2009/06/11(Thu)
かんぽの宿売却条件には、「かんぽの宿で働く非正規労働者を含めた約3200人の職員を引き受ける」ということが譲渡の条件にはいっている。
いわば職員は、バンドル的存在である。
かんぽの宿の職員の平均年収は600万円×かんぽの宿の職員は3200人=年間192億円である。
これに社会保険負担なども含めれば、これの1.7倍から2倍近くの負担が伴うはずだ。
これは、購入側にとっては、きつい条件だ。
一方、売却する日本郵政側にとって見れば、たとえ、ハードの価格(109億円)は、二束三文になっても、これは、有利な条件と見て取れるだろう。
これらの場合にありがちな訴訟問題や労働争議の費用からも回避できる。
国鉄解体の際に生じた悪夢の再来からは、少なくとも、逃れうる。
「機会費用=逸失利益の圧縮」という点から見れば妥当な売却価格であると、私も感じる。
どうも、鳩山総務大臣は、故意にか、この条件の存在を無視しているようにも見える。
いわば、ポピュリズム的には、大向こうの喝采を受けるような点しか、強調していないようにも見受けられる。
働きの悪い職員を丸のまま、引き取れ、しかも、上物は、高額で引き取れ、では、話は済むまい。
たとえは悪いが、やくざが住み込んだマンションを、「居ぬき」で、そのまま、高額で引き取れ、と迫るのと、これはおんなじことになる。
どうして、マスコミは、その点を追求しないのだろう?
民主、社民、国民新の野党3党の有志議員が、日本郵政の専務と執行役の幹部2人を、かんぽの宿などの施設を不当に安い価格で売却して会社に損害を与える恐れがあったとして、特別背任未遂などの容疑で東京地検に告発状を提出したというが、これこそ、経営感覚ゼロの悪乗り議員たちである。
6ページ
「エ 雇用への配慮
参議院の附帯決議において、「民営化後の職員の雇用安定化に万全を期するよう配慮すること」とされている。」
16ページ
「その後日本郵政は、郵政民営化法が成立し宿泊施設が日本郵政に承継されたことを踏まえて、平成19 年10 月23 日の経営会議で、宿泊施設の処分方針について協議し、かんぽの宿等については、
�� 日本郵政が承継した約 700 名の職員を含めて、事業体として一括で譲渡を行う
�� 労働組合との交渉を開始する
�� 客観性、透明性を確保するために、セラーズアドバイザーを活用し売却譲渡先を企画コンペ方式により選定する
という実施方針を定め、執行役社長の決裁を得た。
この方針は同年11 月5 日の取締役会に報告された。
なお、労働組合との協議は、平成20 年(2008 年)2 月から開始されている。
アドバイザー2社が多様な選択肢を提示するなか、職員を含めた事業体として一括売却という処分方針を策定した理由について、本委員会が日本郵政の担当者から聴取した結果によれば、個別売却の場合、売れ残りが発生する可能性がある、従業員の処遇が施設毎に異なることになり労働条件を一律とできない、あるいは不採算施設の雇用継続が不確実になる、といった懸念から、できれば一括事業譲渡が好ましいと考えたということであった。
アドバイザーも、前述のとおり「一括オペレーションを前提とする買い手が存在すれば、一括売却も検討すべき」としていたこともあり、平成19 年7月に、日本郵政が投資銀行、証券会社等投資家数社にヒアリングを行ったところ、雇用条件を付けた一括事業譲渡でも購入を希望する投資家は存在すると判断されたので、以後、一括事業譲渡を前提として準備を進め、同年8月20 日から22 日にかけてこの方針を社長及び副社長に報告し確認を得た後、同年9月には労働組合に、雇用に配慮して譲渡時に条件を付す一括譲渡を検討する旨説明した。そして民営化後の経営会議で上記の通り一括事業譲渡の方針を協議した上で執行役社長が決定し、取締役会に報告したのである」
17ページ
「雇用条件を課さない個別売却と、雇用条件をつけた個別売却では、想定される処分価格に少なからぬ差が出るものとされており、これを雇用条件付きで一括売却すれば、その差はさらに拡大することが予想されたのである。
しかしまた一方、民営化法案の審議に際して参議院の附帯決議において、「民営化後の職員の雇用安定化に万全を期するよう配慮すること」とされているのである。
雇用の維持を優先すれば処分価格の大幅な低下は避けられず、雇用より処分価格の最大化を優先すればそのことに対して強い批判がなされた可能性があった。
したがって、この二つの相矛盾する要素について、どのような経営判断をするのかは、トップレベルでの慎重な討議検討を踏まえて決定されなければならない事項であり、経営会議においてその利害得失につき十分検討され協議されなければならなかったし、取締役会にも報告されるべきであった。」
19ページ
「エ 事業譲渡先の選定手続きについて
本件のかんぽの宿等の譲渡は、前項記載のとおり、平成19 年10 月23 日の経営会議で、日本郵政が承継した約700 名の職員を含めて、事業体として一括で譲渡を行うものと決定されていた。
その方針にしたがって、かんぽの宿の事業部門を会社分割して、その株式を譲渡するという方式が採用された。
つまり、本件は単なる資産譲渡ではなく、包括的な事業譲渡であった。
しかも全国に散在する71 ものかんぽの宿等の事業を一括して引き受け、その収益を改善するだけの経営能力と意欲のある買い手が現れなければ処分価格の最大化は望めないという状況であった。
そのためには十分な資力と財務基盤を持った投資家ができるだけ多数参加して競い合うという状況を実現することが望ましかったが、一方、将来の事業計画を策定するためには各施設について十分なデュー・デリジェンスを実施する必要があり、これは実施する側はもちろん、調査を受ける日本郵政にとっても相当な負担となるので、この段階においては買い手の候補を数社に絞る必要があった。」
平成 17 年10 月14 日参議院郵政民営化に関する特別委員会附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
(中略)
11 職員が安心して働ける環境づくりについて、以下の点にきめ細やかな配慮をするなど適切に対応すること。
1 現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく職員の勤労意欲が高まるよう十分配慮すること。
2 民営化後の職員の雇用安定化に万全を期すること。
3 民営化の円滑な実施のため、計画の段階から労使交渉が支障なく行われること。
4 労使交渉の結果が誠実に実施されること。
私と同様の視点で書かれたブログ記事
「かんぽの宿のオリックス一括売却は「問題」か? 」
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