ヨーロッパ貿易委員としての私の権限の流れから言って、これは、優先順位の高いものとなるでしょう。

私は、明らかにすべき青写真は、ありません。

そして、私は、今のところは、統合の形やモデルについての、正確な最終荷姿について、固定的な見解を持っていません。

しかし、更なる考えの時がいたれば、私は、それを明らかにすることを期待したいと思います。

以上」

「MANDELSON URGES EUROPE TO LOOK AT A RISING ASIA AS AN OPPORTUNITY, NOT A THREAT」
http://www.harolddoan.com/modules.php?name=News&file=article&sid=2388

参考
「Economic relations between the EU and Asia take the form of bilateral trade ties, region-to-region partnerships, and multilateral co-operation within the framework of the WTO.」
http://europa.eu.int/comm/trade/issues/bilateral/regions/asem/index_en.htm
「China, ASEAN to further strategic partnership」
http://english.people.com.cn/200504/30/eng20050430_183301.html
「China-Indonesia cooperation」
http://rsi.com.sg/english/indonesiamediawatch/view/20050429172929/1/.html

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

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