Sasayama’s Weblog


2005/04/13 Wednesday

泥仕合と化してきたカナダの畜産業者たちの集団訴訟合戦

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:56:17

 
2005/04/13(Wed)

null4月11日、カナダの十万人の畜産業者たちが、カナダ政府を相手取って、七十億ドルの損害賠償を求め、集団訴訟した。
http://www.theglobeandmail.com/servlet
/ArticleNews/TPStory/LAC/20050411/MADCOW11/
TPNational/Canada
参照

これによると、イギリスから輸入された牛の中から、一頭のBSE牛が発見されたとき、同時に輸入されていた191頭のうち、80頭についてのトレースをカナダ政府が怠ったために、それらの汚染牛のうち、少なくとも十頭が、飼料にまぎれたために、今日のカナダのBSE牛の発生を招いたものだとしている。

これらの80頭のいくらかは、食用にも紛れ込んだと見られ、また、これらが、1990年から1993年の間に、家畜の飼料に紛れ込んだものとしている。

同時にこの訴訟では、飼料の交差汚染を招いたとして、Ridley Corp. Ltd.という会社をも、訴訟の対象にあげていいる。
このRidley Corp. Ltd.社は、この会社のオーストラリアの親会社
http://www.ridleyinc.com/
では、1996年に、肉骨粉の使用を中止したにもかかわらず、このカナダのRidley Corp. Ltd.社では、大豆よりも肉骨粉のほうがコストが安いとの理由で、肉骨粉を飼料として使い続けたとしている。

一方、今日になって、今度は、カナダの畜産業者有志が、アメリカのR-CALF USAを相手取って、集団訴訟を起こそうとしていることが、わかった。

集団訴訟を起こそうとしているのは、カナダの畜産業者のJohn Morrisonさんで、Fair Market Beefという名の任意団体を作って、集団訴訟をしようとしている。

その理由として、R-CALF USAが、カナダの牛のリスクを強調して、カナダとアメリカとの生体牛貿易の再開をストップさせ、カナダの畜産業者たちに、甚大な被害を与えたというものである。

John Morrisonさんのいうに、カナダの牛は、固体認識タグをつけているために、アメリカの牛よりも、より安全であるとしている。

この集団訴訟のために、選任以上の署名を集めたいといっているが、その署名の集め方がユニークで、3月7日日付の20カナダドルの小切手に署名をするのだという。

これによって、ダブりの署名もなく、また、署名の真正性も、保たれるとしている。

とりあえずは、千人の署名を得、最終は、三万五千人の署名を集める予定だという。

集団訴訟は、来週か再来週に、先月差し止め命令を下したと同じ、モンタナ地裁に提訴するという。

7月27日に予定されているモンタナ地裁での永久国境閉鎖命令で、さらに国境再開が、R-CALFによって遅らさせられることのないように、R-CALFに対する損害賠償額は、一日あたり、7百万ドルを要求するとしている。

まさに、泥仕合と化してきたアメリカ・カナダ両国の国内事情だ。
http://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=4497参照

このような中で、カナダでは、元USDAの獣医であるLester Friedlander博士が、USDAの同僚から聞いたところでは、USDAが発表しないように決めたBSEのケースがあるという証言をし、話題になっている。

博士に言ったその同僚は、リタイアが近いので、それを話すことで、年金を失うことを恐れていたので、詳細を話すことを拒絶してきたという。

しかし、彼の話によると、BSEの症状をもったテキサスの牛は、サンジェゴにあるパッキングプラントで、それをUSDAの獣医が非難した後も、レンダリングブラントへ、検査なしに送り込まれたという。

このプラントで処理された牛で、BSEの検査を受けた牛の数は、二年間に、わずか三頭であった、とのニュースがあった。

このプラントは、 Lone Star Beefというプラントで、ハイリスクのBSEにかかっていると思われる老廃牛を処理している。

Lester Friedlander博士のいうに、USDAのいうように、アメリカに、一頭のBSE牛しか発見できなかったということは、とても信用できないという。

カナダで一千二百万頭の牛から、四頭のBSEが発見されたのに、一億二千万頭いるアメリカから、一頭も発見されていないのだ。
博士の言うに、カナダとアメリカとの検査体制などは、まったく同じなので、アメリカでは、もっとBSE牛が発見されてしかるべきだという。

Lester Friedlander博士は、1995年まで、ペンシルベニアにある規模の大きいパッキングプラントで、肉の検査員を担当していた。

退職後、動物衛生に関する講演などをしている。

なお、4月12日に、以下
http://www.newswire.ca/en/releases/archive/
April2005/08/c3556.html

のように、この問題について、Lester Friedlander博士のほか、Gerard Lambert 博士、Shiv Chopra博士を交えてのプレス・カンファランスが、カナダで行われるようであるし、また、Lester Friedlander博士のカナダ議会での議会証言(これは、現在カナダ議会で審議中の法案「Bill C-27, the Canadian Food Inspection Agency Enforcement Act」についてのものだ。)も、あるようだ、

このように、まさに内憂外患をかかえたUSDAなのだが、ここにきて、ジョハンズ米農務長官は、議会に対して対日経済制裁をすることへの自制を求めた。
http://www.brownfieldnetwork.com/
gestalt/go.cfm?objectid=33084540-BE7F-CD9D-DC77FEF61EF2ABB0
参照

「制裁という言葉が、議会から出てきた。」として、ジョハンズ長官は、選ばれたアメリカの国会議員が、進行中の牛肉交渉について、その進歩がはかばかしくないことを理由にして、非難するという事態を憂慮した。

そして、この際、気持ちを静めて、威嚇的な行動をやめるように望んだ。

「あらゆる行動にはリアクションが伴うものであり、その結果、双方にとって、得るものは少なくなる。」といっている。

今回のカナダ畜産業者のカナダ政府への集団訴訟は、カナダとアメリカとの国境再開を一段とむづかしくさせているなかでの、弱気なアメリカのUSDAの立場を、図らずも、ジョハンズさんは、見せていることになる。

2005/04/14 追記 MASUO DOI博士が、USDA検査のズサンさぶりを証言

昨日のthe Canadian Broadcasting Corp.
http://www.cbc.ca/news/
が伝えたころによると、1997年当時、USDAの調査担当の獣医であるMasuo Doi博士は、ニューヨークのOriskany Fallsにある「と畜場」にはこびこまれた二頭の明らかに病気の牛について、検査が適宜に行われていないことを危惧し、USDAの調査部門でも、BSE検査がなされていないことを危惧していたとの発言をした。
第一のケースについては、対象の牛の脳の検査は、しなかったという。
第二のケースについては、Doi博士は、その牛がBSEでないことを示す証拠書類をえることがてきなか得ることが、できなかったという。
この報道したテレビ会社のCBC(the Canadian Broadcasting Corp.)では、数日前に、この証拠書類を手に入れたという。
しかし、この書類では、この検査にたちあったUSDA検査員の言葉として、ただ、「questionable validity−検査の妥当性に問題あり」とだけ書かれていたという。

以上が、昨日の記事だが、このMasuo Doi博士というのが、先に紹介したLester Friedlander博士が言った「元同僚」と、思われる。
http://www.ctv.ca/servlet/
ArticleNews/story/CTVNews/1113403014256_
108812214/?hub=Canada
 参照
これに対して、ロイター報道によると、USDAは、この二人の証言を否定したという。
http://www.reuters.com/n
ewsArticle.jhtml?type=healthNews&storyID=8172200
参照

ちなみに、このMasuo Doi博士というかたは、USDAの豚の検査を担当されていた方のようで、このサイトhttp://66.102.7.104/search?
q=cache:eaHo9rZ11C4J:www.garynull.com/
Documents/erf/mad_cow_disease_part_3.
htm+Masuo+Doi&hl=ja&client=firefox-a
によると、1979年に、豚にも中枢神経が侵され、脳が、スポンジ状になるケースがあることから、「豚にもTSEがある。」との説を出されたかたのようである。

一方、このDOI博士の証言を受けて、USDAのKarl Langheindrich博士は、CBC のインタビューに対して、次のように語ったという。
http://sask.cbc.ca/regional/servlet
/View?filename=mad-cow-concerns050413
参照

CBCが入手した第一回目の検査サンプルには、BSE判定の決め手となるはずの牛の脳の組織が含まれていなかったことについて、
「臨床的兆候にもとづいて、獣医によって記述がなされており、この牛の場合には、CNS(中枢神経疾患)があると、書かれている。しかし、それ以上のことを、あなた(CBC)は推定することはできない。」といったという。
http://www.obviousnews.com/breakingnews
/stories/obviousnews-556905.html

参照

2005/04/15追記 USDAは、「十分なサンプルなしにBSE検査をしたことの誤り」だけは認める

カナダのテレビ局であるCBCが「1997年に二つのBSE疑い例について、肝心の脳の組織をサンプルにせずに検査したことは、疑惑隠しだった。」と報道したことについて、USDAのRon DeHaven氏は、BSEと診断するに足りうるに十分なサンプルなしに、検査したことについては、誤りを認めたが、それらの牛は、BSEではなかったことを強調した。

http://calgary.cbc.ca/regional/servlet/
View?filename=ca-mad-cow-usda20050414

参照

Ron DeHaven氏によると、「われわれにとっては、とりうる二つの選択肢があった。ひとつは、手持ちのサンプルで、検査をすることであり、もうひとつの選択肢は、まったく検査をしないという選択肢であった。

もし、われわれが、BSE隠しをしようとするのであれば、検査をまったくしないということについて、議論していたであろう。この場合、われわれは、前者の「手持ちのサンプルで検査をする」という選択肢をとった。そのサンプルの不十分さを補うために、われわれは、三つの異なる方法での検査を行ったのである。」といった。

2005/05/06追記 OIGがフリードランダー博士から事情聴取

カナダ議会で、アメリカのBSE検査隠蔽疑惑事件を証言したもとUSDA検査官のフリードランダー博士だが、このほど、OIG(Office of Inspector General)http://www.usda.gov/oig/の Keith Arnold氏やWilliam Busby氏から事情聴取を受けたようだ。

OIGに調査を命じたのは、USDAのPhyllis Fong氏であるとされる。

今後の展開が注目される。

なお、これをUPI通信(United Press International )が執拗に追っている。

下手をすれば、ビーフ・ゲート事件に進展する気配すらある。

参考記事はいずれもUPIの記事で、固有名詞が、これまでの登場人物である Lester Friedlande、Masuo Doi などに加えて、Pat McCaskey氏や、Karl Langheinrich氏や、Joe Oziano氏など、ごろごろ出てきた。

参考記事
「Feds probing alleged mad cow cover-up」
http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=
20050429-020831-9428r
「No sign of mad cow in 1997 cows」
http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=
20050415-124715-6918r
「Experts: First 1997 mad cow false alarm」
http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=
20050415-025007-7820r
「Experts: No mad cow in second 1997 animal」
http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=
20050415-032421-7972r

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