2009年11月11日
このサイト「The Doha Development Round: Resurrected or in Limbo? 」では、WTOドーハラウンドが、G20サミットでのコミットメントどおりに2010年で決着を見るためには、次の三つの条件がそろわなければならないとしている。
第一は、アメリカ側の農業交渉におけるいかなる譲歩も、アメリカ国内のビジネスに影響を与える。
いわば、アメリカのドーハラウンドの農業交渉の帰趨とトレードオフとなっているのが、アメリカの労働組合、農業者、中間選挙をひかえるアメリカ議会ということだ。
それに、失業率10パーセント近くにもなっている、アメリカの経済情勢も、絡んでくる。
オバマ政権にとって、貿易問題は、優先課題ではないということだ。
その証拠に、アメリカのWTO大使の席がいまだ空席となったままである。
むしろ、金融規制の問題と、気候変動の問題が、貿易問題に優先している状態だ。
第二は、ここ数ヶ月の間での中国タイヤ問題に象徴される通商紛争の続出がWTO交渉、とくにNAMA交渉にどう影響するかである。
第三は、今年9月のインドでのデリー会議で合意されたことは、今後のプロセスについての合意であり、実質的な合意は、まだ、何もない、ということである。
いわば、2008年交渉をつぶしてしまったインドの贖罪的な献身によるパフォーマンスだったということも言える。
実質的な合意までには、ここ数ヶ月かかるものと見られている。
結論的に言えば、WTO会議は、当面たなざらしに終わり、真の合意への復活はありえない、ということになりそうだ。
さらに、WTOの権威失墜とさせるのは、その一方で、地政学的な、二国間地域経済協定に走る国が多く出てきていることだ。
それに加えて、さらに貿易保護主義的な動きなどが、WTOへの信頼失墜を加速させているとの見方だ、