2009年8月25日
かねてからアメリカには、H1N1ワクチンを国民に皆接種させようとする構想があった。
これについては、わたくしの以前のブログ記事「アメリカが大規模なワクチン接種計画」をご参照ください。
昨日のオバマ大統領へのPCASTレポートにもあるように、ワクチン不足であるにもかかわらず、この流れは止まっていないようだ。
むしろ、州単位や学校単位で、集団接種を行おうとする動きも加速してきているようだ。
アメリカでは、集団接種についてのキャンペーンも浸透してきつつあるようだが、同時に、それにつれて、集団接種の功罪論も浮上してきているようだ。
参照「Receive Free Neurological Disorder with Your Swine Flu Vaccination」
そして、ここにきて、アメリカばかりでなく、いろいろな国に、国民皆接種なり集団接種の動きが出てきており、また、それについての功罪論も出てきているようだ。
まず、カナダであるが、アルバータ州で、学校の生徒に対して、皆接種プログラムを用意する動きがある。
しかし、これには意見がいろいろあるようで、固まったものではない。
反対意見としては、今回の新型は、季節性よりも弱い毒性をもつのだから、必要ない、などがある。
1957年の集団ワクチン接種の際のマイナスの教訓を生かせということだろう。
しかし、いついかなるときにも、集団接種の実施ができるように、ワクチンの確保はしておくということのようだ。
参照「Schools could be sites of mass vaccinations」
ブリティッシュコロンビア州ではもっとシリアスなとらえ方をしていて、この分では、最悪、クリスマスまで学校を閉鎖しなければならないとまでいっている
しかし、そのことによる社会的なコストも考え、ここでも、ワクチン集団接種計画を樹立中であるという。
参照「Kids going back to school will cart H1N1 with them: BC medical officer」
次にオーストラリアであるが、すでに集団接種計画は進んでいるが、国内的議論として、新型ワクチン接種において、通常二回のものを、一回に減らして、いち早く、広い範囲で集団接種を実施すべきとの議論があるようだ。
参考「Experts warn against hasty H1N1 flu vaccine」
「No H1N1 ‘urgency’ exists and vaccine strategy ‘risky’ doctors say」
イギリスでは、10月に一千三百万人を対象に集団接種が計画されているが、ここにきて、有識者から、集団接種に対する慎重論が政府に対して出されているようだ。
アメリカでの1976年の大失敗(1976’s debacle)を繰り返すな、というような論調で、集団接種による危険性を強調している。
参考「Swine flu vaccine linked to deadly nerve disease?」
スウェーデンは、一億四千二百万ドルの予算を設けて、9月末から10月にかけて、九百二十万人対象に集団接種をすることにした。
参考「Sweden allocates extra funds for swine flu vaccinations 」
ざっと見て、このような状況のようであるが、このような皆接種論や集団接種論が広まれば広まるほど、世界的なワクチンの不足と、各国われ先の入手傾向が強まるというわけだ。
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