Sasayama’s Weblog


2005/02/06 Sunday

アメリカ上院のヒアリングで、 R-CALF USA CEOのBill Bullard氏が、痛烈なUSDA批判を展開

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:37:53

  
2005/02/06(Sun)

null先週木曜日に行われたアメリカ上院の農業,食品及び林業委員会のヒアリングの席で、 R-CALF USA (全米牧場経営者牧畜業者訴訟基金Ranchers-Cattlement Action Legal Foundation )のCEOのBill Bullard氏が、痛烈なUSDA批判を展開した。
http://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=3812参照。

氏は、アメリカがこだわっている「科学的知見にもとずくBSE検証」には、ひとつも、科学的なものはないとした上で、ジョハンス新農務長官の証言内容は、これまでのBSEに関する記録とは、相反するものだとした。

氏は、さらに、今回のアメリカでのBSE発生で、本来は、アメリカは、世界のリーターシップを取りうる保護計画を策定すべきなのに、OIEの世界標準にまで達しないような保護計画で、希望的観測にいたらない、きわめて楽観的な計画をたててお茶を濁しているとしている。

以下、氏は、アメリカの現在の計画の問題点を三点列挙した。

1.SRM除去対象の牛を月齢30ヶ月以上としているが、月例12ヶ月以上に改めるべきである。

2.OIE推奨のサーベイセンスプログラムをアメリカに適用しようとしても、失敗に終わるであろう。

3.同じく、OIE推奨のMBM−肉骨粉-禁止措置をアメリカに適用しようとしても、それは、失敗に終わるであろう。

そして、氏は、カナダの体制が、あまりにも、世界標準からおとっているため、このまま、カナダとの牛の国境再開に踏み切った場合、長期的には、アメリカは被害をこうむり、結果、アメリカは、カナダの不良な牛肉製品のゴミ捨て場と化すであろうとしている。

また、昨日行われた、同アメリカ上院農業,食品及び林業委員会のヒアリングの席上では、共和・民主両党の上院議員と、ジョハンス農務長官とのやり取りがなされた。
http://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=3813参照

ここにおいては、カナダとの国境再開の最終規則についての上院議員と、農務長官とのやり取りが交わされた。

この最終規則は、今年1月4日に示されたものだったが、その後、カナダでの2頭のBSE発見などによって、見直しが模索されていたものである。

ここで、Sen.Crapo上院議員は月齢30ヶ月以上の牛肉を輸入することはともかくとしても、生体牛そのものを輸入することに疑問を呈した。

これに対して、ジョハンス農務長官は、確答を避け、これについては、より科学的調査が必要であると述べたにとどめた。

また、言われている3月7日輸入解禁としても、その前に結論を出すとした。

さらに、ジョハンス農務長官は、牛肉産業の経済的再建問題について触れ、新規則のアメリカ牛肉産業に及ぼす影響については、アメリカ牛肉産業の再編成は必至だと述べた。

また、Sen.Thomas上院議員は、新規則の現実性について、何度も質問し、新長官は新規則の最終段階での見直しを考えているのではないかと、ただした。

これに対して、ジョハンズ農務長官は、規則は、規定路線の上にあるが、変更が必要であれば、その道は閉ざしていないと答えた。

Sen.Dayton上院議員は、自由貿易のこれ以上の進行は、北アメリカの国境沿いの地方の農業の衰退につながると、述べた。

そして、これは、まさに「農業部門の災難の創造」であるとした。

これらのやり取りのなかで、月齢30ヶ月以上の牛からの牛肉の輸入を許す科学的理由はないとともに、生体牛の輸入を許す理由も、これまたない、という、Sen.Crapo上院議員の指摘は、説得力のあるものであっという。

2005/02/07追記

上記R-CALF USAの行ったUSDA批判に対して、USDAは、下記7項目にわたる詳細な反論を、2月6日、行った。
参照 http://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=3821

01.OIEのガイドラインが、最小リスク範囲についてのガイドラインであるかどうかについてであるが、これは、特に国際的な指令ではない。
この点をR-CALFは、誤解している。
むしろ。このガイドラインは、貿易相手国のリスクアセスメントを行うに際しての各国向けのガイドラインとでもいったほうがいい。
USDAのリスク基準は、個々の国の特定な状況を考慮に入れて設計されている。
また、BSEの進入や広がりを避けるための国が取るべき行動の全体的な有効性について、分析されている。

02.OIEの危険部位除去についての意見に関しては、OIEコードをR-CALFは完全に誤解している。
カナダのように、最小のリスク状態を目指す国にとって、OIE意見によれば、脳と脊髄と頭蓋と脊柱の除去だけでいいことになっている。
しかも、それは、月齢30ヶ月以上で、と畜にかけられる場合である。

03.カナダのサーベイランステストについて、USDAとしては、BSE検査が、食品安全検査としては、十分ではないことを強調しておきたい。
これらの検査は、サーベイランスシステムの下での統計上でのみ、有効なものである。
ヨーロッパと日本では、消費者からの信頼を取り戻そうと望んで、その手段として、その検査プログラムの中に、と畜される健康な牛までをも、検査対象に入れた。
これらの国は、その検査を、食品安全を目的として行っているものではない。
OIEは、その点、牛の中でのBSE検出の可能性は、牛の亜母集団についての広大なものにわたるものとなり、と畜される健康な牛の検査は、陽性反応が生じる可能性がもっとも少ないものであるとの、明確な見解を述べている。

04.国際貿易関係についてであるが、もしUSDAが先頭に立って、動物の疾病感染リスクアナリシスにもとずく最小リスク領域の概念を確立しないなら、アメリカは、疾病の多い他の諸国と同類に扱われるのではないかとの点については、OIEコードは、BSEハイリスクの国からの生体牛や牛肉製品の貿易取引であっても、それを禁止するという意見をOIEは述べることはできないとしている。

05.アメリカの飼料禁止措置についてであるが、USDAとしても、これらの禁止措置が、アメリカにおいても、カナダにおいても、完璧に働いているものとは思っていない。
しかし、両国における科学的リスク分析にもとづけば、このシステムの下で、BSE因子が増幅しうる危険性は、無視しうるものであると考えている。
また、R-CALFは、カナダのように最小のリスク国からの若い牛からの危険部位除去についてのOIE見解を、2で述べたように、誤解している。

06.BSE曝露の可能性のある月齢について、R-CALFの仮定は、間違っている。
すなわち、R-CALFの仮定においては、BSE陽性と判定されたカナダの老齢牛において、BSE因子の曝露がどの程度の時間あったかのについて、それを、潜伏期間の平均値を適用し決定しているのは、仮定の誤りであり、また、科学的根拠のないものである。
もちろん、飼料禁止措置を重視する見解は必要ではあるが、カナダからアメリカに持ち込まれるBSEを防ぐためには、幾つかの遠回りした軽減手法と連動して行われる必要があると考える。

07.消費者にとってのBSEリスクについてであるが、BSEについての不確実性がある中で、USDAと国際科学社会が、これらの疾患の広がりの一時的経路であり、その分散を防ぐための方策が適宜にとられたヨーロッパから学ぶべきであるという点についてであるが、USDAとしては、国際的に受け入れられている原則やOIE基準のガイドラインも活用して、アメリカは、これまで、最小リスクの下にある国々からの一定の製品の貿易取引を可能にする最終規則を公表してきたところである。
 以上

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