Sasayama’s Weblog


2005/02/05 Saturday

「細菌の広がりは、偶然の所産」というPNAS発表の論文

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:39:31

2005/02/05(Sat)

null今週のProceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)  のオンライン版で、インペリアル・ロンドン大学の研究チームの発表「Bacterial spread all down to chance: some strains ‘just the lucky ones’」http://www.ic.ac.uk/P6037.htm によると、細菌の広がりにとって、人間の免疫性とか、薬剤耐性とかは、これまで考えられていたよりは、あまり影響がなく、むしろ、細菌の広がりは、偶然の所産によるものだという。
その研究例のひとつとして、この研究チームは、髄膜炎の原因菌であるNeisseria meningitidisや、毎年百八十万人の死者を出している肺炎レンサ球菌や、院内感染で問題となるMARSAの原因菌である黄色ブドウ球菌の広がりについて、調べたところ、次のようなことがわかったという。
すなわち、細菌のコミュニティは、それらに関連する人間の社会生活を反映しているという。
たとえば、親しい家族や友達、同級生、託児所の友達などは、人間同士の接触が多いため、細菌を共有しがちであるという。
人から人への感染にしても、その際には、細菌の感染力による広がりの差はほとんどないことに、研究者たちは、驚いたという。
これについて、Christophe Fraser博士は、「微生物学者たちは、ともすれば、細菌の変異が、感染を広げると推測しがちだが、実際は、細菌のコミュニティにおける変異は、偶然に起こっているものである。」としている。
このように、ひとつの細菌が広がるということは、その細菌にとっては、ラッキーチャンスに当たったようなもので、すべての細菌の感染は、偶然によって広がるものであるとしている。

何か、あまりに当たり前の研究のようで、拍子抜けしてしまうが、自然体の細菌学といった感じの研究成果だ。

http://www.medicalnewstoday.com/medicalnews.php?newsid=19593

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