2009年8月21日
H1N1新型インフルエンザワクチンの製造が遅れているのは、何も、日本ばかりではない。
アメリカでも、10月15日までに用意できるワクチンは、四千五百万人分(一人二回接種で、用意されているのは九千万服、当初の最初の接種対象予定者数は一億六千万人)に過ぎないという。
その後は、一週間ごとに二千万服が追加に用意されるという。
そこで、今話題になっているのが「ワクチン分配の最適化」という課題。
昨日のScienceで話題とされた(「サイエンスに発表した」のではありませんね。サイエンスのサイトのなかの「Science Podcast」という音声ラジオで、この研究者Jan Medlockとのインタビューがあり、話題になったということです。お聞きになりたい方は、こちらをクリック。また、ラジオの内容を文章で知りたい方はこちらをクリック。そのへん、日本のマスコミも、原典を当たっていないのか、いいかげんですね。)のが、Yale and Clemson universitiesのJan Medlockさんと、Alison P. Galvani さんの「Optimizing Influenza Vaccine Distribution 」という論文。
この論文自体は、今月8月3日に発表になったものらしい。
数学者のようだ。
ワクチンの最初の分配が、5歳から19歳の子供と、30歳から39歳の大人に分配されると、最適化されるというのだが。
前提として、今回のH1N1パンデミックが、1957年のパンデミックよりも厳しく、1918年のパンデミックよりも、弱い、として
1人の感染者が、他人に感染をうつすのは、1.4人として
1日あたり、7290人の人々が97904人の感染者を生む、という勘定になる。
ここで、同世代間の感染のミキシングが猛烈におきるのは、学校のクラスメート間と、それらの生徒たちが家庭に帰っての、それぞれの両親との間である、と見る。
そこで、これらの感染のミキシングが起きる可能性の強い世代に、優先的にワクチン接種をしていけば、効果的となるというのが彼らの理論で、この計算によると、アメリカ全土で、この世代に必要とされるワクチンは、六千二百万服から六千三百万服ですむという。
そこで気になるのは、この数学者のモデルに対するCDCの評価だが、CDCでは、「われわれが採用しているのは、単一モデルではない。多くの前提条件を考慮しなければならない。」と一蹴しているようだ。
参考
「The CDC should rethink its H1N1 vaccination strategy, study says」
「Study questions U.S. flu vaccine guidelines」
「Flu Shot Targets Should Be Kids, Parents」
「Study: Vaccinating school kids best to stop flu」
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