Sasayama’s Weblog


2005/04/05 Tuesday

北米三国(カナダ・メキシコ・アメリカ)の統一BSE対策の内容詳細

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:52:36

 
2005/04/05(Tue)

null先に述べた北米三国(カナダ・メキシコ・アメリカ)の統一BSE対策の詳細がわかりました。

詳細はサイトhttp://www.usembassycanada.gov/content/can_usa/madcow_bseharmonization.pdfにあり、全文仮訳は次のとおりです。
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「BSE戦略の統一化に関する、北米首席獣医担当官(CVO)による報告書」(Report of the North American Chief Veterinary Officers on Harmonization of a BSE Strategy)
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要約

メキシコ・カナダ・アメリカの動物の健康に関する上級担当官は、2005年3月17日に、メキシコで、北米のBSEリスクの効率的な管理方策のための共通最小基準の確立についての討論の結果をまとめた。

この結論は、しかるべき公衆衛生担当者たちを含むこれまでの会合において、結論に達したものである。

これらの会合は、三国地域内において、血液ならびに血液由来製品の貿易についての正常化をゴールにめざして、また、BSEに関するOIE基準と一致した国際的BSE戦略の促進を、CVO(the Chief Veterinary Officers)が、科学的根拠にもとづいたフレームワークを創出しようとして、開催されたものである。

メキシコ・カナダ・アメリカ三国において、等しいBSE対策を確立し導入することで、公衆と動物の健康を護り、安全な貿易の回復が出来るであろう。

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最小基準

これらの会合の結果として、CVOは、北米におけるBSE方策の一連の最小基準を作り出した。

これらの最小基準は、メキシコ・カナダ・アメリカの各国における、しかるべき動物の健康と公衆衛生の担当者に対し、示されるであろうし、それゆえに、まえもって、決定しておかなければならないものであるべきである。

この文書は、現在貿易されている製品については、必要条件とは、ならないものである。

危険部位
輸出目的の牛肉については、次のものは、食用ルートに入ることを許されない、危険部位となる。
月齢30ヶ月以上の牛の脳、頭蓋、眼、三叉神経節、脊髄、脊柱、そして、後根神経節。
月齢にかかわらず、扁桃、回腸遠位部(distal ileum)。
危険部位除去の方法は、交差汚染が最小になるような方法でなされなければならない。

歩行困難牛
歩行困難牛を「と蓄」したものは輸出禁止
現在、メキシコとカナダは、歩行困難牛をアメリカへの輸出用工場への「と畜」に向けることを禁止する政策を実行中である。
アメリカとしては、「と蓄場」に現れた、すべての歩行困難牛と、障害牛を、廃棄する政策を採る。
CVO(Chief Veterinary Officers)としては、ダウナー牛を「と蓄」から排除するのは、BSEとは、関係のない理由にもとづくものであるとの立場をとる。

カナダは、現在、福祉的観点から、障害を持つ牛を輸送することを禁じる規則をつくっている。

加えて、彼らには、代替的な方策が、BSEに対する等しい防護策として、用意されるであろう。

たとえば、子牛のように、非常に若齢の牛であって、BSE感染物質に感染してのものとはみなされないものについての代替方策である。

同じように、老齢の牛で、明らかな理由で障害を持っている牛-たとえば、「と蓄場」への輸送の途中で傷ついたような場合には、獣医は、BSEの症状とは一致しないものとの決定を下すことが出来る。

最後になるが、歩行困難牛であって、BSE検査が陰性になった場合には、EUや日本では、その肉を食用ルートに入れることは、排除されていない。

スタンニング
ピッシング(スタンニングの後、細長い竿状のものを頭蓋の空洞にさして、中枢神経を傷つけること)と空気注入スタンニングは、禁止される。

機械的肉分離過程
危険部位除去を前提として、適当なプロセスが管理されるべきである。
たとえば、月齢30ヶ月以上の牛について、頭蓋や脊柱から、機械的に肉を採ることは、禁止される。

輸入管理
ミルク、精液、胎児などの特定製品については、輸出国のBSEリスク如何にかかわらず、安全に貿易確保がなされなければならないが、一定の製品については、BSE汚染国からの貿易は、制限される。
その他の製品については、輸出地域の相対的なリスクと、輸入を意図する製品の相対的なリスクとにもとづいて、輸入措置がなされなければならない。

サーベイランス
CVOは、ハイリスクの牛に焦点をあわせたサーベイランスこそ、BSEがもし存在するとしたら、それが、もっとも効率的な方法であるということを、重ねて言いたい。

能動的に、的を得たサーベイランス・プログラムは、その対象地域における成牛の総数に焦点を当てて検出するために、実施される。

現在のサーベイランス・プログラムは、現在実施されているサーベイランス・プログラムの結果とあわせて、2005年5月のOIE総会において、全面的な調整がなされるであろう。

血液由来飼料の制限
血漿タンパクを排除することをも含む、BSE感染物質の拡大と流布を防ぐための、効果的な飼料規制の達成と、交差汚染の回避と、検査行動の実施

個体認識システム
適切に牛の個体認識がなされることが、サーベイランス・サンプリング・システムの完全性を確実なものとさせるし、疫学上のトレースバック(とくに、牛の出生集団へのトレースや、リスク物質への曝露の継続的ポイントへのトレース)を確実なものとさせる。
北米地域においての個体認識システムの各国間の互換性については、各国のシステムが整備されるにつれ、考慮していかなければならない。

リスク・アセスメント
4つの部分にもとずいて、国や地域の牛の総数のリスク・ステータスの決定。

4つの部門とは、リリース・アセスメント、曝露アセスメント、因果関係アセスメント、リスク評価 の4つである。

北米三国との貿易

北米三国内で、最小基準が実施されることで、地域内の生産物が、安全に貿易されることを、CVOは、考えている。
長期のゴールとしては、血液および血液由来製品の貿易が、OIE基準の条件に一致していく一方で、最小基準が実施されるまでの短期間の間に、域内貿易は確立されなければならないと、CVOとしては、認識している。

牛肉と、副生物
公衆衛生・動物の健康の保護を前提としての、危険部位を除いた、骨付き・骨なしの牛肉、食用・非食用副生物の、月齢にかかわらない、貿易。
危険部位の除去は、BSE疑惑牛に対する防御を条件として、公衆衛生を護り、効果的な血液由来飼料規制を可能とするための、効果的方策である。

生体牛
北米三国内での最低基準は、域内生体牛の貿易についても、適用する。
この際、生体牛の個体認識によるトレーサビリティと、維持は、この場合のキーファクターである。
とくに、危険部位除去と、飼料規制について、直ちに「と蓄」される生体牛か、肥育牛かにかかわらず、域内生体牛取引を可能とする保護措置としての、最小基準の設定が必要である。

その他の血液や、肉骨粉を除く血液由来製品の移動

その他の血液や、肉骨粉を除く血液由来製品の移動については、BSEの観点からの制限は、なされないであろう。
この場合は, 他のTSE管理プログラムでの生血条件が適用されるであろう。

らくだ類・鹿類の移動について
らくだ類(アルパカなど)・鹿類や、それらを原料とする製品の移動については、BSEの観点からは、制限しない。

月齢にかかわらず、牛からの扁桃、回腸遠位部、そして、それらを含むいかなる商品も、食品、飼料、肥料、化粧品、生物学的または医学的装置を含む医薬品としては、貿易してはならない。
さらに、「と蓄」時期の月齢が、30ヶ月または、それ以上の牛については、その牛の脳、頭蓋、眼、脊髄、脊柱、そして、それらから由来した蛋白製品は、食品、飼料、肥料、化粧品、生物学的または医学的装置を含む医薬品としては、貿易してはならない。

注1 血液と血液由来製品とは、「と蓄」に先立って、圧縮空気やガスを頭蓋の空間に注入する方法でのスタンニング・プロセス、または、ピッシングプロセスによらない血液と血液由来製品である。

注2 これらの最小基準の貿易への適格性については、2005年5月に開かれるOIE総会で、さらに検討されるであろう。

獣関係生物製剤
これらについては、牛の危険部位由来のものでないこと、個々のリスクアセスメントに従うものであること。

ペットフード
OIE基準では、ペットフードに関する規定がないので、輸入国のリスクアセスメントに従うものとする。
非牛由来のペットフードについては、輸出国においての獣医の保証があれば、安全に貿易できる。

非蛋白の牛脂と、この牛脂からの派生物
不溶性不純物質が重量比最大0.15パーセント以下のレベルのものであれば、輸入に制限はない。
この移動や輸入に際しては、この基準を満たす牛脂であることの証明書類を必要とする。

合意文書署名者
メキシコ
SAGARPA-SENACIAのディレクタージェネラル
アメリカ
USDA・APHISのアドミニストレイター
カナダ
CFIAのチーフ獣医オフィサー

以上

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