Sasayama’s Weblog


2005/03/04 Friday

米牛肉交渉、対日経済制裁の裏舞台をのぞけば?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:45:28

2005/03/04
 
nullことは、先月2月23日に、アメリカの畜産地帯選出の上院議員が在アメリカ合衆国日本大使館を訪れ、アメリカ合衆国駐箚特命全権大使 加藤良三氏に対して、20名の上院議員の署名を付した「日本が早期に、アメリカとの牛肉貿易再開に応じるよう」要求する書簡を手渡したことからはじまるhttp://www.sanluisobispo.com
/mld/sanluisobispo/news/politics/10973462.htm

参照。

書簡の中には、次のように書かれてあった。

「アメリカ側は、これまで、日本側の抱く懸念に対処するように、誠実に対応してきた。
もし、日本政府が、早急に、貿易再開に踏み切らない場合、私どもが懸念しているのは、アメリカ議会が、日本に対して、公平で、報復的な経済 (制裁)措置を進めるであろうということである。
私どもは、これらの事態になることが回避されるよう、望んでいる。」

“America has acted in good faith to meet Japan’s concerns.
If the government of Japan does not act soon to lift these sanctions, then the U.S. Congress may
pursue retaliatory actions. It is my hope this situation can be avoided.”

書簡の中身については、http://allard.senate.gov/press/releases/022405.pdfをご参照。

この書簡に署名したアメリカの上院議員の名前は、次の20名である。

Ben Nelson (D-Nebraska), Pat Roberts (R-Kansas), Ken Salazar (DColorado),Jim Talent (R-Missouri), Larry Craig (R-Idaho), Kit Bond (R-Missouri), John Cornyn(R-Texas), Johnny Isakson (R-Georgia), Chuck Hagel (R-Nebraska), Mike Crapo(R-Idaho),Mike DeWine (R-Ohio), Gordon Smith (R-Oregon), George Voinovich (R-Ohio), Mitch McConnell (R-Kentucky), John Thune (R-South Dakota), Kay Bailey Hutchison (R-Texas), Max Baucus (D-Montana), James Inhofe (R-Oklahoma) and Pete Domenici (R-New Mexico)

なお、在米日本大使館の加藤大使に対しては、これらの動きに先立って、1月27日に、ジョハンズ農務長官が、同様の趣旨の会談をしている。
内容についてはhttp://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2005/01/0031.xmlをご参照。

また、年初来のUSDAの一連の動きについては、次のサイトhttp://farmpolicy.typepad.com/farmpolicy/をご参照。

これらの動きと同時に、Kent CONRADをはじめとするアメリカ上院議員が、カナダとの生体牛貿易再開に反対する議案(S.J.RES.4 Providing for congressional disapproval of the rule submitted by the Department of Agriculture under chapter 8 of title 5, United States Code, relating to risk zones for introduction of bovine spongiform encephalopathy.)を提出していた。

この議案提出に署名した上院議員は次の12人である。( [  ] 内記載は選挙区名である。)

Sponsor: Sen Conrad, Kent

COSPONSORS(11):Baucus, Max [MT] Bingaman, Jeff [NM] Burns, Conrad R. [MT] Domenici, Pete V. [NM] Dorgan, Byron L. [ND] Durbin, Richard [IL] Johnson, Tim [SD] Reid, Harry [NV] Salazar, Ken [COThomas, Craig [WY] Wyden, Ron [OR]

なお、この法案の関連法案として、「H.J.RES.23 Disapproving the rule submitted by the Department of Agriculture relating to the establishment of minimal-risk regions for the introduction of bovine spongiform encephalopathy into the United States.  」がある。

上記の在米日本大使館に経済制裁予告の書簡に署名した上院議員と、カナダ牛貿易再開反対に署名している上院議員とで、ダブっているのは、次のPete Domenici. Max Baucus 、 Ken Salazar の三氏である。

米政府が3月1日に発表した2005年版の「通商年次報告」で、日本の米国産牛肉輸入再開問題での対応を「昨年10月に輸入再開で基本合意したにもかかわらず、その後の進展がないため米牛肉産業が深刻な損害を受けている」として、次のように批判した。

このhttp://www.ustr.gov/assets/Document_Library/
Reports_Publications/2005/2005_Trade_Policy_
Agenda/asset_upload_file454_7319.pdf
 の222ページで、次のように記載している。

「アメリカ政府は、この再開がなるように、あらゆる方法をとる予定である。」(The United States will take all appropriate steps to ensure that this occurs.)

3月2日、かねてからブッシュ政権に対して批判的な R-CALF USA が今年の1月に提訴していた「カナダ産牛の輸入再開差し止め請求」が、3月7日予定のカナダとの生体牛輸入再開直前に、モンタナ地裁よって、認められた。

2005年3月2日、米連邦地裁判事Richard F. Cebull 氏は、「生体牛と、追加の肉製品についてカナダの国境を再開する」とのUSDAの「ファイナル・ルール」に対して、R-CALF USAが、予備的禁止命令を求めていることについて、これを認めた。

米連邦地裁判事Richard F. Cebull 氏は、その意見として、次の8点を挙げている。

1.USDAは、アメリカ全体の牛肉産業が、潜在的に、破滅的なダメージを蒙ってしまうような決定を下しているような、恣意的アプローチをしているように見受けられる。
2.もし、カナダが、BSEが発見された2002年以前のように、一年間にアメリカに百七十万頭の牛を出荷したなら、BSEに感染したカナダの牛が、アメリカに輸入されるであろうということは、仮想的には、確実なことであるということは、検査で示されている。
3.これらの事実は、アメリカの人々の健康と福祉を護るという法定の負託を無視しているUSDAが、カナダからの生体牛の輸入のために国境を再開するという最終ゴールを設定し、それ以降に、このゴールを補強し、正当化しようとしたということを、強く示している。
4.この証拠は、次のことによって、示されいる。すなわち、カナダが、カナダでのBSE感染率を正確に評価しうるための十分なBSE検査を行わなかったということによって示されている。
一年半の間に、アルバータ州で、BSEに罹患した4頭の牛が発見されたが、このことは、「カナダでは、BSE発生率が、非常に少ないか、最小である。」とするUSDAの主張とは、一致しない。
5.「カナダの飼料禁止措置が、有効であり、更なるBSE発生のリスクは、重要でないとされるに十分、長い期間実施されてきた。」とのUSDAの主張は、事実と食い違っており、それゆえ、恣意的であり、気まぐれである。
6.カナダ牛由来の、または、カナダから輸入されてきた、食べられる牛の製品について、消費者がこれらの製品を買わないよう選択できるように、ラベルを貼るとの要求を、零細企業が、かなえることによって、ファイナル・ルールの反対効果を緩和できるようには、USDAは、考えていない。
7.USDAは、ラベリングに関して、次のように議論している。
すなわち、「ラベリングは、消費者に対して、追加情報を提供するものの、それは、食品安全情報にもならなければ、動物保護対策にもならない。」と。
そのような声明は、紛らわしいものであり、確かに、アメリカの消費者に対して、カナダの牛肉消費の安全性について、USDAのいう「無視しうる」「リスクが非常にに少ない」「かなりありそうもない」とのリスクに見せかけることを、許してしまっている。
そのようなラベリングを張ることによって、カナダとの国境再開と同時に、消費者が牛肉を買うときに、情報に通じた消費をする機会を可能にすることになる。
ラベリングにかかるコストは、BSEに汚染された出所不明の肉を食べることによるリスクに比べれば、最小のものですむことになる。
8.強制検査にかかわる費用対効果について、USDAが十分な考慮をしなかったということ、BSEと識別されないBSEの発生によって、取り返しの付かない傷を負う可能性があるのに、なぜ、強制検査が正当化されないのかについて、少なくとも、大衆に対して、それらの利益を説明することを、USDAがしなかったということ、は、恣意的であり、気まぐれである。

以上が、米連邦地裁判事Richard F. Cebull 氏の、予備的禁止命令許諾に関する意見である。
これについては、http://www.faithlivestock.com/r-calfworks2.htmをご参照

今回のモンタナ地裁決定について、上院議員たちは、このサイトhttp://www.startribune.com/stories/535/5270201.html
http://www.reuters.ca/locales/c_newsArticle.jsp;:4226b0f0:462012b1cf8d1c87?type=topNews&localeKey=en_CA&storyID=7789551
などに見るように、「モンタナ地裁は、すでに、カナダとすすめているボックスミート取引まで、USDAルールを見直させる気か」などと、いきり立っているようだ。

また、このサイト
http://www.macleans.ca/topstories/politics/news/shownews.jsp?content=n0302105Aによれば、カナダ農民は、「今日は最悪の日だ。ロビー活動は無駄だった。」と嘆いている。

USDAは、上告については、現在白紙だとしながらも、今回の一時差し止めについて、ジョハンズ USDA長官は、次のようなコメントを出した。

「私は、本日のモンタナ地裁が、カナダから月齢30ヶ月未満の生体牛貿易の再開となるであろう、USDAの「最小リスク規則」の実施について一時的遅延命令を出したことに対して、非常に失望しております。
USDAは、最小リスク規則が、すでにアメリカでもカナダでも始まっている、動物衛生と公衆衛生との共同によって、アメリカの消費者にとっても、牛にとっても、最大の保護を可能とするものであることを、確信し続けております。
われわれは、また、カナダを最小リスク地域とするOIEガイドラインにしたがって、開発してきたリスクアセスメントについても、絶対の自信を、依然、持っています。
今日の裁判所命令は、最小リスク規則についての考慮に基づくものではなく、むしろ、裁判官が、今回の訴訟例の(双方の)比較利益秤量をするための手続き的な遅れであります。
われわれは、科学的根拠の上に立った牛肉の国際貿易が、早急に再びなされるべきであると、信じ続けております。」
http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2005/03/0072.xml
参照

ちなみに、 かねてからのR-CALF USAの主張点とは、次のようなものだ。
「カナダの体制が、あまりにも、世界標準からおとっているため、このまま、カナダとの牛の国境再開に踏み切った場合、長期的には、アメリカは被害をこうむり、結果、アメリカは、カナダの不良な牛肉製品のゴミ捨て場と化すであろうとしている。」(これについては、私のブログのhttp://www.sasayama.or.jp/wordpress/index.php?p=211をご参照)

3月3日になって、アメリカ下院議員が米政府に報復的(retaliation)な対日制裁の発動を求めるとの決議案(H.RES.137
Title: Expressing the sense of the House of Representatives regarding the resumption of beef exports to Japan. )を提出した。

提出者は、スポンサーがJerry Moranであり、以下の53名の下院議員が名を連ねている。( [  ] 内記載は選挙区名である。)

Sponsor:Moran, Jerry [KS-1]

COSPONSORS(58) Barrow, John [GA-12] Berry, Marion [AR-1] Bishop, Sanford D., Jr. [GA-2] Blunt, Roy [MO-7] Boehner, John A. [OH-8] Boozman, John [AR-3] Cole, Tom [OK-4] Conaway, K. Michael [TX-11] Cubin, Barbara [WY] Culberson, John Abney [TX-7] Everett, Terry [AL-2] Foxx, Virginia [NC-5] Goode, Virgil H., Jr. [VA-5]Goodlatte, Bob [VA-6] Graves, Sam [MO-6] Gutknecht, Gil [MN-1]Hastings, Doc [WA-4] Hayes, Robin [NC-8] Holden, Tim [PA-17] Hulshof, Kenny C. [MO-9] Jenkins, William L. [TN-1] Kennedy, Mark R. [MN-6] King, Steve [IA-5] Kingston, Jack [GA-1] Larsen, Rick [WA-2] Latham, Tom [IA-4] Lucas, Frank D. [OK-3] Marshall, Jim [GA-3] McCaul, Michael T. [TX-10] McMorris, Cathy [WA-5] Miller, Jeff [FL-1] Musgrave, Marilyn N. [CO-4] Neugebauer, Randy [TX-19] Nunes, Devin [CA-21] Nussle, Jim [IA-1] Osborne, Tom [NE-3] Otter, C. L. (Butch) [ID-1] Pence, Mike [IN-6] Peterson, Collin C. [MN-7] Peterson, John E. [PA-5] Pickering, Charles W. (Chip) [MS-3] Putnam, Adam H. [FL-12] Rehberg, Dennis R. [MT] Rogers, Mike D. [AL-3] Ross, Mike [AR-4] Scott, David [GA-13] Shimkus, John [IL-19] Simpson, Michael K. [ID-2] Skelton, Ike [MO-4] Terry, Lee [NE-2] Tiahrt, Todd [KS-4] Walden, Greg [OR-2] Westmoreland, Lynn A. [GA-8]

以上が3月3日に賛同した議員であり、3月10日に、以下の5議員が、賛同に加わっている。

Kuhl, John R. “Randy”, Jr. [NY-29] Doolittle, John T. [CA-4]
McGovern, James P. [MA-3] LaHood, Ray [IL-18] Herseth, Stephanie [SD]

この決議案の中身は、次のとおりである。

以下、概訳

タイトル「日本への牛肉輸出に関する下院の公式意見表明」(Expressing the sense of the House of Representatives regarding the resumption of beef exports to Japan. )

決議

「日本への牛肉輸出の再開について、アメリカ下院としての意見を、ここに、公式表明する。

次なる説明条項(whereas clause)を持って、意見を表明するものである。

農場経営者・牧場労働者・牛肉加工業者・牛肉小売業者を含むアメリカの畜産業は、アメリカの地域経済にとって、そして、アメリカ経済全体にとって、非常に重要な構成体となっている。
アメリカの生産者は、アメリカや世界に対して、豊富で安全な食品供給をしていることを、誇りに思っている。
日本は、ワシントン州において、カナダからきた一匹の牛がBSE牛として発見された2003年12月以来、アメリカからの牛肉の輸入規制をしている。
アメリカの農業は、日本への牛肉輸出が途絶えたことによって、全体として、十七億ドルの損失をこうむっている。
アメリカは、厳しくも完璧なサーベイランス・プログラムに着手しており、BSE検査については、 OIE標準として、国際的にみとめられており、人間や動物の健康を守る保護策として実行されている。
日本は、 OIEのメンバーであり、このOIE標準に同意している。
WTOにおけるSPS合意は、WTOのメンバーに対して、SPS施策を、科学的根拠にもとづいて、人間や動物や植物ブラントの健康保護のためにのみ、適用することを求めている。
アメリカと日本は、2004年10月23日に、アメリカから牛肉を輸入再開するためのプロセスを確定した合意を締結したが、まだ、そのような輸入再開には、いたっていない。
USDAや米国通商代表部の当局者たちの最善を尽くした努力にもかかわらず、日本政府は、健全な科学や消費者の安全にもとづかない要素にもとづいて、アメリカからの牛肉輸入を遅らせている。
SPS合意は、WTOの加盟国に対して、勝手に、貿易差別や貿易制限をする権利を許すとは規定していない。
日本は、これまで、適切な貿易条件を確立し、アメリカとの牛肉貿易を再開できるに、十分な期限を与えられてきた。
そして、日本政府は、日米貿易の永くも深遠な歴史を危険にさらそうとしている。

上記のゆえに、われわれアメリカ下院は、次のことを決議するものである。
もし、日本政府が、2004年10月23日に、アメリカ政府と合意に達した合意書の元に「アメリカ牛肉の輸入再開」という、義務を果たすことを遅らせ続けるのであれば、アメリカ通商代表は、直ちに、日本に対して、報復的経済制裁を課すであろう。」

以下は、原文である。

「RESOLUTION

Expressing the sense of the House of Representatives regarding the resumption of beef exports to Japan.

Whereas the livestock industry in the United States, including farmers, ranchers, processors, and retailers, is a vital component of rural communities and the entire United States economy;

Whereas United States producers take pride in delivering an abundant and safe food supply to our Nation and to the world;

Whereas Japan has prohibited imports of beef from the United States since December 2003, when a single case of Bovine Spongiform Encephalopathy (BSE) was found in a Canadian-born animal in Washington State;

Whereas the United States agriculture industry as a whole has been negatively affected by the Japanese ban and the loss of a $1,700,000,000 export market to Japan;

Whereas the United States has undertaken a rigorous and thorough surveillance program and has exceeded internationally recognized standards of the World Organization for Animal Health (OIE) for BSE testing and has implemented safeguards to protect human and animal health;

Whereas Japan is a member of the OIE and has agreed to such standards;

Whereas the Sanitary and Phytosanitary (SPS) Agreement of the World Trade Organization (WTO) calls for WTO members to apply SPS measures only to the extent necessary to protect human, animal, and plant health, based on scientific principles;

Whereas the United States and Japan concluded an understanding on October 23, 2004, that established a process that would lead to the resumption of imports of beef from the United States, yet such imports have not resumed;

Whereas despite the best efforts of officials within the United States Department of State, the United States Department of Agriculture, and the Office of the United States Trade Representative, the Government of Japan continues to delay imports of beef from the United States on the basis of factors not grounded in sound science and consumer safety;

Whereas the SPS Agreement does not provide to WTO members the right to discriminate and restrict trade arbitrarily; and

Whereas Japan has been provided a reasonable timeframe to establish appropriate trade requirements and resume beef trade with the United States, and the Government of Japan is putting a long and profound bilateral trading history at risk: Now, therefore, be it

Resolved, That it is the sense of the House of Representatives that if the Government of Japan continues to delay in meeting its obligations under the understanding reached with the United States on October 23, 2004, to resume beef imports from the United States, the United States Trade Representative should immediately impose retaliatory economic measures on Japan.」

これが審議される委員会は、the House Ways and Means Committee (
歳入委員会)である。

なお、 OpenSecretsによると、今回の『対日経済制裁法案」では、以下のスポンサーが、それぞれの国会議員に対して、献金をしている。
http://www.govtrack.us/も、参照

主なスポンサー
National Assn of Realtors: $357,250
http://www.realtor.org/rocms.nsf
National Auto Dealers Assn: $306,000
http://www.nada.org/
National Beer Wholesalers Assn: $284,000
http://www.nbwa.org/public/login.aspx
Mantech International: $36,000
http://www.mantech.com/
American Medical Assn: $188,000
http://www.ama-assn.org/
その他

主な献金先

National Assn of Realtorsは、最高 $15,000 を Virginia Foxx [R-NC] James Marshall [D-GA] Lynn Westmoreland [R-GA]Marilyn Musgrave [R-CO]へ、後の議員に対しては、 $10,000から $2,000 を、小分けにして献金。

National Auto Dealers Assnは、最高 $15,000 を Tim Holden [D-PA]へ、後の議員に対しては、 $12,000から $5,000を、小分けにして、献金。

National Beer Wholesalers Assnは、最高 $15,000をVirginia Foxx [R-NC]へ、後の議員に対しては、 $10,000 から $5,000を小分けにして献金。

Mantech Internationalは、全額 $36,000 を Jerry Moran [R-KS]へ。

American Medical Assnは、 最高$15,000 を Lynn Westmoreland [R-GA]へ、後の議員に対しては、 $12,500から $3,000を、小分けにして献金。

上記の献金総額は、1,171,250ドルとなる。

Jerry Moran議員は、その提出趣旨を、次のサイト
http://www.house.gov/apps/list/press/ks01_moran/JapanResolution.htmlで、述べている。

これによると、

今回の対日経済制裁は、先に在米日本大使館の加藤大使に対して、アメリカの議員団が、書簡を提出した際に、日本政府が、この牛肉貿易再開問題について、行動が欠如した場合には、経済制裁をも辞さないとの示唆をしたことにもとずくものである。

Jerry Moran議員は、日本に対して、2003年10月23日の日米合意事項の早急な履行をすることを求めている。

もし、日本がこの履行をすることができないのなら、アメリカ通商代表部は、直ちに、日本に対して、報復的な経済措置を開始すべきであるとしている。

同じ3月3日、かねてから超党派議員によって提出されていた「カナダとの生体牛貿易再開に反対する議案(.J.RES.4 Providing for congressional disapproval of the rule submitted by the Department of Agriculture under chapter 8 of title 5, United States Code, relating to risk zones for introduction of bovine spongiform encephalopathy.」が、上院で、賛成52.反対46で、可決された。

http://www.reuters.ca/locales/c_newsArticle.jsp;:4227ae4e:1fcda9bb5e32566a?type=topNews&localeKey=en_CA&storyID=7803064
によれば、当初、ブッシュ政権は、カナダとの国境再開を先例にして、日本側に牛肉貿易再開を迫ろうとのプランを持っていたが、今回の「カナダとの生体牛貿易再開に反対する議案」可決によって、米議会議員の日本に対する苛立ちは、より増してくるとのことである。

法案賛成議員数が、三分の二にいたらなかったため、ブッシュ大統領は、下院においても可決された場合には、これに対して、拒否権を発動する見通しである。
http://www.suntimes.com/output/business/cst-fin-cow04.html参照

この議案の可決について、ジョハンズUSDA長官は、「今回の議案可決は、これまで、USDAが日本側に対して、科学的根拠にもとづいた牛肉貿易再開を呼びかけてきた努力を無きがものにするものであり、アメリカの牛肉産業の経済的混乱は、これからもつづくであろう。」とのコメントを出した。
http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2005/03/0074.xml
参照

また、この法案可決のとばっちりは、対日本に及び、ペン農務省次官は、「もはや、この問題は、農業問題ではなく、政治問題に変質した。」とのコメントを述べている。

一昨日、モンタナ地裁の差し止め命令が出たことで、法廷の場における決着は長引くと見たアメリカ議会の議員たちが、カナダ国境再開反対論に雪崩をうって傾いたというのが真相なのだろう。

以上、この二週間でのアメリカ議会におけるカナダと日本の牛肉貿易再開を巡るあわただしい動きについて、概説した。

要は、3月7日に迫ったカナダとの月齢30ヶ月未満の生体牛輸入再開を控えて、USDAは、カナダに適用したOIEガイドラインにしたがった最小リスク規則が、科学的根拠にもとづいたものであり、これをカナダを最小リスク地域とすることが認められたとの背景の下に、日本に対しても、科学的根拠にもとづき牛肉の安全性が確保されたとの合意で、日本との牛肉貿易再開にこぎつけたかったおもわくが、カナダとの最小リスク規則が、身のうちのアメリカ議会によって否定されてしまった形になってしまったわけである。

今後の展望であるが、カナダとの貿易再開が長引いたことで、アメリカ国内ミートパッカー業者たちは、いっそう苦境に立たされることになり、日本との牛肉貿易再開のみを頼りに、ロビー活動を協力に展開させていくことになるであろう。

今回モンタナ地裁に提訴した R-CALF USAとは、いつも敵対関係にある全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、今後のカナダとの貿易再開条件について、11項目の要望書をUSDAに提示した上で、対日経済制裁の中身についても、どのような経済制裁が適当なのかについて、USDAやアメリカ議会と話し合っていく用意があると、
http://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=4122
で、述べている。

ただ、決定的なのは、これまで、USDAが唯一科学的根拠のある安全性原則として、そのよりどころとしてきた「最小リスク規則(the minimal-risk rule)」ならびに「最小リスク地域(minimal-risk regions)」の概念が、いかに大統領の拒否権発動があったにせよ、アメリカ議会によって、実質否定されたものを、日本において、適用するということは、理論上、できないのではなかろうか。

この「最小リスク規則(the minimal-risk rule)」ならびに「最小リスク地域(minimal-risk regions)」の概念は、2004年12月29日に、当時のヴェネマン農務長官時代に、Final Ruleとして設定されたものである。

その概要は、
http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2004/12/0525.xml
に見るとおり、次のようなものである。
http://www.aasrp.org/hot_topics/2005/January/FinalRule.htm も、ご参照

「最小のリスクのある地域では、人間の健康に対しても、牛の健康に対しても、実質的には、何のリスクもない。」という考えで、
「このアプローチは、OIEのガイドラインと一致しているものであり、科学的な根拠にもとづいた the Harvard-Tuskegee Risk Model Study を主体としたリスク・ミチゲーションの手法(Risk mitigation measures)によったものである。」とし、
「カナダが、この「minimal-risk regions」として認知されうる最初の国であり、月齢30ヶ月以下の生体牛や一定の牛肉製品をアメリカに輸出しうる資格を有しうる最初の国となりうる。」ものとしている。

いってみれば、、カナダへの「minimal-risk regions」適用を、OIEガイドラインに準拠していると正当化したうえで、BSE汚染国カナダからの輸出を可能とした上で、その次には、自らがBSE汚染国であるアメリカが、日本を始めとする各国へ、アメリカ牛肉輸出を「minimal-risk regions」適用のアメリカ国として、ドミノ的に、正当化しようとする思惑が、このカナダ国への「minimal-risk regions」適用にあったと見なければならない。

つまり、BSE汚染国アメリカが日本などのアメリカ牛肉輸入拒否国に対して牛肉輸出を可能とさせるためには、その露払いとして、同じBSE汚染国カナダへの「minimal-risk regions」適用が、ぜひとも必要だったというわけである。

そのカナダへの「minimal-risk regions」適用が、アメリカ議会自らの手で否定された今日、今、日本側がなすべきことは、これまで、アメリカ側が牛肉の安全性の科学的根拠としてきた「the minimal-risk rule」 と「the minimal-risk regions」の概念の安全性の真偽について、再検証することなのではなかろうか。

3月12日追記
米上院農業委員会のチャンブリス委員長らは11日、加藤良三駐米大使と上院内で会談し、BSE発生に伴い停止している米国産牛肉の輸入を早期に再開するよう求めた。

これに対して同大使は日本の国内手続きを説明したが、議員の中からは「なぜこんなに時間がかかるのか」「いつまでに手続きを終えるという予定は示せないのか」などという疑問の声が相次いだ。

これらの議員は、the National Cattlemen’s Beef Association (NCBA)からの突き上げにあっているようだ。

これらの議員は、今日の行動を「(日本を)角で突いた」と、the National Cattlemen’s Beef Association (NCBA)から礼賛されている。

この会談の後、Bennett Robert 上院議員は、次のような、日本に対する国辱( national disgrace)的な言葉を発している。

Robert上院議員の言葉
「アメリカでは、動かない牛を動かすときには、牛を突いて動かすものだ。」
「”In the U.S. we use cattle prods to move cattle,” 」

この会談で、同席した、アメリカ上院議員と下院議員の名前は次のとおりだ。
http://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=4208参照

上院農業委員長(1) Saxby Chambliss (R-GA),

上院議員(10)
Wayne Allard (R-CO), Robert Bennett, (R-UT), Thad Cochran (R-MS), John Cornyn (R-TX), Michael Crapo (R-ID), *Chuck Hagel (R-NE), * Ben Nelson (D-FL), * Pat Roberts (R-KS), ○* Ken Salazar (D-CO), *John Thune (R-SD),

下院議員(2)
◎Jerry Moran (R-KS)
◎Marilyn Musgrave (R-CO)

◎印は、対日経済制裁法案への署名者
○印は、カナダ生体牛輸入ストップ法案提出者
*印は、2月23日に加藤大使にわたした書簡への署名者

3月14日追記

3月11日に引き続き、加藤大使と次の上院議員が、本日面会した。

委員長Charles Grassley (R-IA)
Max Baucus (D-MT)
Jeff Bingaman (D-NM),
Conrad Burns (R-MT),
Larry Craig (R-ID),
Gordon Smith (R-OR)
Craig Thomas (R-WY)

3月18日追記

3月17日、アメリカ上院議員Thune, John氏が、賛同上院議員9名とともに、対日経済制裁法案を提出した。

以下が、賛同した上院議員の名前である。

法案名
S.RES.87
Title: A resolution expressing the sense of the Senate regarding the resumption of beef exports to Japan.

スポンサー
#〇*Thune, John [SD]

賛同上院議員(9名)
Bond, Christopher S. [MO]
Bunning, Jim [KY]
#〇Craig, Larry E. [ID]
#*Crapo, Mike [ID]
#◎Domenici, Pete V. [NM]
#Inhofe, James M. [OK]
#◎Johnson, Tim [SD]
〇*Roberts, Pat [KS]
〇Talent, Jim [MO]

上記のうち、〇印は、先月2月23日に、加藤良三大使に当てた書簡に署名をしていた上院議員。
◎印は、カナダとの生体牛貿易再開に反対する議案(S.J.RES.4)の提出賛同者となっていた上院議員。
#印は、カナダとの生体牛貿易再開に反対する議案(S.J.RES.4)に賛成した上院議員
http://www.senate.gov/legislative/LIS/roll_call_lists/roll_call_vote_cfm.cfm?congress=109&session=1&vote=00019参照
*印は、3月11日に、米上院農業委員会のチャンブリス委員長とともに、加藤良三大使に面会した上院議員

なお、この法案のスポンサー献金先一覧は、こちらのサイト「アメリカ上下院の対日経済制裁法案に対するスポンサー献金明細」http://www.sasayama.or.jp/wordpress/index.php?p=247にまとめてるあるので、ご参照ください。

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

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