Sasayama’s Weblog


2005/04/27 Wednesday

食品安全委員会に対して提出したパブリックコメントの内容

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:57:36

 
2005/04/27

null本日、食品安全委員会に対して「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価(案)に関する審議結果(案)についての意見」として、以下のような意見を提出しました。
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                    記

下記の点について、私の意見を述べます。

1.何を要因にして、「食品健康影響評価 」についての諮問がなされたのか?

今回の諮問(厚生労働省発食安第1015001号)がなされた政治・外交・国際経済的状況の中に2004年10月25日の「米国産牛肉の日米高級事務レベル会合合意」があることは、明らかである。

この合意においては、「アメリカは、暫定期間 暫定貿易プログラムのための一定の貿易再開を可能とするためのマーケティング・プログラムを確立する。USDAのAMS(Agricultural Marketing Service )によるBEVプログラム(牛肉輸出証明制度)運営上の詳細については、日米両国の専門家により、さらに煮詰められるであろう。」とされた。
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20041023-61.html 参照

この合意の諸条件をクリヤーするために、今回の諮問がなされたものとの前提で、食品安全委員会は、答申をすべきものである。

食品安全委員会の任務・所掌事務として、「1.リスク評価 2.モニタリング 3.リスクコミュニケーション 」のみを所掌事務とし、「リスク管理は行わない。」としながらも、 今回、このような形で、「リスク管理の受忍限度を設定する。」という役割を求められているのが、今回の諮問に対する食品安全委員会の立場と解釈する。

2. 「飼料規制の実効性確保の強化」は、内外無差別と考える。

今回の諮問のなかで、「掘〇料規制の実効性確保の強化について」については、もともと、この1996年の反すう動物の組織を用いた肉骨粉などを反すう動物用飼料に使用することを禁止する通達(平成8年4月16日農林水産省畜産局流通飼料課長通達「反すう動物の組織を用いた飼料原料の取扱いについて」) が出されたのは、同年4月2日及び3日に開催された世界保健機関(WHO)における伝染性海綿状脳症の公衆衛生問題に関する専門家会合において、すべての国は反すう動物の飼料への反すう動物の組織の使用を禁止すべきである旨を勧告とすることが決定されたことを受けてのものであり、食品安全委員会としての、この 「飼料規制の実効性確保の強化」についての検証は、内外無差別のスタンスから行われるべきである。

すなわち、今後、行われるであろう、アメリカ牛肉を中心とするBSE汚染国からの輸入牛肉の安全性の検証においても、同様のスタンスで行われるべきものである。

3.「リスク管理の受忍限度」のフレームワークに、食品安全委員会は、どのようなスタンスで持って、関与すべきなのか?

今回の食品安全委員会の議論の過程の中で、感染価について、cattle oral ID50(CoID)の概念とhuman oral ID50(HoID50)との概念とを、混同した議論が一部見られていたように思われる。

SSCの見解によれば、「BSE因子に対する人への曝露量は、それが消費者に届くまでの源や感染ルートに依存する。人間との関係での曝露量如何による反応度については、まだ、分かっていないので、cattle oral ID50 の概念で測定したBSEの定量消費の概念で、曝露量のレベルをあらわすように、提示してある。しかし、SSCとしては、cattle oral ID50(CoID)を、単なるひとつの指標として、ここでは使っているということ、そして、いまだ分かっていないhuman oral ID50(HoID50)の概念と混用して使われるべきではないということを、強調しておきたい。」と、している。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/dl/s0417-4c.pdf 参照

つまり、食品安全委員会としては、国内の牛肉の安全指標としては、cattle oral ID50 の概念での安全性を検証しなければならないのに対して、輸入牛肉の安全指標としては、human oral ID50 の概念での安全性を検証しなければならないことになる。

しかし、human oral ID50 での安全性の検証が不可能な現状では、輸入牛肉の生産国での cattle oral ID50 の概念での安全性を検証するほかは、すべがないことになる。

4.「BSE汚染国」からの輸入牛肉の飼料管理についての危惧

日本の食品安全委員会が、輸入牛肉の安全性を検証する場合、human oral ID50 での安全性の検証が不可能であり、輸入牛肉の生産国での cattle oral ID50 の概念での安全性を検証するほかはないとなれば、その検証対象は、輸出国におけるSRM除去管理についての検証とともに、輸出国において、飼料規制の実効性があがっているかどうかの検証も、国内についての検証同様に、しなければならないものと思われる。

特に、アメリカからの輸入牛肉については、カナダ・アメリカ一体、あるいは、NAFTA加盟国一体となった安全性の検証がもとめられている。

とくに、このほど、「BSE戦略の統一化に関する、北米首席獣医担当官(CVO)による報告書」において、北米三国(カナダ・メキシコ・アメリカ)の統一BSE対策が決定されたが、これについての安全性の検証が、必要となる。
http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/bse/04-01-05na_bse_harmonization.pdf 参照

3月7日のアメリカ・カナダの生体牛輸入再開について差し止め命令を出した、米連邦地裁判事Richard F. Cebull 氏は、カナダにおける飼料管理の危険性について、次の点を挙げている。

a.もし、カナダが、BSEが発見された2002年以前のように、一年間にアメリカに百七十万頭の牛を出荷したなら、BSEに感染したカナダの牛が、アメリカに輸入されるであろうということは、仮想的には、確実なことであるということは、検査で示されている。

b.これらの事実は、アメリカの人々の健康と福祉を護るという法定の負託を無視しているUSDAが、カナダからの生体牛の輸入のために国境を再開するという最終ゴールを設定し、それ以降に、このゴールを補強し、正当化しようとしたということを、強く示している。

c.この証拠は、次のことによって、示されている。すなわち、カナダが、カナダでのBSE感染率を正確に評価しうるための十分なBSE検査を行わなかったということによって示されている。

一年半の間に、アルバータ州で、BSEに罹患した4頭の牛が発見されたが、このことは、「カナダでは、BSE発生率が、非常に少ないか、最小である。」とするUSDAの主張とは、一致しない。

d.「カナダの飼料禁止措置が、有効であり、更なるBSE発生のリスクは、重要でないとされるに十分、長い期間実施されてきた。」とのUSDAの主張は、事実と食い違っており、それゆえ、恣意的であり、気まぐれである。

e.カナダ牛由来の、または、カナダから輸入されてきた、食べられる牛の製品について、消費者がこれらの製品を買わないよう選択できるように、ラベルを貼るとの要求を、零細企業が、かなえることによって、ファイナル・ルールの反対効果を緩和できるようには、USDAは、考えていない。

以上が米連邦地裁判事Richard F. Cebull 氏の見解であるが、氏は特に、カナダでの飼料管理の不徹底さが、アメリカ牛肉の危険性にまで及んでいること、「原産国表示制度(COOL)」がいまだ実施されていない段階での汚染国からの牛肉製品の輸入は早急であること、 を指摘している。
http://www.faithlivestock.com/r-calfworks2.htm 参照

本来は、アメリカの思惑としては、
1.「Final Rule」の適用によって、「最小リスク規則(the minimal-risk rule)」ならびに「最小リスク地域(minimal-risk regions)」の概念を、手始めにカナダに適用し、
2.カナダからの生体牛輸入によって、この概念を認知させ、
3.それでもって、今度は、アメリカ自体が、OIEのガイドラインに準じて、「最小リスク規則(the minimal-risk rule)」ならびに「最小リスク地域(minimal-risk regions)」の対象地域とみなされ、
4.その上で、日本からの牛肉貿易再開が可能となり、
5.そして、その上で、OIE総会において、この「最小リスク規則 (the minimal-risk rule)」ならびに「最小リスク地域(minimal-risk regions)」の概念を、世界標準として認知させ、米国を「暫定清浄国」扱いで認知させるルール作りをし、
6.その上で、今年の7月に、日本との科学的協議によってBEVプログラムの再検討を行い、これによって、カットオフ月齢を昨年10月合意の月齢20ヶ月未満というのを、月齢30ヶ月未満に交代させるという思惑を持っていたはずである。

それが、カナダとの国境再開が頓挫したために、このドミノ的展開が不可能の状態にあるというのが、今の現状である。

アメリカがカナダとの牛肉輸入再開に至らない段階で、日本がアメリカとの牛肉再開についての条件づくりを、食品安全委員会をまきこんで、していることは、 まさに、「カナダ→アメリカ→日本」への牛肉汚染ドミノのスキームにおいて、「予期に反して、カナダとの輸入再開ストップで、倒れないドミノを、末端の日本のほうで、途中抜きで、倒してあげている。」構図とも、見られる。

これを「安全性無視のドミノ」ととらえれば、日本の食品安全委員会が、その途中抜きの「安全無視ドミノ」に、意に反して加担させられているという構図は、まことに由々しき事態であるといえる。

5.OIE基準と国内基準・自由貿易域内共通基準との乖離について

SPS協定のもとにおいては、OIE基準と国内基準・自由貿易域内共通基準との乖離が、貿易紛争の元となっている。

すなわち、輸入国側としては、 「危険性の評価を行うに当たり、入手可能な科学的証拠」が輸出国から提出されていない場合には、SPS協定「第五条 7」にもとずいて「暫定的に衛生植物検疫措置を採用」することができるのに対して、輸出国側としては、「危険性の評価を行うに当たり、入手可能な科学的証拠」があると、輸出国が主張している場合には、SPS協定「第二条 2」にもとずいて「衛生植物検疫措置を、(中略) 十分な科学的証拠なしに維持しないことを確保する。」ことに違反していると 主張することができる。

すなわち、国内基準をOIE基準より、どの程度、厳しくするかどうかは、すべて、輸出国と輸入国との利害にかかわることになる。

今回、食品安全委員会が、これまでの「全頭検査」という、厳しい国内基準を緩和することは、すなわち、今後2004年10月25日の「米国産牛肉の日米高級事務レベル会合合意」に基づき、アメリカ牛肉マーケティング・プログラムが確立されるであろう場合において、輸出国が本来提出すべき「全頭検査を前提として用意されるべき国内基準とOIE基準との間の差についての科学的根拠」が、「少ない乖離の科学的証拠の提出」で済ませられるように、事前にお膳立てしているようなものである。

「厳しい全頭検査を前提としての国内基準と、ベーシックなOIE基準との乖離」を前提として、SPS協定に照らし合わせて、「その乖離に科学的証拠があるかどうかについての検証」をすることが、まづ、行われるべきものと思われる。

以上

参考
cattle oral ID50とhuman oral ID50についての参考サイト

「Overview of Risks from BSE via Environmental Pathways 」
http://www.mad-cow.org/~tom/burning_study.html
「Risk of oral infection with bovine spongiform encephalopathy agent in primates」
http://www.vegsource.com/talk/madcow/messages/93984.html
「Q and A on the Harvard Center for Risk Analysis study of BSE.」
http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/bse/risk_assessment/publicqa.pdf
「EVALUATION OF THE POTENTIAL FOR BOVINE SPONGIFORM ENCEPHALOPATHY IN THE
UNITED STATES」
http://archives.foodsafetynetwork.ca/fsnet/2001/12-2001/fsnet_december_2.htm#EVALUATION%20OF%20THE%20POTENTIAL
「Opinion of the SSC on the Human Exposure Risk (HER) via food
with respect to BSE」
http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out67_en.pdf
「ORAL EXPOSURE OF HUMANS TO THE BSE AGENT:
INFECTIVE DOSE AND SPECIES BARRIER」
http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out71_en.pdf
「Assessing Exposure to BSE Infectivity:
the impact of the over thirty month rule in the UK」
http://www.jifsan.umd.edu/presentations/csljifsan2003/philip_comer_2003.pdf
「Water supplies at risk from BSE?」
http://www.waterquality.crc.org.au/hsarch/HS10c.htm
「Total Cattle ID50’s Potentially
Available for Human consumption During the 20-Year Period 」
http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/bse/risk_assessment/figures.pdf
「Dose Experiments-Dose Experiments」
http://www1.umn.edu/eoh/hazards/hazardssite/prions/priondose.html
その他の文献については、こちらをご参照

为中国翻译, 用途这⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

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