Sasayama’s Weblog


2005/03/01 Tuesday

世界に戦慄と波紋を呼ぶ日本の鉄鋼大手の鉄鉱石7割値上げ合意

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:45:01

2005/03/01(Tue) (関連記事「さらに、気がかりになってきた、鉄鋼・鋼材価格の推移 」(2005/04/21記)もご参照ください。)

null2月22日に、日本の鉄鋼大手が、ブラジルのリオドゼとの、2005年度の鉄鉱石価格交渉で、前年比7割増で決着したことが、世界の鉄鋼関係者の間に、恐怖に近い戦慄を振りまいている。

以下のBBCの記事
http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/4303915.stm
では、MEPSのPeter Fish氏が、そのへんの事情をリアルに伝えている。

Peter Fish氏によれば、今の鉄鋼価格は、この50年以来なかった高値状況にあるという。

今回の日本の鉄鋼メーカー新日鉄が、ブラジルの鉄鉱石メーカー大手二社の Companhia Vale do Rio Doce (CVRD)と、 the Anglo Australian firm Rio Tintoとの間で妥結した値上げ率は、71.5パーセントであった。

また、韓国の鉄鋼メーカーPoscoや、台湾のChina Steel Corpも、オーストラリアのBlue Scope Steelも、中国のBaosteelも、CVRDと、同じく 71.5パーセントで妥結した。

この71.5パーセントという数字は、近代にもない値上げ率であり、昨年の平均値上げ率は、19パーセントであり、一昨年の値上げ率は、9パーセントであった。

ヨーロッパと、アメリカの鉄鋼メーカーと、鉄鉱石メーカーとの価格交渉はこれからのようであるが、Peter Fish氏の見通しでは、この日本の作った価格水準が基準になるであろうとし、せいぜい、下がっても、幅5パーセント以下の小幅なものとなるであろうとしている。

なぜ鉄鉱石メーカーは、これほどまでに、強気な価格交渉をしているのかについて、Peter Fish氏は、「それは、簡単な理由で、鉄鉱石メーカーは、過去二年間にわたる三分の二以上の鉄鋼価格の上昇分のパイの分け前を狙っているに過ぎない。」としている。

また、Peter Fish氏は、これほどの鉄鉱石の値上がり分を、鉄鋼メーカーが吸収しうるかとの点については、「ドミノ現象による鉄鋼ユーザーへの価格転嫁によって、容易に吸収しうる。」としている。

鉄鉱石メーカー側は、これまで、鉄鋼価格が最高度に値上がりするのを横目に見ていて、これまで、値上げの機会を逸していたのだともいう。

鉄鋼価格の値上がりは、スクラップ鉄や石炭・コークスの値上がり、輸送費の高騰などの副次的な理由はあるにせよ、ひとえに、主因は、中国経済のバブル現象によるものとする。

日本の鉄鋼メーカーがブラジルの鉄鉱石メーカーと71.5パーセントもの値上げを決めるまでは、Peter Fish氏は、鉄鋼価格のピークを、せいぜい、今年の夏までと見ていたという。

しかし、今回の日本の鉄鋼メーカーの値決めで、鉄鋼価格の上昇は、今年2005年いっぱいは続くのではないかと、見方を修正したという。

なぜなら、鉄鉱石価格は、前年までの鉄鋼価格に連動する傾向があり、翌年の鉄鋼価格見通しに連動することはないからだという。

Peter Fish氏のいうに、「このことが何を意味するかといえば、鉄鉱石メーカーは、常に追いつけ競争をしているのであり、いかなる不景気のときでも、利益の一定のシェアは確保できることを意味する。」といっている。

nullアナリストの見るに、鉄鉱石価格の値上がりは、鉄鋼最終価格に10パーセントの上乗せをもたらすが、この値上がり分は、ユーザーに価格上昇分受け入れの余裕があるとないとにかかわらず、ドミノ的に転嫁されると見ている。

ただ、これが、直ちに自動車の価格上昇につながるかといえば、そうではなく、翌年度の価格は、すでに決まっているという。

では、この鉄鋼価格上昇がどこまで続くかということなのだが、結局は、中国の過熱経済成長が一段落するまでは、続くものと見なければならないという。

なお、上記の環境変化を受け、日本国内においても、鉄鋼大手と自動車・造船など主要ユーザーとの鋼材価格の値上げ交渉が本格化している。

鉄鋼側は、あらゆる面でのコストダウンによる鉄鉱石価格アップ分の吸収をはかるとしながらも、業界全体の平成十七年度の原料調達コスト増負担額を、この鉄鉱石値上げ分に加え、昨年末に決着した原料炭(還元剤)の大幅値上げ分(今年度対比二・二倍)や、原油高による船賃上昇分などをも含めると、「1兆円程度」と試算しており、4月出荷分から価格に転嫁したい考えとのことである。

また、日本独自の事情として、もともと、国内価格が、国際価格と比較し10,000円程度低いこと、店売りと(主要需要家向けの)ひも付きとの価格差(10,000から20,000程度)があること、などの、特殊事情がある。

一部では、すでに、4、5月に減産し、値上げへの体制をととのえるところもあるようだ。

これによる国内ユーザーへ転嫁される鋼材価格アップ分は、普通鋼材−H形鋼、厚・中板、熱延・冷延薄板など−については、トン当たり7,000円から10,000円、特殊鋼材-ステンレス鋼板、高張力鋼など、-については、トン当たり15,000円から20,000円程度 に上るものと見られている。

参考 1.
「鉄鋼新聞相場表」http://www.kouzai.com/7_souba/7_index.html による近年の鉄鋼材価格推移
(東京での高値)(単位:円/トン)

鋼材 種類2001/01・2002/01・2003/01・2004/01・2005/01
条鋼(建材)製品      
異形棒鋼 ・・・・・28,000・・・27,000・・・ 35,000・・・42,000・・・62,000
(SD295 16-25ミリ 直送)
H形鋼 ・・・・・・・37,000・・・ 37,000・・・39,000・・・51,000・・・77,000
(5.5 / 8 X 200 X 100)

鋼板
熱延鋼板 ・・・・44,000・・・ 41,000・・・ 46,000・・・51,000・・・80,000
(1.6ミリ,3X6)
冷延鋼板 ・・・ 52,000・・・44,000・・・ 54,000・・・65,000・・・92,000
(1.0ミリ,3X6)
厚板 ・・・・・・・44,000・・・ 39,000・・・42,000・・・49,000・・・88,000
(12ミリ,5X10)

鋼管
黒ガス管 ・・・・75,000・・・74,000・・・ 74,000・・・76,000・・102,000
(高炉品,50A)

特殊鋼
冷延ステンレス鋼板250,000・220,000・230,000・250,000・320,000
(SUS304,18-8,2〜3ミリ)
機械構造用炭素鋼・74,000・・70,000・・ 71,000・・71,000・・82,000
(SC材,40ミリ)

2,3次製品
溶融亜鉛めっき鋼板121,000・115,000・ 118,000・ 122,000・137,000
(亜鉛鉄板)
(0.27ミリ X 3 X 6)
電気亜鉛めっき鋼板・ 70,000・61,000・ 66,000・80,000・104,000
(冷延下地)
(1.0ミリ X 3 X 6)
丸釘 ・・・・・・・・75,000・・・ 69,000・・・ 72,000・・・76,000・・・98,000
(100ミリ)

鉄スクラップ・・・3,500・・・3,200・・・ ・ 7,500・・・・12,000・・・・13,000
H2
(特級)

参考 2.過去四年間での値上がり指数(2001/01を100とした2005/01の価格指数)

異形棒鋼 221  H形鋼 208  熱延鋼板 181 冷延鋼板 176 厚板 200  黒ガス管 136 冷延ステンレス鋼板 128  機械構造用炭素鋼 110 溶融亜鉛めっき鋼板 113  電気亜鉛めっき鋼板 148 丸釘 130  鉄スクラップ 371   

参考.3. 2001年を100とした世界の鉄鉱石・コークス・スクラップ鉄の価格指数(UK SteelのRaw material prices.)

下記サイトにあります。

鉄鉱石 124(2001年を100として2004年の価格指数)( CVRD Carajas fines(FOB価格))

コークス 654(2001年を100として2004年の価格指数)( 中国の輸出用コークス(12/12.5% ash cokeでFOB価格)

スクラップ鉄
 299(2001年を100として2004年の価格指数)( OA heavy steelのイギリス向け消費者価格)

http://www.uksteel.org.uk/stats3.htm

参考 4.パワーポイントによる「世界の鉄鉱石市場」(英語)

http://www.aztecresources.com.au/get/2384700704/0

参考 5.日本銀行横浜支店の「神奈川県内企業における鋼材需給逼迫の影響」

http://www3.boj.or.jp/yokohama/kouhyou/shiryou/w050203.pdf

海外鉄鋼産業状況については、「Metal Place」http://metalsplace.com/ご参照

以上

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