Sasayama’s Weblog


2005/02/12 Saturday

「コメント・スクラム」か、「ブログ・スクラム」か?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:41:35

  
2005/02/12(Sat)

null http://www.reuters.com/newsArticle.
jhtml?type=industryNews&storyID=7609041

によれば、CNNのイーソン・ジョーダン氏(Eason Jordan )が、スイスのダボスで先月27日開かれた世界経済フォーラムの討論会の席上で「イラクでのジャーナリストの死亡者の中には、米軍のターゲットにされて死んだものもある。」との趣旨の発言をしたとのことで、これに抗議する「easongate.com」http://www.easongate.com/
という名のブログが、他のブログとスクラムを組んで、氏に対する抗議キャンペーンを繰り広げた。
(スクラムを組んだ他のブログとしては、Captain’s QuartersMichelle Malkin, Charles Johnson などがある。http://www.slowplay.com/archives/2005/02/12/bloggers-take-down-top-cnn-exec-eason-jordan.php参照)

ジョーダン氏は、「発言の意味するところは、ジャーナリストが、危険な場所で、危険な時間にいるので、爆発が起こった場合に、米軍が、彼らを敵とおもって、誤射撃をしてしまうことによって、死者が増えている。との意味で発言したのだ。」と弁解したのだが、これが、かえって、ブログでの論争に火をつけてしまったようだ。

結果、ジョーダン氏は、1982年にアシスタントから出発し、23年間かけて、最高位にまで上り詰めたCNNを去ることになった。

恐るべし、ブログの力。である。

一方、日本では、近頃、マスコミの記者さんたちが、ブログを始める方が増えたようで、「記者ブログ」ということで、話題になっているようである。

しかし、その功罪を問う声も増えてきている。

「記者ブログはなぜ潰されやすいのか」との論評http://blog.goo.ne.jp/wakainkyo/e/3413a8456386744c636e4434ee53527d
では、記者がマスコミの作法そのままに、ブログの社会でも、粗野に対応するがために、ブログの社会での反感を買い、結果、「祭り」にあげられ、撃沈しているのではないかとの見方である。

また、このサイトhttp://giraud.way-nifty.com/lune/2005/02/post_3.htmlのように、こんな見方もある。
「しかしだな、記者ブログの炎上は月例行事ですか。つーかあなた方は何でわざわざ記者を名乗りますか。そういうキャッチーな属性を示せばそういう目で見る人が集まるということは想像できないか。分泌で、じゃない文筆で生計を立てているという自負からかも知れないが、それならなおのこと、要らぬ属性を示さず文章のみで展開されたら良かったのに。どうしても出したければ、後から発表すれば良い。でないならば、幾ばくかの覚悟をもって望まれるのが備えといったものではないかと。」

なるほど、記者が記者である間は、報道各社の冠を、いやなりおうなり、背負わされているのだから、ブログの社会では、それが、よくも悪くも作用するということなのだろう。

http://kusanone.exblog.jp/1536894/の見方は、こうである。

「記者ブログを運営する上での難しさがここにある。これまで紙の媒体上で言論活動する場合は、世間一般とは異なる見解を示すほうが評価が高かったりする。独自の視点を主張することに意義があったりするわけだ。
しかしブログ同士の議論では、世間一般の考えと異なる主張を展開するには徹底的な理論武装とエネルギーが必要になる。そうでなければ、この記者ブロガーのように反論と感情の雪崩現象に押しつぶされてしまうことになる。」

なるほど、ブログの社会では、「言いっぱなし。書きっぱなし」は許されないということなのだろう。

また、紙数の制約なし、「ソースきぼんぬ」と、取材源を問われる場合もあるのだから、紙の世界のように、取材源拒否はできないのかもしれない。

私個人の考え方としては、記者ブログのあり方は、既成の紙媒体では、詳細に報道できないことを、ネットの詳細性をとことん利用して、事実のみを、データベース的に、淡々と、しかも、極度に詳細に、書き連ねることが必要なことだと思う。

これまでの、ニュース・レリース書き写しのような、浅薄な知識提供ではすまない。

しかし、それ以前に、そもそも、本来、ネットの社会は、アンチの社会行動に適した社会なのかもしれない。

知らずにブログ記者さんのかむっているマスコミ各社の冠は、アンチにとっての、格好の標的となりうる。

だから、記者さんが、本来の社会の木鐸としてのアンチ精神を取り戻さない限り、「マス**が、ネットの世界に擦り寄ってきた。」としか、ネット住人からは、思われないのかもしれない。

その観点からすると、どうも、今の「記者ブログ」のスタンスは、中途半端だ。

ネットの世界に、自らの所属する報道各社の冠を利用して、アクセスを増やそうとする魂胆も、感じられなくもない。

しかも、ブログの中では、やたらに、「忙しい。」を連発されている。

裏のメッセージとしては、「暇だから、こんなブログやっているんではありません。」との見栄も、透けて見えてくる。

なんとなく、「われこそ情報エリートなり。」との臭気紛々と言った感じである。

下手をすると、学者さんのブログ以上に、記者ブログは、「衒学の巣窟」と化しそうな気配すら感じさせられる。

参考までに、祭りに挙げられ、炎上消失してしまった「しがない記者日記」のキャッシュと、、同じく閉鎖されてしまった記者ブログ「素晴らしき世界」のキャッシュを、リンクしておく。

これら閉鎖してしまった記者ブログの特性として、記者魂があまりブログの世界にもほとばしり出てしまった「律儀さ」によるもののように、私には、思えるが。

ところで、レコード輸入権問題でもご活躍だった小倉秀夫弁護士と、それにコメントする皆さんとの壮絶なやり取りがあったこと、ノロウィルス問題に取り紛れて、うかつにして知らなかった。

そもそもの発端は、1月3日の「取材源の秘匿」如何の問題
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/d/20050103
のようだ。

論争の焦点は、取材源の秘匿が認められるのは、公共性を対価としてのものなのかどうかということなのか?

ここで、小倉さんは、「コメント・スパム」ならぬ「コメント・スクラム」という概念を出されている。
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/d/20050110参照。

上記のCNNのイーソン・ジョーダン氏の場合は、「コメント・スクラム」ではなく、まづ、「ブログ・スクラム」があって、それを、ぎりぎりまで静観していたニューヨークタイムズなど大手マスコミが、旧メディアの同志を裏切った形で、暫定「メディア・スクラム」を組み、書き始めた時点で、CNNの上層部が動き始めたという展開のようだ。

日本の場合は、コメントスクラムで「祭り」が始まるのだが、ブログスクラムで、「メディア・スクラム」を組む既成のマスコミへの「祭り」が始まるという展開には、まだ、なっていないようだ。

となると、マスコミの記者ブログというのは、CNNに似たブログ・スクラムによる既成マスコミへの祭りが始まる前の「ワクチン注射」的役割を意図してのものにもなりかねない。

この小倉弁護士のブログの中に、もうひとつ、興味深いコメントがあった。
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/m/200502なのだが、未公開の放送部分をアーカイブ化して、ウエブサイトで見られるようにとの提案であるが、賛成である。

これは、上記で私がいっている「記者ブログは、事実のみを詳細に淡々と」という趣旨とも合致している。

そもそも、記者が書く記事のほとんどは、ボツになって世に出ない。

映像も、そのほとんどは、カットであろう。

記者さんが書く記事のほとんどのよりどころとなるニュースレリースも、この四国新聞のサイトhttp://www.shikoku-np.co.jp/news/kyodo_detail.aspxは別にしても、それが、丸ごと、世に公開されることは、めったにない。

だから、もし、報道各社が、または、記者ブログが、社会的に価値があるサイト活動をするのであるのなら、これらの未公開なりボツになった膨大な、氷山の下の部分を、サイトなりブログで公開することに、社会的な価値があるのではなかろうか。

つまり、あまりにも、空間的スペースが狭くなってしまった紙媒体と、あまりにも、時間的スペースが少なくなってしまった放送媒体との、旧メディア・マスコミのオーバーフロー分情報廃棄物のリサイクル利用ということだ。

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