2005/04/21(Thu)
今年3月1日に、私のブログで「世界に戦慄と波紋を呼ぶ日本の鉄鋼大手の鉄鉱石7割値上げ合意」http://www.sasayama.or.jp/wordpress/index.php?p=235 というような、やや、ショッキングな題で、鉄鉱石価格の大幅値上げの今後の鉄鋼・鋼材価格に与える展望をかいたが、おかげさまで、各方面にわたっての、高いアクセスをいただいた。
その後の鉄鋼・鋼材価格推移を見てみると、物によっては、横ばいのものもあるが、総じて、鋼材価格は、値上がりしているようである。
特に冷延鋼板、黒ガス管、炭素鋼、電気亜鉛めっき鋼板、鉄スクラップなどの値上がり率が激しい。
http://www.kouzai.com/7_souba/7_index.htmlご参照
このサイト
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=97030&lindID=4
の「普通鋼鋼材在庫速報」での、2月末現在での在庫率を見ると、その後の値上がり率は、この時点での在庫率に当然ながら、反比例しているようだ。
さらに、ここにきて、新たに、中国の鉄鋼生産に心配が出てきた。
ひとつは、反日デモの影響、もうひとつは、中国の鉄鋼生産調整の動きだ。
反日デモの影響については、影響は、今のところないとしながらも、まったくないとはいえないとの意見が多いようだ。
中国の今後の鉄鋼需給の見通しとして、サイトhttp://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/elec/368803では、中国鉄鋼工業協会が、2005年の鋼材消費量増加率は低下するとの予測をしている。
そして、今日になって、ロイター電
http://www.reuters.co.jp/newsArticle.jhtml?type=businessNews&storyID=8245341
が伝えるところによると、中国国務院が、鉄鋼産業の発展計画を承認し、そのなかで、業界の健全な発展を促すため、企業が生産する鉄鋼製品の種類を調整し、生産過程で非常に多くのエネルギーや原材料を消費し、重大な環境汚染をもたらす一部製品の製造・輸出を制限する方針を示したとの報道をしている。
この輸出制限される「鉄鋼製品の種類」が何かについては、この記事ではよくわからない。
しかし、このChina Economic Netの記事「Why China’s steel price keeps climbing?」(なぜ、中国の鉄鋼価格は上がり続けるのか?)
http://metalsplace.com/metalsnews/?a=1159では、近時の中国での鉄鋼事情を、つぎの三つの要因を挙げて説明している。
第一は、もちろん、鉄鉱石の値上がりである。
第二は、鉄鋼の国際価格の上昇によって、これまであった、中国の国内価格と輸出価格との間の価格差が、近時、国内価格の高騰により縮まってきたので、この内外価格差を取り戻すために輸出制限をするものとされる。
第三は、先月末に発表された一部のローエンド(低価格)の鉄鋼製品に対する輸出税払い戻しの撤廃の影響が、他の輸出鉄鋼製品にまで及ぶのではないかとの憶測である。
すなわち、先月末、中国国務院が、4月1日から一部のローエンド(低価格)の鉄鋼製品(スチール・ビレットと、スチール・インゴット)に対する輸出税還付措置(鋼片について現在13%)を撤廃し、他の製品に対する払い戻し率も引き下げる方針(建築用条鋼と鋼板について、5月1日より、現在の13%から11%に引き下げる計画)であることを明らかにした事による影響である。
このは輸出税還付措置は、いったん払った輸出税のキックバックとも言うべきもので、経済効果としては、実質、元の切り下げ効果があり、輸出業者にとっては、輸出しやすい効果を持っていた。
これが廃止されることによって、輸出価格の見直しが進行することになる。
(注–日本の消費税に当たる中国の増値税は、通常17%で、売上から仕入を引いた額に対して課税され、最終的には消費者が負担するが、輸出については、ゼロ税率が適用されるため、輸出者は、いったん増値税を納めるが、後に、返還してもらえるため、輸出者の増値税負担は、これまでは、実質、ゼロになっていた。
今回、これを製品ごとに、撤廃、または、還付率を引き下げる措置に出たことで、実質、輸出税の引き上げとなり、輸出者の税負担が増えることにより、輸出価格の上昇や、輸出量の減少、人民元切り上げ圧力の減少などという現象を生むことになる。)
以上の要因のほかに、鉄鉱石の輸入についてのライセンス・システムの導入もあげられる。
http://en.ce.cn/Insight/200504/20/t20050420_3653459.shtml参照
これら中国の鉄鋼製品の輸出政策の見直しが、日本国内の鉄鋼価格高騰に、さらに拍車をかけることも、予想されてきた。
海外鉄鋼産業状況については、「Metal Place」http://metalsplace.com/ご参照
向中国语的翻译,使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/