Sasayama’s Weblog


2005/04/06 Wednesday

IMFは「銀行部門から家計部門へのリスクの移転」を強く警告

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:52:48

 
2005/04/06(Wed)

null 国際通貨基金(IMF)は、昨日、世界金融安定報告(Global Financial Stability Report)を発表したが、その中で、「家計部門へのリスクの移転」(Risk Transfer to the Household Sector)という一章を設けているのが気にかかる。
http://www.imf.org/external/pubs/ft/gfsr/2005/01/pdf/chp1.pdf参照

すなわち、これによると、銀行部門のリスクが、保険部門、個人年金部門へと、移転されてきており、金融機関の収支や貸借対照表が改善されてきているにつれて、今度は、個人の家計部門の長期収支や長期での貸借対照表が悪化しているのだという。

何やら、小泉改革の悪い面を、IMFは、指摘している感じなのだが、まさに、日本においても、事態は、そのように推移しているのだ。

IMFは、さらに、市場リスクも家計部門に移転しているといい、まさに家計部門は、「頼みの綱のショックアブサーバー(衝撃吸収装置)」(“shock absorber of last resort”)と、成り果てているとさえ指摘している。

IMFは、政策当局者に対して、「家計部門の財政収支を改善させるための、次なるロジカルなステップを踏む必要がある。」と警告している。

具体的な提案として、401Kの改善型の商品の提案や、超長期のインフレ連動型のボンドの発行などを提案しているが、決め手はないようだ。

また、この報告書では、今後、原油高騰などの、予期しない複雑要因が、投資家を集団的な行動に、突如として走らせる恐れがあるとして、そのためには、金利水準を、やや高めの中位水準に保っておく必要があると指摘している。

とくに、IMFは、各国の中央銀行が所有しているドル資産の、他の資産の移転への警戒感を示し、このドル資産離れがきっかけとなって、更なるドル暴落への道になることを警戒している。

IMFは、アメリカのドル安・放置政策と、経常収支・財政赤字放置政策を鋭く批判し、このことが、上記の各国中央銀行のドル離れに、ある日突然、拍車をかけかねないものと、強く警告している。

このアメリカの「放置政策」であるが、IMFは、これを「慇懃なシナリオ」( benign scenario)といっており、決して、レッセフェーレ(自由放任)とはいってないのである。
すなわち、意図された放置である。
今の日米の金利格差も、意図された放置といえる。

こうなってくると、為替介入の対価として、膨大な米国債を保有している日本にとって見れば、バスに乗り遅れないようにするための「ドル離れシナリオ」を、ひそかに作っておく必要が、どうやら、ありそうだ。

参照
Big rate rises could hit stability-IMF
http://today.reuters.co.uk/news/newsArticle.aspx?type=busines
sNews&storyID=2005-04-05T101910Z_01_DOB536244_RTRUKOC_0_ECO
NOMY-GLOBAL-IMF.xml

IMF warns financial markets against complacency
http://news.ft.com/cms/s/62b774b8-a619-11d9-b67b-00000e2511c
8.html

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