Sasayama’s Weblog


2008/11/05 Wednesday

危険水域に達したファニー・メイ、フレディ・マックのスプレッド

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 12:25:54

 

null日本でも、農林中金など、その発行債券の大量保有者があるとして、懸念・注目されている業績悪化のアメリカのフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)とファニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)のその後だが、7月に米ポールソン財務長官がファニーメイ、フレディマックに対する緊急支援策を表明し、9月には、米政府が、両公社を政府の管理下に置くと発表したにもかかわらず、ここにきて、10月後半から、両公社の発行する担保付債券(MBS=Mortgage-Backed Securities)のイールドが急上昇(債券価格は急落)してきている。

この2008年10月28日付のブルームバーグの記事『Fannie, Freddie Mortgage-Bond Spreads Hit Widest Since March』によれば、ファニーメイの30年もの抵当証券(MBS)と10年もの米国債とのイールド差は、10月20日時点で162ベーシス・ポイントであったのが、10月27日には、224ベーシス・ポイントと、わずか一週間の間に驚くべき拡大を示したとのことである。(1ベーシス・ポイント(Basis point)=0.01パーセント)

これまで、9月8日のアメリカ政府による「政府の管理下宣言」時においては、いったん縮小した両公社発行抵当証券(MBS)と米国債との間のスプレッドが、ここにきて、急激に拡大したのは、両公社に対するアメリカ政府の『保証』が本当になされるのか、ということについての市場の疑義が深まってきたことによるものと思われる。

特に、この疑義に拍車をかけたのが、10月31日のバーナンキFRB議長のシンポジウムのための講演であった。

氏は、「今後に向けた(GSEの)別の組織構成が検討されることがあっても、GSEが発行している債券に対する強力かつ効果的な保証を政府は維持する必要がある」と語り、先の7月にアメリカ政府が投資家に確約した『保証』の中身を、あいまいにしか示しえなかった。
(バーナンキの発言”Even if alternative organizational structures are considered for the future, the U.S. government’s strong and effective guarantee of the obligations issued under the current GSE structure must be maintained,” )

さらに、このブルームバーグの記事では、ファニーメイ発行の抵当証券の利率が10月20日以来50ポイントも上昇(債券価格は、反対に下落)し、5.99パーセントにもなったことが、新規ローン貸出利率のこれからの上昇を予感させることになった。

ちなみに、新規ローン貸出利率は、9月8日以来下落の傾向にあったが、10月14日には、6.09パーセントと、二ヶ月ぶりの高騰を示した後、ここにいたるまで下降傾向にあった。

新規ローン貸出利率の高騰は、住宅価格の高騰につながる。

住宅価格の高騰は、住宅需要の低迷につながり、この結ぼれにおいて、更なる住宅市場の荒廃を招く悪循環に堕ちいることになり得る。

ここに来て、注目すべきは、これまで、アメリカ政府の両公社救済策の具体的実施を待ちつつ、なお、両公社発行の債券を保有しつづけてきた、外国の中央銀行をはじめとした大量債券保有者の変化である。

7月16日現在、これら外国の保有高は、9839億ドルであったが、10月22日には、9234億ドルと、470億ドルも、保有高が減少してしまったことである。

この中には、たとえば、中国のように、両公社債(保有額3760億ドルといわれている。)を米国債にのりかえる動きが加速していることも、原因としてある。

また『Banks Cut Leverage By Selling Fannie, Freddie Bonds』によれば、アメリカ国内でも、これらの両公社の債券を保有している銀行では、これらの債券を「De-leverage」(債務の返済のためのレバレッジの解消)のために、投売りする動きが顕著になりつつあるという。

その一方で、公的資金を注入された銀行では、その見返りとして、連邦政府から、これら両公社の債券の購入を強要されることが、ここ2-3週間の間に増えているという。

そのうらには、「この際、安く買って長期保有しておけば、絶対お得ですよ(it’s a slam dunk)」という甘いささやきが付きまとっているようだ。

これとは対照的に、米国債の売り上げは、順調で、9月の米国債の販売実績が50億7400万ドルであったのに対して、10月は、150億ドルから200億ドルの売り上げに達しているという。

まさに、両公社債をめぐってのババ抜き合戦がすでに市場で始まっているのだ。

このような中で、日本の両公社債の大量保有者は、安閑としていていいのだろうか、非常に懸念が持たれる事態ではある。

なぜなら、すでに高い価格で債券を買って、含み評価損を表面化させないだけのために塩漬けをしてしまっているこれら日本の両公社債券保有者にとって、そのことは、決して、『it’s a slam dunk』ではないからである。

ところで、この段になって、このように市場で毛嫌いされ、流動性の確保が困難になりつつあるファニー・メイ、フレディ・マックなどのMBSを同種の金融商品属性を持つCMO(Collateralized Mortgage Obligation)にリパッケージ(包装しなおす)しようという奇抜な案が飛び出してきた。

このサイト『Mortgage securities market seeks liquidity measure』によると、この奇抜な案の発祥地はSIFMA(米証券業金融市場協会、The Securities Industry and Financial Markets Association )のようだが、外国の既発債保有者への条件変更が可能なのかどうか、専門家の間では、その実現性に疑問も呈せられているようだ。

備考1.ファニー・メイの「Historical Daily Required Net Yields

30-year FRMs A/A Remittance
現在 10月 9月 8月 7月 6月 

備考2.米国債のイールドのヒストリカル・データ

2008年のDaily Treasury Yield Curve Rates
今月のデータ

備考3.
今後、ファニー・メイ、フレディ・マックがたどりうる可能性の選択肢

〔唄嵒門への転換−政府干渉は民間部門転換でもありうる。
△海箸覆觀舛任量唄嵒門転換
9駘化の後、かつて、ファニイ・メイがそうであったような、連邦機関の一部門となる。
そ徐に現在のポートフォリオを縮小していく。

上記の参考記事
A Brief Guide To Fixing Finance: The Brookings Financial Restructuring Project

参考

日本における大量保有者ベスト5

農林中金 5兆5千億円
三菱UFJFG 3兆3千億円
日本生命 2兆6千億円
みずほFG 1兆2千億円
第一生命 9000億円

参考
諸外国が持つGSE債などの擬似政府債保有高一覧

中国 3760億ドル
日本 2280億ドル
ロシア 750億ドル
ルクセンブルグ 390億ドル
ベルギー 333億ドル
英国 280億ドル
オランダ 230億ドル
台湾 207億ドル
韓国 5億6千万ドル

参考サイト

参照
Fannie, Freddie Mortgage-Bond Spreads Exceed Pre-Takeover Level
Bankrate.com
Fannie, Freddie mission, debt in flux without gov’t
More from the Front Lines of the Financial Crisis
Bernanke: Role for Government in Mortgages
Bernanke Pushes Covered Bonds as GSE Alternative
Fannie Mae, Freddie Mac fallout
Fed’s Bernanke-Backing of GSE debt must be maintained
Spooky Ben Bernanke Says GSE’S Will Haunt Us Forever
Fed chief says U.S. must back Fannie, Freddie debt
Bernanke says backing of GSE debt must be maintained
Federal Government Stresses Guarantee of Fannie, Freddie Debt
What Can The Fed Do Now About The Housing Crisis?」
Wealth destruction
MANDATORY DELIVERY COMMITMENT —30-YEAR FIXED RATE A / A
Mortgage-X.com
Treasuries Gain as Investors Stage Election-Day `Buy-a-Thon’
Lockhart: Fannie, Freddie to Play Key Roles in Economic Recovery
Ginnie Mae Hits New High-Water Mark in October
Bernanke Urges `Backstop’ for Mortgage-Bond Market
Mortgage-X.com
National Average Mortgage Rates
National Average Mortgage Rates: Historical Data
National Monthly Average Mortgage Rates
Fannie Mae’s Required Net Yield (RNY)」
Mortgage Indexes
Treasury Market and Mortgage Rates
Mortgage-Backed Securities, the Virus

ファニーメイの格付け
Credit Ratings
フレディマックの格付け
Credit Ratings

 

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